基本情報
- 寿命
- 15〜20年(飼育下では20年超も)
- 体重
- 9〜20kg(メスの方が大きい)
- 性格
- 夜行性で樹上性。慣れれば穏やかだが力が強い
- 飼育難易度
- 極高(体格・寿命・獣医の少なさ)
- 法規制
- CITES付属書Ⅲ・動物愛護管理法。取扱業は登録要
- 最重要ポイント
- 尾で体を支える樹上動物。高さのある飼育空間が必須
生態と特徴
- 体の特徴
- 体長60〜95cm、尾は同じ長さで物を巻き付ける。ポップコーンに似た匂いの臭腺
- 原産地・分布
- 東南アジア(インド北東部〜ボルネオ・フィリピン)
- 野生での生息環境
- 熱帯雨林の高い樹上。地上にはほとんど降りない
- 活動時間・睡眠
- 夜行性で薄明薄暮に活発。昼は木の上で眠る
- 社会性・人との関係
- 基本は単独性。飼育下では人に慣れるが力が強い
特徴的な行動・習性
- 尾を巻き付けてゆっくり木を降りる。頭を下にも降りられる
- 尾の臭腺で枝に匂いを付け縄張りを主張
- 果実を好む雑食。イチジクの種子を運ぶ
かかりやすい病気と予兆の見方・予防
肥満・脂肪肝
予兆体重増加、腹部が垂れる、動きが鈍い、元気消失、食欲低下、黄疸
予防果物中心の高糖質食を避け、動物性たんぱくと野菜を組み合わせる。毎月体重を記録
歯周病・歯の破折
予兆口臭、よだれ、片側で噛む、硬い物を避ける、顔の腫れ、歯の変色
予防骨や硬すぎる物を与えない。年1回の麻酔下歯科検診で歯石除去と歯のチェック
慢性腎臓病
予兆多飲多尿、体重減少、毛づやの低下、嘔吐、口臭、食欲不振
予防新鮮な水を常時用意。高齢期(10歳以上)は年2回の血液・尿検査で早期発見
皮膚炎・寄生虫
予兆強いかゆみ、脱毛、フケ、赤い発疹、しきりに体をこする、かさぶた
予防床材と止まり木を清潔に保ち湿気をためない。獣医師と相談しノミ・ダニ予防を行う
消化器疾患・下痢
予兆軟便・水様便、血便、粘液便、嘔吐、腹部膨満、食欲不振、脱水
予防急な食事変更をしない。腐りやすい果物は残さず回収し、食器は毎日洗浄・乾燥
熱中症・低体温
予兆夏は口呼吸・よだれ・ぐったり、冬は震え・丸まって動かない・体の冷え
予防夏は30℃以上にせず冬は15℃以下にしない。エアコンで通年管理し温度計を設置
病気の予兆チェックリスト
毎日1回チェック。1つでも当てはまれば早めに動物病院へ相談。
病気の応急処置
嘔吐・下痢が続く
食事を止めて水は少量ずつ。便と吐物を写真に撮り、24時間以内に受診。血便や脱水があれば即受診
ぐったりして動かない
体を触り熱ければ首・脇を冷やし、冷たければ毛布で保温。無理に食べさせず直ちに受診
口が痛そう・食べない
硬い食事を避け柔らかい物を用意。顔の腫れ・出血・歯の欠けがあれば当日受診し歯科処置を相談
多飲多尿・体重減少
飲水量と尿の量をメモし、朝一番の尿を清潔な容器で採取して受診。腎臓病の検査を依頼
起こりやすい怪我と予防・応急処置
落下による骨折
予防止まり木は太く固定し、床には厚いマットや藁を敷く。老齢・肥満個体は高さを下げる
応急処置動かさず静かに保定。患部に触らず段ボールや毛布で支え、大型犬用キャリーで当日受診
尾の外傷
予防ドアや扉の開閉時は尾の位置を確認。尾をつかんで持ち上げない。金網の隙間をなくす
応急処置出血は清潔なガーゼで圧迫。尾を引っ張らない。垂れ下がったまま動かない場合は即受診
爪の折れ・剥がれ
予防爪の長さを定期的に確認しコンクリートや樹皮で自然に削る環境を作る。カーペットを避ける
応急処置出血部を圧迫し止血。爪が根元から剥がれた場合は感染しやすいため当日受診し抗生剤を相談
個体同士の咬傷
予防相性の悪い個体は同居させない。発情期や食事時は分離。隠れ場所を複数用意
応急処置傷を流水で洗い、出血は圧迫。深い傷は膿みやすいため当日受診。安全確保が先で無理に近づかない
動物由来感染症(人にうつる病気)
パスツレラ症
感染経路咬傷・ひっかき傷・唾液
予防傷は流水で洗い消毒。腫れ・発熱があれば人の医療機関へ受診
サルモネラ症
感染経路便に触れた手、食器・床材の汚染
予防世話の後は手洗い。食器と人の食器を分け、床材は手袋で交換
皮膚糸状菌症
感染経路脱毛部や被毛への接触
予防円形脱毛があれば受診。抱いた後は手洗い、寝具を共有しない
疥癬・ダニ
感染経路体の接触、寝床の共有
予防強いかゆみは受診。寝床は熱湯洗浄、人にも発疹が出れば皮膚科へ
飼養条件:餌・水・おもちゃ・巣・床材
餌
- 雑食。良質な肉・ゆで卵・魚と野菜を主体に、果物は補助
- 1日1〜2回、夕方〜夜に主食を与える
- 総合栄養ドッグフードや専用フードを獣医師と設計
水
- 重い陶器製の容器で常時新鮮な水を用意
- 夏は1日2回交換し、飲水量の変化を記録
与えてはいけないもの
- チョコレート・ネギ類・ブドウ・アボカド
- 過剰な果物やジュース(肥満・糖尿病の原因)
- 生の骨・硬い骨(歯の破折・消化管閉塞)
おもちゃ・遊び
- 太い丸太・ロープ・ハンモック(登る・ぶら下がる)
- 餌を隠せる箱やパズルフィーダー
- 頑丈なゴム製おもちゃ(小さすぎる物は不可)
巣・寝床・隠れ家
- 高所に設置した大型の木製巣箱
- 地上にも隠れられる屋根付きの寝床を用意
床材・トイレ
- 厚めの藁・ウッドチップ・タオルを重ねる
- トイレは決まった場所で排泄する習性を利用
- 排泄物は毎日除去し床材は週1回全交換
飼養環境:ケージ・運動・温湿度
ケージ・ハウスの素材
溶接金網または太い金属フェンスの屋内外兼用の大型囲い
大きさ・広さ
最低でも幅3m×奥行3m×高さ3m以上
配置・レイアウト
- 高さ違いの太い枝・止まり木を複数固定
- 上部に巣箱、下部に水場と食事場所
- 日陰と日なた、隠れ場所を両方確保
設置場所の注意
- 直射日光と隙間風を避け、温度管理できる場所
- 扉は二重にし、来客や子どもの立ち入りを制限
運動・部屋んぽ・散歩
- 散歩は不要。囲い内で登る・降りる運動を毎日
- 夜行性のため夕方以降に活動時間を確保
- ハーネスは必ず専用品を使い、必ず2人以上で
温湿度管理
適温20〜28℃(15℃以下・30℃以上は避ける)
適湿度50〜70%(乾燥しすぎると皮膚炎)
夏・冬の対策
- 夏はエアコンと日陰、凍らせたペットボトルを置く
- 冬は暖房と厚い寝床で室温を保ち、寝床を風から守る
グルーミングと外敵からの保護
爪切り
樹皮や岩で自然に削れる環境を作る。伸びすぎは獣医師に相談し無理に切らない
ブラッシング・皮膚被毛ケア
換毛期は週1〜2回、慣れた個体のみブラッシング。脱毛・フケは皮膚病の疑い
その他のケア
年1回の健康診断で歯石と体重を確認。臭腺のにおいは正常で洗わない
外敵からの保護
- 野犬・イノシシから守るため屋外囲いは二重フェンス
- 蚊・ダニ対策として夏は防虫ネットで囲う
- 他のペット(犬・猫)とは接触させない
飼養上の注意(事故防止)
異物誤飲
ビニール・ひも・小さなおもちゃは届く所に置かない。飲み込んだ疑いがあれば吐かせず、嘔吐・食欲不振の有無を記録し当日受診
踏みつけ
床で寝る習性があり、扉付近や暗い場所で足元を確認。踏んだ後に足を引きずる・鳴く場合は当日受診
挟まれ
扉に尾や指を挟みやすい。開閉時は必ず位置を確認し、ゆっくり閉める。腫れ・変形があれば骨折を疑い受診
落下・転落
高所からの落下は骨折の原因。止まり木は太く固定し、下に厚いマットを敷く。落下後に動きが鈍ければ受診
逸走・脱走
扉は南京錠で二重施錠し、開ける前に個体の位置を確認。逃げたら追わず好物で誘導、夜間は木の上を探し、警察と自治体へ連絡
噛みついた時の安全な引き離し方
やってはいけないこと
- 手を引き抜こうとする(傷が深くなる)
- 顔を近づけて叩く・大声で威嚇する
安全な引き離しの手順
- 動きを止め、噛まれた部位を押し込む方向に固定
- 水や好物のにおいで注意を逸らす
- 厚手の毛布を頭にかぶせ、視界を遮る
- 口が緩んだ瞬間に静かに離れ、扉を閉める
引き離した後の処置
傷は流水で5分洗い圧迫止血。深い傷・腫れ・発熱は当日人の医療機関へ受診し破傷風を相談
救命救急マニュアル
今すぐ夜間救急へ(命に関わる)
- 呼吸が荒い、口を開けて呼吸している
- 意識がない、けいれんしている
- 高所から落ちて動けない
- 大量出血・尾が垂れて動かない
当日中に受診
- 24時間以上食べない
- 血便や繰り返す嘔吐
- 多飲多尿や急激な体重減少
受診時に伝えること・持ち物
体重・年齢・普段の食事・症状の始まった時刻・便や吐物の写真を持参。事前に電話で受診可否を確認
意識・呼吸・心拍の確認
- 呼びかけと体への刺激で反応があるか
- 胸の動きで呼吸数を確認(安静時1分に15〜30回)
- 後肢内側の太ももで脈を確認(1分に60〜120回)
蘇生の手順
- 平らな所で右を下に横たえ、口の中を確認
- 肘の後ろの胸を両手で1分100回のペースで圧迫
- 30回圧迫後、鼻をふさぎ口から2回息を吹き込む
- 2分ごとに反応を確認し、続けながら病院へ
止血
- 清潔なガーゼで5分以上圧迫し続ける
- 四肢は心臓より高くし、ガーゼを剥がさない
- 尾や耳は包帯で固定し、止まらなければ即受診
搬送方法
- 毛布で包んで保温し、大型犬用キャリーで搬送
- 呼吸が苦しそうなら首を伸ばし、車内は静かに
ケースメソッドで学ぶ
