基本情報
- 寿命
- 8〜12年(飼育下)
- 体重
- 35〜65kg(体長1〜1.3m)
- 性格
- 温厚でおとなしいが臆病。驚くと突進する
- 飼育難易度
- 高(広い屋外スペースと水場が必須)
- 法規制
- 動物愛護管理法の対象。特定動物指定なし
- 最重要ポイント
- 毎日入れる水場と仲間がいないと心身を壊す
生態と特徴
- 体の特徴
- 体長1m超・体重50kg前後。指に水かき、鼻と目と耳が頭の上に並び泳ぎに適す
- 原産地・分布
- 南米(パナマ〜アルゼンチン北部)のアマゾン川流域など水辺の草原
- 野生での生息環境
- 川・沼・湿地のそば。泥浴びと泳ぎで体温調節し、水中に逃げて身を守る
- 活動時間・睡眠
- 薄明薄暮性で朝夕に採食。日中は水辺や木陰で休み、夜間も活動する
- 社会性・人との関係
- 10〜30頭の群れで暮らす。単独飼育は強いストレス。人にはよく慣れる
特徴的な行動・習性
- 水中に潜って危険を避ける。驚くと水場へ一直線に走るので動線に物を置かない
- 草を1日数時間かけて食べ続ける。繊維が足りないと歯が伸びすぎる
- 朝に自分の軟らかい便を食べ栄養を再吸収する(食糞)。異常ではない
かかりやすい病気と予兆の見方・予防
不正咬合・歯の過長
予兆よだれで顎が濡れる・牧草を食べ落とす・口を気にする・顔の腫れ・体重減少・前歯が伸びて見える
予防牧草を常時食べ放題にし繊維でかみ続けさせる。ペレットや果物偏重を避け、月1回は口元と前歯を確認
皮膚乾燥・皮膚炎
予兆皮膚のひび割れ・フケ・赤み・かゆみ・脱毛・かさぶた・背中や足のただれ
予防毎日水に入れる環境を整える。日光浴の時間を確保し、日よけで直射を避ける。床は乾いた清潔な状態に
熱中症
予兆口を開けた呼吸・よだれ・ぐったりして立てない・歩き方がふらつく・水に入りたがる
予防夏は日陰と深めの水場を必ず用意。30℃を超える日中は屋外の日なたに出さない。水は常に新鮮に
消化管うっ滞・鼓脹
予兆食べない・便が減る・小さい・腹が張る・じっとして動かない・歯ぎしり
予防牧草中心で繊維を確保。急な食事変更・傷んだ野菜を避ける。半日食べなければ当日中に受診
ビタミンC欠乏症
予兆歯ぐきの出血・歩きたがらない・関節の腫れ・傷が治りにくい・毛づやの悪化
予防飼育下で不足しやすい。青菜・パプリカなど新鮮な野菜と専用ペレットで毎日補給。不安なら獣医師に相談
足底皮膚炎(ソアホック)
予兆足裏の赤み・腫れ・傷・かさぶた・足をかばう・座り込む時間が増える
予防コンクリートや硬い床ばかりにせず土・草地・厚い敷料を敷く。肥満を防ぎ、足裏を週1回確認
病気の予兆チェックリスト
毎日1回チェック。1つでも当てはまれば早めに動物病院へ相談。
病気の応急処置
半日以上食べない
好物の牧草や青菜を近くに置き、静かな環境に。便の量も確認し、12時間以上食べなければ当日中に受診
熱中症の疑い
すぐ日陰に移し、常温の水に体を浸すか濡れタオルで体を冷やす。氷水は使わない。冷やしながら動物病院へ連絡
皮膚の乾燥・ひび割れ
水浴びの時間を増やし、傷があれば流水で洗う。人用の軟膏は使わない。出血やただれがあれば数日以内に受診
よだれ・食べ落とし
口を無理に開けない。柔らかい青菜で食べられるか確認し、写真を撮って受診。歯の処置は麻酔が必要なので早めに
起こりやすい怪我と予防・応急処置
爪・足の裂傷
予防放飼場に金網の切れ端・ガラス・釘を残さない。硬い床の段差やすべる場所をなくす
応急処置清潔なタオルで押さえて止血し、流水で洗う。出血が10分止まらない・骨が見えるなら当日中に受診
闘争による咬傷
予防オス同士は成熟すると争う。去勢や群れ構成を獣医師と相談し、逃げ場と複数の餌場を用意
応急処置興奮が収まるまで近づかず別々に分ける。傷を流水で洗い、深い傷・腫れがあれば当日中に受診
前歯の破折
予防柵や金網をかじらせない。硬い床に顔から落ちる段差をなくし、驚かせて突進させない
応急処置口元の出血を確認し、硬い物を与えない。折れた歯は伸び直すが、歯の根の損傷確認のため数日以内に受診
骨折・脱臼
予防体重が重く段差や滑る床で足を痛めやすい。坂は緩やかに、プールの出入口はスロープにする
応急処置動かさず静かな場所で安静に。添え木は不要、無理に立たせない。大型キャリーかシートで当日中に受診
動物由来感染症(人にうつる病気)
レプトスピラ症
感染経路尿に汚染された水・土からの皮膚・粘膜感染
予防プールの水は頻繁に交換し、清掃は手袋・長靴で。傷のある手で水に触れない
サルモネラ症
感染経路便・飼育水・飼育器具からの経口感染
予防世話の後は必ず手洗い。飼育場で飲食しない。幼児・高齢者は触れた後に特に注意
皮膚糸状菌症(真菌)
感染経路脱毛部や被毛への接触
予防円形の脱毛・フケがあれば早めに受診。触れた後は手を洗い、ブラシを共用しない
ダニ媒介感染症
感染経路屋外飼育で付くマダニの刺咬
予防草地の管理と定期的な体表チェック。ダニは無理に取らず受診。人も長袖で作業
飼養条件:餌・水・おもちゃ・巣・床材
餌
- 主食はチモシーなどの牧草。食べ放題にして常に切らさない
- 青菜・パプリカ・ニンジンなどの野菜を1日1〜2回、体重に応じて
- 大型草食動物用ペレットを補助的に。果物はごく少量のおやつ
水
- 飲み水は大きな容器で常時。プールの水とは別に用意する
- 泳げる水場は毎日またはこまめに換水し、藻や糞をためない
与えてはいけないもの
- ネギ類・アボカド・チョコ・ジャガイモの芽や皮
- パンや菓子など加工食品。糖分で肥満と下痢を招く
- 農薬のついた草・観葉植物・傷んで腐った野菜
おもちゃ・遊び
- 牧草を詰めた丸太や麻袋。かじって歯と退屈を解消
- 泥浴び場や浅いプール。水遊びが最大の遊び
- ボールなど丈夫な大型犬用おもちゃ。壊れたら即撤去
巣・寝床・隠れ家
- 風雨と直射日光を防ぐ屋根付き小屋。冬は保温できる構造に
- 群れ全員が入れる広さ。入口は水場から見える位置に
床材・トイレ
- 小屋には厚く乾いた敷きわら。濡れたらすぐ交換
- 放飼場は土や芝生。コンクリートのみは足を痛める
- 決まった場所で排泄する習性。水辺のトイレ場は毎日清掃
飼養環境:ケージ・運動・温湿度
ケージ・ハウスの素材
高さ1.2m以上の丈夫な柵と屋根付き小屋。金網はかじらない目の細かさに
大きさ・広さ
1〜2頭で最低30〜50平方m。泳げる深さ50cm以上のプールを含む
配置・レイアウト
- プール・日陰・小屋・餌場を離して配置し、動線を確保
- プールにはスロープと排水設備。立ち上がれる浅瀬も作る
- 逃げ込める隠れ場所を複数。餌場も複数にして争いを防ぐ
設置場所の注意
- 騒音や犬が吠える環境を避ける。驚くと柵に突進する
- 隣家への臭い・水の排水に配慮し、排水先を確認する
運動・部屋んぽ・散歩
- 放飼場で1日の大半を自由に過ごさせる。室内飼育は不可
- 散歩は原則不要だが、出す場合はハーネスと2人体制で
- 日光浴を毎日。ただし日陰にいつでも戻れるようにする
温湿度管理
適温18〜28℃が快適。10℃以下と32℃以上は危険
適湿度50〜70%。乾燥すると皮膚が荒れる
夏・冬の対策
- 夏:日陰・深い水場・ミストで冷却。日中は放飼場の日なたに出さない
- 冬:小屋にヒーター・温水プール。寒さに弱く風邪や凍傷になる
グルーミングと外敵からの保護
爪切り
土や硬い地面を歩けば自然に削れる。伸びて歩き方が変わる前に獣医師に切ってもらう
ブラッシング・皮膚被毛ケア
硬い毛で絡まない。水浴び後にブラシで泥や抜け毛を落とし、皮膚のひび割れや傷を確認
その他のケア
歯は牧草で自然に削れる。前歯の長さと顎の濡れを毎日見る。耳の中は水が溜まりやすく汚れを拭く
外敵からの保護
- 野良犬・野犬に襲われる。柵は掘られないよう地中まで埋める
- カラスが子どもや傷口を狙う。小屋に避難できるように
- 蚊・マダニ・ブユが多い。草刈りと水場の清掃で発生源を減らす
飼養上の注意(事故防止)
異物誤飲
ビニール・ロープ・釘など放飼場に落ちた物をかじって飲み込む。片付けを習慣にし、食欲低下や便の減少があれば当日中に受診
踏みつけ
子どもを大人が踏むことがある。出産後は親子専用の区画を用意し、小屋の床を広く取る
挟まれ
小屋の戸や柵の隙間に足や鼻を挟む。隙間は3cm以下にし、戸は自動で閉まらない構造にする
落下・転落
プールの縁や段差から転落し足を痛める。縁はスロープ状に、段差には滑り止めを付ける
逸走・脱走
柵の下を掘る・水路から逃げる。二重の囲いと地中埋設。逃げたら追わず好物と水で誘導し、警察と自治体に連絡
噛みついた時の安全な引き離し方
やってはいけないこと
- 噛まれた手を引き抜こうとしない。前歯で深く裂ける
- 叩いたり大声を出したりしない。パニックで余計に噛む
安全な引き離しの手順
- 力を抜いて動きを止め、相手が落ち着くのを待つ
- 好物の牧草や野菜を鼻先に出して関心をそらす
- もう一人が後ろから体を押さえ、口が開いた瞬間に離す
- 離れたらすぐ距離を取り、柵越しに様子を見る
引き離した後の処置
傷を流水で5分以上洗い圧迫止血。深い傷や出血が止まらない場合は人も受診。動物側も口内を確認
救命救急マニュアル
今すぐ夜間救急へ(命に関わる)
- 口を開けた呼吸・ぐったりして立てない
- けいれん・意識がない・倒れたまま
- 大量出血・骨が見える傷・足が異常な向き
- 腹が急に膨らみ苦しそうにしている
当日中に受診
- 12時間以上食べない・便が出ない
- よだれが止まらない・食べ落とす
- 足を引きずる・歩きたがらない
受診時に伝えること・持ち物
体重・最後に食べた時間・便の状態・水場の環境を伝え、便と食べ物の写真を持参。大型動物対応の病院を事前に確認
意識・呼吸・心拍の確認
- 名前を呼び体に触れて反応を見る。正常なら顔を上げる
- 胸の動きで呼吸を確認。安静時の呼吸は1分間に10〜30回ほど
- 肘の裏側の胸に手を当て心拍を確認。正常は1分間に60〜120回ほど
蘇生の手順
- 体が大きく自宅での蘇生は困難。まず動物病院に電話し指示を仰ぐ
- 横向きに寝かせ、首を伸ばして口の中の草や泡を取り除く
- 呼吸がなければ鼻に口を当て2〜3秒に1回息を吹き込む
- 胸の最も高い部分を両手で1分に100回ほど圧迫し、搬送まで続ける
止血
- 清潔なタオルで傷を強く押さえ、5分間離さない
- 足の出血は包帯を巻いて圧迫。止血帯は使わない
- 口や鼻からの出血は内臓損傷の恐れ。拭き取らず受診
搬送方法
- 大型犬用キャリーかシートに載せ、複数人で水平に運ぶ
- 夏は濡れタオルで冷却、冬は毛布で保温し、車内は静かに
ケースメソッドで学ぶ
