基本情報
- 寿命
- 小型8〜10年、オスカー・フラワーホーンは10〜15年
- 体重
- 体長6cm(小型アフリカン)〜35cm(オスカー)
- 性格
- 縄張り意識が強く闘争的。個体を認識し人に慣れる
- 飼育難易度
- 中〜高(闘争管理・大型水槽・種別の水質)
- 法規制
- 動物愛護法対象外。放流は外来生物法・条例違反の恐れ
- 最重要ポイント
- 産地で水質が正反対。混泳は闘争前提で設計する
生態と特徴
- 体の特徴
- ノドに第二の咽頭歯を持つ。アフリカ産は雌が卵を口で保育する。成熟雄は額にコブが出る
- 原産地・分布
- アフリカのマラウィ湖・タンガニイカ湖、南米アマゾン。フラワーホーンは人工交配種
- 野生での生息環境
- アフリカ産は岩場の多い硬水の湖、エンゼル・オスカーは流れの緩い弱酸性の河川
- 活動時間・睡眠
- 昼行性。夜は体色が薄くなり岩陰や底で休む。照明で昼夜のリズムを作る
- 社会性・人との関係
- 縄張りを持ち同種・同色の相手を攻撃する。飼い主を覚え手から餌を食べる
特徴的な行動・習性
- 雌は卵と稚魚を口にくわえて守り、その間は絶食する
- 砂を掘り岩を動かして巣を作る。レイアウト崩れは正常行動
- ヒレを広げ体を震わせる威嚇から追い回しへ進む
かかりやすい病気と予兆の見方・予防
マラウィブロート
予兆腹が膨れ白く糸状の糞、餌を吐く、呼吸が速い、岩陰で動かない、数日で急死
予防アフリカ産草食種に動物性の餌を与えない。pH7.8以上を維持し過密ストレスを減らす
頭部穴あき病
予兆頭や側線に小さな穴やくぼみ、白い糸状の糞、痩せる、体色が黒ずむ
予防オスカー・エンゼルに多い。硝酸塩を溜めない換水、栄養の偏らない餌
白点病
予兆体やヒレに塩粒状の白点、岩にこすりつける、ヒレをたたむ
予防導入時は別水槽で2週間観察。換水時の水温差を1℃以内に
エロモナス感染症
予兆鱗が松かさ状に逆立つ、腹水、赤い出血斑、目の突出、潰瘍
予防闘争で傷を作らない。残餌を残さず底砂の汚れを週1回吸い出す
消化不良・便秘
予兆腹が張る、糞が出ない・途切れる、食欲低下。大食のフラワーホーンに多い
予防1日の餌を数分で食べ切る量に。週1回絶食日を設け肥満を防ぐ
エラ病・寄生虫
予兆片側のエラを閉じる、呼吸が速い、エラが腫れ赤黒い、水面近くで口を動かす
予防新魚のトリートメント徹底。アンモニア・亜硝酸をゼロに保つ
病気の予兆チェックリスト
毎日1回チェック。1つでも当てはまれば早めに動物病院へ相談。
病気の応急処置
腹が膨れ白い糞
マラウィブロートを疑い即隔離。餌を止め、pHと水温を本水槽と同じに保ち、当日中に魚を診る店・病院へ相談
頭に穴・くぼみ
1/3換水し硝酸塩を下げる。餌を種に合う配合飼料へ。穴が広がる・痩せが進めば数日以内に相談
水面で口パク
同温・同pHの水で1/3換水しエアレーション追加。餌を止め、ろ過停止・死骸・残餌を確認
松かさ・出血斑
隔離し毎日1/3換水。0.3〜0.5%塩水浴を試し、改善なければ当日中に魚を診る動物病院へ
起こりやすい怪我と予防・応急処置
闘争による咬傷
予防隠れ家を魚数以上用意。同色・同種の雄を複数入れない。導入は同時かレイアウト変更時
応急処置負け個体をセパレーターか別容器へ隔離。清潔な水で0.3〜0.5%塩水浴。白い綿が付けば水カビ対策
目の損傷・突出
予防闘争と尖った岩を避ける。網ではなく容器ですくう
応急処置隔離し清潔な水を維持。片目の突出は外傷、両目は感染を疑い当日中に相談
飛び出し・落下
予防必ず重いフタをする。驚かせない。大型種は水位を低めに
応急処置濡れた手で戻し弱い水流の場所で待つ。ヒレが乾いていれば粘膜保護剤を規定量
口・唇の損傷
予防フタ裏やガラスへ激突させない。口内保育中の雌を追われない環境に
応急処置隔離し餌は小さく柔らかく。口が閉じない・食べられない時は数日以内に相談
動物由来感染症(人にうつる病気)
非結核性抗酸菌症
感染経路水槽水や魚に触れた手の傷から感染
予防手に傷があれば手袋。作業後は石けんで洗う
サルモネラ症
感染経路水槽水・底砂・ろ材に触れた手から口へ
予防水槽の水を台所で流さない。作業後に手洗い
エロモナス症
感染経路汚れた水槽水が傷口に入る
予防傷がある時は作業を避ける。水換え後に手と腕を洗う
刺傷の細菌感染
感染経路背ビレの硬い棘が手に刺さる
予防大型魚は素手で持たず容器で移す。刺されたら流水洗浄
飼養条件:餌・水・おもちゃ・巣・床材
餌
- 種に合う配合飼料を1日1〜2回、2〜3分で食べ切る量
- アフリカ産草食種はスピルリナ系、オスカーは肉食用ペレット
- フラワーホーンは週1回絶食日を設けて肥満を防ぐ
水
- アフリカ産はpH7.8〜8.6の硬水、南米産はpH6.0〜7.0
- 週1回1/3換水。カルキ抜きし水温差1℃以内で
与えてはいけないもの
- アフリカ産草食種に赤虫・牛ハツなど動物性の餌
- 淡水魚(金魚・メダカ)の生き餌(寄生虫・病気の持ち込み)
- 人の食べ物・パン・加工肉
おもちゃ・遊び
- 手から餌を与えると個体を認識し慣れる
- 岩やレイアウトの定期的な組み替えで縄張りをリセット
- オスカーは水面のピンポン玉などを突いて遊ぶ
巣・寝床・隠れ家
- アフリカ産は岩組みで魚数以上の隙間・穴を作る
- エンゼルは縦長の水草・流木、オスカーは広い底面
床材・トイレ
- アフリカ産はサンゴ砂でpHを高く保つ
- 南米産は細かい砂か砂利、水草を植える
- 底砂は掘られて動く前提で機材を固定
飼養環境:ケージ・運動・温湿度
ケージ・ハウスの素材
ガラス水槽。重いフタ。強力な外部式か上部式ろ過器
大きさ・広さ
小型アフリカンは60cm以上、オスカー・フラワーホーンは90〜120cm以上
配置・レイアウト
- 岩組みは崩れないよう底ガラスに直接置き接着固定
- ヒーターはカバー付きで岩から離して設置
- 視線を遮る障害物で縄張りの境界を作る
設置場所の注意
- 水槽台は満水時の重量(60cmで約80kg)に耐える物
- 直射日光・振動・玄関の寒暖差を避ける
運動・部屋んぽ・散歩
- 散歩は不要。泳ぎ回れる遊泳空間と隠れ家を両立
- 照明は1日8〜10時間でタイマー管理
- 毎日1回、全個体の体表・ヒレ・糞・呼吸を観察
温湿度管理
適温24〜28℃をヒーターで一定に。1日の変動は2℃以内
適湿度フタで蒸発と飛び出しを防ぐ。減った分は足し水
夏・冬の対策
- 夏:30℃超で酸欠。冷却ファン・エアレーション追加
- 冬:ヒーター故障に備え予備を常備。停電時は保温
グルーミングと外敵からの保護
爪切り
爪切りはない。代わりに週1回の底砂掃除と残餌・糞の吸い出しが基本ケア
ブラッシング・皮膚被毛ケア
ブラッシングはない。体表の傷・鱗はがれを毎日観察し、網は使わず容器ですくう
その他のケア
ろ材は飼育水で軽くすすぐ。フィルターのスポンジは一度に全交換しない
外敵からの保護
- 猫が水槽に手を入れないよう重いフタと施錠
- 同居魚の攻撃から負け個体をセパレーターで保護
- 大型種は小型魚を捕食するため混泳させない
飼養上の注意(事故防止)
異物誤飲
オスカー・フラワーホーンは砂利や飾りを飲み込む。口に入る大きさの装飾を置かず、底砂は細かい砂か大きい岩にする
踏みつけ
水槽外に飛び出した魚を踏まない。床で発見したら濡れた手で拾い、乾いていても水に戻し数時間待つ
挟まれ
岩組みの隙間や外部フィルターの吸水口に挟まる。吸水口にスポンジを付け、岩は固定して崩れない構造に
落下・転落
岩の崩落で魚が圧死・水槽ガラスが割れる。岩は底ガラスに直接置き、掘られても崩れないよう接着する
逸走・脱走
フタの隙間からの飛び出しが最多。重いガラスフタと隙間塞ぎ。放流は外来生物法・条例違反になり得るため絶対にしない
噛みついた時の安全な引き離し方
やってはいけないこと
- 指を引き抜こうと振り回す(魚の歯と顎が傷つく)
- 水面を叩いて脅す、魚をつかみ上げる
安全な引き離しの手順
- 手を水中で静止し、魚が自分から離すのを待つ
- 離さない時は反対の手で魚の体を水中で軽く支える
- 手をゆっくり魚の口から抜き、指を水から出す
- 大型種は手を入れずに給餌器具やトングを使う
引き離した後の処置
傷を流水で洗い消毒。赤み・腫れ・発熱があれば抗酸菌症を疑い皮膚科へ
救命救急マニュアル
今すぐ夜間救急へ(命に関わる)
- 水面で激しく口パク・横たわる(酸欠・中毒)
- 複数匹が同時に弱る、連続死
- 腹の膨張と白い糞で急激に衰弱
- ヒーター故障で水温が20℃以下か32℃以上
当日中に受診
- 松かさ・出血斑・目の突出
- 深い咬傷、口が閉じない、片目の突出
- 頭の穴が広がり餌を食べない
受診時に伝えること・持ち物
種名・体長・pHと水温・アンモニア等の数値・餌・最終換水日・写真動画。移送は飼育水で
意識・呼吸・心拍の確認
- エラ蓋の動きを数える(安静時毎分60〜90回が目安)
- 横たわる・反応がない時は目と体色を見る
- pH・アンモニア・亜硝酸・水温を即測定
蘇生の手順
- 同温・同pHの水で1/3〜半分を換水しエアレーション最大
- 弱い水流の場所に頭を上流に向けて支え、エラに水を通す
- 照明を消し暗く静かに。餌を止めて観察
- 改善なければ飼育水ごと魚を診る病院へ連絡
止血
- 魚の出血は水中で止まりにくい。まず隔離し安静に
- 清潔な水で0.3〜0.5%塩水浴し二次感染を防ぐ
- エラからの出血や止まらない時は当日中に相談
搬送方法
- 飼育水を入れた袋か容器に酸素を入れ、暗く保温して運ぶ
- 袋は魚が横にならない水量。発泡箱で水温を保つ
ケースメソッドで学ぶ
