基本情報
- 寿命
- 10〜13年
- 体重
- 6〜14kg
- 性格
- 陽気で甘えん坊。暑さと運動に極端に弱い
- 飼育難易度
- 高(呼吸・熱中症・皮膚・眼の管理)
- 法規制
- 登録・狂犬病予防注射が義務(狂犬病予防法)
- 最重要ポイント
- 25℃超は熱中症域。いびきと呼吸音を毎日観察
生態と特徴
- 体の特徴
- 鼻が短く鼻孔が狭い。軟口蓋が長く気道が細い。目が突出し傷つきやすい
- 原産地・分布
- パグは中国の愛玩犬。ブルドッグ系は英国が起源で仏・米で小型化
- 野生での生息環境
- 祖先オオカミは森林〜草原。短頭種は人が作った品種で室内向き
- 活動時間・睡眠
- 昼行性寄りだが暑い時間帯は活動できない。いびきで睡眠の質が落ちやすい
- 社会性・人との関係
- 群れの社会性が高く人に密着したがる。攻撃性は低く子どもにも寛容
特徴的な行動・習性
- パンティング(あえぎ呼吸)で放熱しにくく体温が下がらない。暑さに最弱
- 興奮すると呼吸が乱れ失神することがある。遊びは短時間で区切る
- 顔のしわに皮脂や食べかすがたまり皮膚炎に。毎日拭いて乾かす
かかりやすい病気と予兆の見方・予防
短頭種気道症候群
予兆激しいいびき、ガーガーと苦しそうな呼吸、運動後に舌が紫、興奮すると失神、吐き戻し
予防肥満厳禁。興奮・暑さ・長時間運動を避ける。ハーネス使用。若齢での鼻孔・軟口蓋手術を相談
熱中症
予兆口を大きく開けたパンティング、よだれ、舌が赤黒い、ふらつき、嘔吐、意識低下
予防25℃超で外出を控える。冷房24時間。散歩は早朝・夜のみ。車内放置は数分でも厳禁
皮膚皺襞炎
予兆顔・しっぽのしわの奥が赤い、臭う、湿ってただれる、かゆがって顔をこする
予防毎日しわの奥を湿らせたガーゼで拭き、乾いた布で水分を残さない。食後は必ず拭く
角膜潰瘍
予兆目を細める、涙・目やに、目の表面が白く濁る、前足で目をこする。目が出ているため傷つきやすい
予防顔をこすらせない。散歩は草むらを避ける。目を細めたら当日受診(数日で穴があく)
椎間板ヘルニア
予兆抱くと鳴く、背中を丸める、後ろ足のふらつき・麻痺。フレブルは遺伝的に背骨の奇形が多い
予防肥満防止。段差にスロープ。ジャンプ禁止。抱く時は胸と腰を水平に支える
アレルギー性皮膚炎
予兆足先・脇・耳・お腹をかゆがる、赤み、脱毛、耳の炎症。フレブル・パグに多い
予防週1回のシャンプー。食物アレルギーは療法食で特定。早期に受診し原因を調べる
病気の予兆チェックリスト
毎日1回チェック。1つでも当てはまれば早めに動物病院へ相談。
病気の応急処置
呼吸が苦しそう・舌が紫
冷房の効いた部屋で安静、興奮させない。首・脇を水で濡らし扇風機。改善しなければ即夜間救急へ電話
熱中症の疑い
涼しい場所で首・脇・内股に常温の水をかけ扇風機で冷やす。氷は使わない。冷やしながら即受診
目を細めて痛がる
エリザベスカラーで目をこすらせない。目薬を勝手にささず当日中に受診(潰瘍は数日で穿孔)
吐き戻し・泡を吐く
呼吸に問題がないか観察。食事を少量に分け食後は安静。繰り返す・呼吸が荒いなら受診
起こりやすい怪我と予防・応急処置
眼球の傷・脱出
予防目が出ているため物にぶつけやすい。低い家具の角を保護。他犬との顔の接触に注意
応急処置眼球が飛び出したら触らず湿らせたガーゼで覆い即救急へ。乾燥させない
熱中症(散歩中)
予防散歩は気温25℃以下・早朝夜間のみ。保冷剤入りベストと水を携帯
応急処置日陰で体に水をかけ扇風機か風を当てる。歩かせず抱いて即受診
椎間板損傷
予防ソファ・ベッドへのジャンプ禁止。段差にスロープ。フローリングにマット
応急処置板やクレートに乗せ背骨を動かさず即受診。痛がっても抱き上げない
誤嚥(吐き戻し)
予防早食い防止皿。食後の運動・興奮を避ける。食器を少し高くする
応急処置吐き戻し後に咳・呼吸が荒くなれば誤嚥性肺炎の恐れ。当日中に受診
動物由来感染症(人にうつる病気)
パスツレラ症
感染経路咬傷・ひっかき傷・口移し
予防傷はすぐ流水で洗う。口移し・キスをしない。傷が腫れたら受診
狂犬病
感染経路感染犬の咬傷(日本は清浄国だが輸入例あり)
予防年1回の予防注射は法的義務。海外で犬に咬まれたら即受診
皮膚糸状菌症
感染経路感染犬の皮膚・毛に触れる
予防円形脱毛を見たら受診。触れた後は手洗い。寝具を分ける
イヌ回虫症
感染経路便中の卵が手や土から口に入る
予防便はすぐ処理。定期駆虫。子どもが遊ぶ場所での排便を避ける
飼養条件:餌・水・おもちゃ・巣・床材
餌
- 総合栄養食を1日2〜3回、早食い防止皿で
- 肥満は呼吸を悪化させる。肋骨が触れる体型を
- 食器は少し高い台に置き吐き戻しを防ぐ
水
- 常に新鮮な水。夏は氷を浮かべ複数か所に
- 散歩には必ず水と保冷剤を携帯
与えてはいけないもの
- ぶどう・レーズン・玉ねぎ・チョコレート
- キシリトール入り菓子・ガム
- 鶏の骨・大きな塊(喉に詰まりやすい)
おもちゃ・遊び
- 柔らかいロープ・ゴム製おもちゃ(短時間で)
- 知育トイ・嗅覚遊びで興奮せず頭を使う
- 激しい引っ張りっこ・ボール投げは控える
巣・寝床・隠れ家
- 冷房が効く静かな場所にクレート
- 頭を高くして寝られるクッション(呼吸が楽)
床材・トイレ
- 夏はアルミ・ジェルの冷却マット
- 滑らない床材(コルク・ラバーマット)
- 室内トイレ。ペットシーツを毎回交換
飼養環境:ケージ・運動・温湿度
ケージ・ハウスの素材
通気性の良いスチール製クレート(密閉型は避ける)
大きさ・広さ
伏せ・立ち・回転ができる(奥行75cm程度)
配置・レイアウト
- クレートは冷房の風が届く壁際に
- 水皿は給水ボトルと重い容器の両方
- 床に冷却マットとすべり止め
設置場所の注意
- 直射日光・窓際・熱がこもる場所は厳禁
- 夏は室温計を犬の高さに置き25℃以下を確認
運動・部屋んぽ・散歩
- 1日2回・各15〜20分。息が荒くなれば中止
- 気温25℃以上・湿度70%以上は散歩しない
- ハーネス必須。首輪は気道を圧迫する
温湿度管理
適温20〜24℃。25℃超で熱中症の危険域
適湿度40〜60%。多湿は呼吸と皮膚を悪化させる
夏・冬の対策
- 夏:冷房24時間、散歩は早朝5時台・夜のみ
- 冬:暖房の乾燥で鼻が詰まる。加湿器を使う
グルーミングと外敵からの保護
爪切り
2〜3週に1回。爪切り中に興奮させない、息が荒くなれば中断
ブラッシング・皮膚被毛ケア
週2回のラバーブラシ。毎日しわの奥を拭き乾かす。週1シャンプー
その他のケア
毎日目の表面を確認し目やにを拭く。歯磨き毎日。しっぽの根元も拭く
外敵からの保護
- 蚊によるフィラリア(毎月予防薬)
- マダニ(散歩後に全身チェック)
- 他犬との顔の接触(眼の傷を防ぐ)
飼養上の注意(事故防止)
異物誤飲
食いしん坊で靴下・おもちゃ・食べ物の包装を丸飲みしやすい。気道が狭く窒息の危険大。吐かせず即受診
踏みつけ
足元にまとわりつくため踏まれやすい。踏まれた後に呼吸が荒くなれば即受診(胸部の圧迫が致命的)
挟まれ
ドア・引き戸にしっぽや足を挟む。ドアストッパーを使い、犬がいる部屋のドアはゆっくり閉める
落下・転落
ソファ・ベッドからの飛び降りで背骨と膝を痛める。スロープ設置。抱っこは座って行う
逸走・脱走
暑い日に逃げると数十分で熱中症になる。玄関にゲート、鑑札・マイクロチップ装着。逃げたら追わず水を持って探す
噛みついた時の安全な引き離し方
やってはいけないこと
- 引っ張って引き離す(傷が裂ける)
- 首輪を強く引く(気道が閉塞し失神する)
安全な引き離しの手順
- 動きを止め、静かに低い声で「離せ」と言う
- 犬の後ろ足を持ち上げるか胴体を後ろへ引く
- 水をかける・おやつで気をそらす
- 離れたら涼しい部屋に隔離し呼吸を落ち着かせる
引き離した後の処置
傷を流水で10分洗い圧迫止血。犬の呼吸も確認。腫れれば人の病院へ
救命救急マニュアル
今すぐ夜間救急へ(命に関わる)
- 舌・歯ぐきが紫、呼吸が苦しそう
- パンティングが止まらず意識が薄い
- 眼球が飛び出た・目から出血
- 後ろ足が突然動かない
当日中に受診
- 目を細めて開けない・目が白く濁る
- 1日に2回以上の吐き戻し
- しわがただれて出血・強い臭い
受診時に伝えること・持ち物
発症時刻・室温・散歩の時間・吐物の写真・服用中の薬。搬送中も冷やし続ける
意識・呼吸・心拍の確認
- 呼びかけ・耳をつまんで反応を見る
- 胸の動きで呼吸確認(正常15〜30回/分)
- 内股の付け根で脈確認(正常80〜130回/分)
蘇生の手順
- 仰向けに寝かせ、胸骨の上に両手を重ねる
- 胸の厚みの1/3沈む強さで1分100〜120回
- 30回押したら口を閉じ鼻から2回息を吹き込む
- 2分ごとに脈を確認し、受診まで続ける
止血
- 清潔なタオルで5分以上強く圧迫
- 四肢は心臓より高く上げる
- 止まらない時は圧迫したまま即受診
搬送方法
- 冷房の効いた車で、保冷剤をタオルで包み体に
- 意識がなければ首を伸ばし舌を引き出し気道確保
ケースメソッドで学ぶ
