基本情報
- 寿命
- 10〜20年(飼育下では20年を超える例も)
- 体重
- 30〜45kg(体高1.5〜1.9m・雌がやや大きい)
- 性格
- 好奇心旺盛で臆病。驚くと猛然と走る
- 飼育難易度
- 高(広い囲い・頑丈な柵・蹴りの危険)
- 法規制
- 家畜伝染病予防法の対象、家畜保健衛生所へ届出
- 最重要ポイント
- 蹴りは骨を折る威力。正面に立たず柵は1.8m以上
生態と特徴
- 体の特徴
- 飛べない。3本指の強靭な脚で時速50km、羽毛は一本から二本の羽軸が出る
- 原産地・分布
- オーストラリア本土全域(タスマニア亜種は絶滅)
- 野生での生息環境
- 草原・疎林・半乾燥地。水場を求め長距離を移動
- 活動時間・睡眠
- 昼行性。朝夕に採食し、日中は日陰で休む
- 社会性・人との関係
- 普段は単独か小群。繁殖期は雄が抱卵し雛を育てる
特徴的な行動・習性
- 小石を飲み込み筋胃で食物をすり潰す(異物も飲む)
- 驚くとジグザグに疾走し柵に激突する
- 雄は約8週間絶食に近い状態で抱卵する
かかりやすい病気と予兆の見方・予防
雛の脚弱・脚の変形
予兆脚が外側にねじれる・関節が腫れる・座り込む・歩幅が狭い。生後数週〜数か月に多い
予防滑らない床材、走鳥類用飼料で急成長を避ける、毎日広い場所で運動。異常は即受診
前胃の異物閉塞
予兆食欲低下、首を伸ばして飲み込む仕草、便が減る・細い、体重減少、元気消失
予防囲い内の釘・針金・ひも・ビニール・小さなゴミを毎日点検して除去。砂利を敷きすぎない
鳥インフルエンザ
予兆急な元気消失、神経症状、複数羽の同時死亡。届出伝染病で疑えば通報義務
予防野鳥の侵入防止、靴の消毒、水場に野鳥を寄せない。異常は家畜保健衛生所へ即連絡
アスペルギルス症
予兆開口呼吸、呼吸音、運動後に強い息切れ、食欲低下。カビた敷料や湿った小屋で発生
予防敷料は乾燥したものを使い湿ったら即交換。小屋の換気を良くし梅雨は特に注意
消化管寄生虫
予兆下痢(血便・緑便)、体重減少、羽のつや消失。雛では急な衰弱、虚脱
予防定期的な糞便検査と駆虫を獣医師と計画。糞の毎日除去、水容器の洗浄、過密を避ける
趾瘤症(足底炎)
予兆足裏の腫れ・かさぶた・潰瘍、跛行、立つのを嫌がる。硬い床や泥濘で悪化
予防水はけの良い地面と乾いた休憩場所。月1回足裏を観察し赤みがあれば早期受診
病気の予兆チェックリスト
毎日1回チェック。1つでも当てはまれば早めに動物病院へ相談。
病気の応急処置
脚のねじれ・跛行
走らせず狭い柔らかい床の区画に移す。脚を引っ張らない。雛は成長中なので翌日までに受診
食欲低下・便減少
異物摂食を疑い囲いを点検。水は飲めるようにし強制給餌はしない。24時間続けば受診
開口呼吸・呼吸音
敷料を乾いた物に替え換気。暑ければ日陰と水。当日中に受診し、カビの有無を伝える
下痢・血便
便を採取し冷蔵。水場を清潔にし他個体と分ける。雛や血便は当日中、成鳥も2日以内に受診
起こりやすい怪我と予防・応急処置
脚の骨折
予防柵は見えやすく角を丸く。驚かせない(犬・花火・急な接近)。地面の穴を埋める
応急処置追わず静かに区画を狭める。添え木は巻かず暗い場所で安静。即日、大動物対応の獣医師へ
柵・金網による裂傷
予防有刺鉄線・突起のない柵を使う。網目は頭や脚が入らない大きさに
応急処置清潔なガーゼで圧迫。羽毛を切って傷を露出させず、深い傷や出血が止まらない時は当日受診
頸部の捻挫・骨折
予防網目や柵の隙間に首を入れられない構造にする。給餌器も頭が抜ける形状に
応急処置首を引き抜かず柵側を切る。頭を支えて動かさない。首が垂れる・立てない時は夜間でも救急へ
捕獲時の脱臼
予防脚や首を掴まない。2人以上で後方から胴を抱える。頭に布を被せ落ち着かせる
応急処置直ちに保定を解き暗く静かな場所へ。脚を引かずに立てないなら当日中に受診
動物由来感染症(人にうつる病気)
鳥インフルエンザ
感染経路糞・呼吸器分泌物の吸入・接触
予防作業時はマスク・手袋。異常死は触らず家畜保健衛生所へ通報
サルモネラ症
感染経路糞・卵の殻・汚れた手を介した経口
予防世話の後は手洗い。卵は洗浄後に冷蔵し十分加熱する
カンピロバクター症
感染経路糞で汚れた水・飼料・手からの経口
予防囲い専用の靴と手袋。子どもや高齢者は世話の後に必ず手洗い
オウム病
感染経路乾いた糞の粉塵の吸入
予防掃除前に水で湿らせ粉塵を抑える。発熱や咳が続けば飼育歴を医師へ
飼養条件:餌・水・おもちゃ・巣・床材
餌
- 走鳥類(ダチョウ)用配合飼料を主食に1日2回
- 青草・葉野菜・果物を補助的に与える
- 小粒のグリット(砂利)を別容器で常時用意
水
- 大きな容器にたっぷり、1日2回交換
- 冬は凍結防止、夏は日陰に置き藻を取る
与えてはいけないもの
- アボカド・ネギ類・チョコレート
- カビた飼料・腐った果物・塩分の多い残飯
- 光る小物・輪ゴム・ひも類(飲み込む)
おもちゃ・遊び
- 吊るした葉野菜や枝(つつく・引っ張る)
- 浅いプールや水浴び場(夏の遊び・体温調節)
- 飲み込めない大きさの丈夫なボール
巣・寝床・隠れ家
- 三方を囲った屋根付きの乾いた小屋
- 繁殖期は雄が巣を作る藁置き場を囲いの隅に
床材・トイレ
- 小屋は乾いた藁・ウッドチップを厚めに
- 運動場は砂地か短草、水はけを確保
- 糞は毎日除去し湿った敷料は即交換
飼養環境:ケージ・運動・温湿度
ケージ・ハウスの素材
高さ1.8m以上の目の細かい金網か板柵。有刺鉄線は不可
大きさ・広さ
1〜2羽で100㎡以上、助走できる直線部分を確保
配置・レイアウト
- 角は丸くし激突時の衝撃を減らす
- 小屋は風上側に、水場は小屋から離して設置
- 柵沿いに見やすい板やテープで柵を認識させる
設置場所の注意
- 犬や車の騒音が直接届かない場所にする
- ぬかるみができない水はけの良い土地を選ぶ
運動・部屋んぽ・散歩
- 散歩ではなく広い囲いで1日中自由に運動させる
- 囲いの外に出す時は二重柵と2人以上で対応
- 雛は毎日屋外で走らせ脚を鍛える
温湿度管理
適温暑さ寒さに強く5〜35℃程度は屋外可、日陰と風よけを用意
適湿度湿気に弱い。小屋は乾燥を保ち、梅雨は敷料交換を増やす
夏・冬の対策
- 夏:日陰・水浴び場・冷たい水。熱中症より蚊と湿気に注意
- 冬:乾いた風よけ小屋と凍らない水。雪は問題ないが氷に注意
グルーミングと外敵からの保護
爪切り
通常は不要。軟らかい地面だけだと伸びるので、獣医師と保定して切る
ブラッシング・皮膚被毛ケア
ブラシ不要。砂浴び場を用意し、泥で固まった羽は乾いてから手で崩す
その他のケア
足裏の傷と趾瘤症を月1回確認。くちばしの欠け、目やにも点検
外敵からの保護
- 野犬・アライグマは雛と卵を狙う、小屋は夜施錠
- カラスは雛を襲う、雛の区画は上にネット
- 蚊・ブユを減らすため水たまりをなくす
飼養上の注意(事故防止)
異物誤飲
光る物・釘・針金・ひも・ビニールは何でも飲む。囲いに入る前にポケットを空にし、工具や落とし物を残さない
踏みつけ
雛は成鳥や人に踏まれやすい。雛の区画は分け、人が入る時は足元を見る。踏まれて立てなければ当日受診
挟まれ
柵の隙間に首や脚を入れて抜けなくなる。網目を小さくし、挟まったら引き抜かず柵側を切って外す
落下・転落
溝・池・穴に落ちて脚を折る。囲い内の穴は埋め、池は浅くし緩やかな斜面にする
逸走・脱走
柵1.8m以上、扉は二重に。逃げたら追わず、餌と仲間の声で誘導し警察と自治体へ連絡。車道側を先にふさぐ
噛みついた時の安全な引き離し方
やってはいけないこと
- 正面に立たない、しゃがまない(蹴りの軌道)
- 首や脚を掴んで引き離さない
安全な引き離しの手順
- つつかれても叫ばず、ゆっくり横か後ろに回る
- 顔を守りつつ腕を高く上げ、頭に布をかぶせる
- もう1人が後方から胴を抱えて動きを止める
- 柵の外へ下がり扉を閉めてから手を離す
引き離した後の処置
蹴られた箇所は骨折を疑い腫れや痛みがあれば整形外科へ。傷は流水で洗い破傷風の確認
救命救急マニュアル
今すぐ夜間救急へ(命に関わる)
- 立てない・脚が明らかに曲がっている
- 首が垂れる・ぐったり・反応がない
- 開口呼吸で苦しそう・口から血
- 柵に挟まり抜けない・大量出血
当日中に受診
- 24時間以上食べない・便が出ない
- 跛行・関節の腫れが出た
- 血便や下痢が続く・雛の下痢
受診時に伝えること・持ち物
体重、症状の経過、飼料と囲いの環境、便や異物の写真。大動物対応か事前に電話確認
意識・呼吸・心拍の確認
- 名前や音への反応、首を上げられるか見る
- 胸と腹の動きで呼吸を確認、正常は静かで規則的
- 体温は総排泄腔で約38℃、冷たければ保温
蘇生の手順
- 大型で蹴る危険があり胸部圧迫は現実的でない
- 気道確保:首を伸ばし口の中の異物や粘液を除く
- 横向きに寝かせ胴を毛布で保温、頭は少し高く
- 酸素や処置は獣医師に任せ、搬送しつつ電話
止血
- 清潔な布で5分以上強く圧迫し続ける
- 脚の出血は布で巻き圧迫、止血帯は使わない
- 折れた羽軸からの出血は根元を圧迫し受診
搬送方法
- 頭に布をかぶせ、2人で胴を抱えて大型ケージか車へ
- 床に毛布を敷き横臥か伏せ姿勢、急発進せず静かに
ケースメソッドで学ぶ
