基本情報
- 寿命
- 10〜14年(飼育下)
- 体重
- 1〜1.5kg
- 性格
- 臆病で警戒心が強く、夜に活発。大声で鳴き穴を掘る
- 飼育難易度
- 高(夜間の騒音・穴掘り・臭い・専門病院の少なさ)
- 法規制
- CITES附属書II。動物愛護管理法対象。輸入時は検疫と届出
- 最重要ポイント
- 驚かせない静かな環境と夜間の運動場所が必須
生態と特徴
- 体の特徴
- 体長30〜40cm。体に対し巨大な耳で放熱と音の探知。足裏に毛が生え砂で滑らない
- 原産地・分布
- 北アフリカのサハラ砂漠とアラビア半島北部
- 野生での生息環境
- 砂漠・砂丘地帯。砂に深い巣穴を掘って暮らす
- 活動時間・睡眠
- 夜行性。昼の暑さを巣穴で避け夜に狩りをする
- 社会性・人との関係
- 10頭前後の家族群で暮らす。人には臆病で警戒心が強い
特徴的な行動・習性
- 深さ数mの巣穴を掘る。飼育下でも掘り行動が強い
- 垂直に1m近く跳び、昆虫や小動物を捕らえる
- 興奮や警戒時に大声で鳴き夜間に騒がしい
かかりやすい病気と予兆の見方・予防
腎臓病
予兆多飲多尿・体重減少・食欲低下・嘔吐・口臭
予防水を常時飲める環境。高齢期は年2回の血液・尿検査で早期発見
肥満・脂肪肝
予兆腹や首の脂肪・動かない・急な食欲不振後にぐったり
予防犬猫用高脂肪フードの常用を避け、昆虫・低脂肪肉を主体に体重管理
歯周病・歯の破折
予兆口臭・よだれ・片側で噛む・顔の腫れ・硬いものを避ける
予防硬すぎる骨やケージ噛みを避け、年1回の歯科検診。歯磨きは慣らして
消化管内寄生虫
予兆下痢・軟便・体重減少・肛門を床にこする
予防導入時と年1〜2回の糞便検査。砂・床材は定期的に全交換
ジステンパー・パルボ
予兆発熱・目やに鼻水・嘔吐・下痢・けいれん
予防犬と同じウイルスに感染する。ワクチンの可否と種類を獣医に相談
ストレス性の自傷・脱毛
予兆尾や足をなめ続ける・脱毛・同じ場所を往復し続ける
予防隠れ家と掘れる場所を確保。大きな音・急な接近・来客時の刺激を避ける
病気の予兆チェックリスト
毎日1回チェック。1つでも当てはまれば早めに動物病院へ相談。
病気の応急処置
多飲多尿・嘔吐
腎臓病の疑い。水を切らさず、尿を吸わせたキッチンペーパーか採尿容器を持って当日受診。食べないなら即受診
下痢が続く
便を密閉袋に入れ当日受診。半日以上食べない・血便・ぐったりは即受診。水は常に飲めるように
けいれん・意識混濁
触らず周囲の物をどけ、暗く静かにして時間を測る。おさまっても即受診。動画を撮って獣医に見せる
口を開けて速い呼吸
熱中症か強いストレス。涼しく暗い部屋で濡れタオルをかけ扇風機で冷やす。改善しなければ即受診
起こりやすい怪我と予防・応急処置
落下による骨折
予防跳躍力が高くカーテンや棚に登る。登れる足場を作らず高い所を封鎖
応急処置触らずタオルで包みキャリーで安静。当日中に受診。痛がる部位は固定しない
耳の裂傷・血腫
予防大きな耳が金網や家具に引っかかる。網目は細かく、鋭い角をなくす
応急処置ガーゼで圧迫止血。耳が膨らむ・裂けている場合は当日受診。自分で切らない
爪・指の挟まれ
予防ワイヤー床は使わない。金網の目は指が入らない細かさに
応急処置引っ張らず金網側を外す。出血は圧迫、爪が剥がれたら受診
パニックによる激突
予防急な大音・来客・掃除機の前に隠れ家へ誘導。ガラス窓に目印を貼る
応急処置暗く静かな場所で落ち着かせ、歩き方・鼻血・目の異常を確認。異常があれば当日受診
動物由来感染症(人にうつる病気)
狂犬病(輸入時)
感染経路咬傷(国内発生はないが輸入動物に注意)
予防正規輸入・検疫済み個体を選ぶ。咬まれたら流水で洗い人の病院へ
サルモネラ症
感染経路糞・生肉の取り扱い・口移し
予防世話の後は必ず手洗い。生肉は別のまな板で扱う
寄生虫症(回虫など)
感染経路糞便・汚れた砂や床材
予防糞は毎日撤去、砂の交換時は手袋。定期の糞便検査
咬傷による細菌感染
感染経路咬傷・ひっかき傷
予防傷は流水で洗い、腫れ・発熱があれば人の病院へ
飼養条件:餌・水・おもちゃ・巣・床材
餌
- 高品質の犬用・フェレット用フードを基本に昆虫・鶏肉を追加
- 夕方〜夜に1日2回。食べ残しは翌朝撤去
- 野菜・果物は少量。ゆで卵・レバーは週1〜2回
水
- 新鮮な水を常時。倒れない重い器か給水ボトルを併用
- 砂遊びで汚れやすいので1日2回交換
与えてはいけないもの
- 玉ねぎ・にんにく・チョコ・ぶどう・キシリトール
- 生の骨(歯が折れる・消化管を傷つける)
- 野外の虫(農薬・寄生虫)・人の食事の残り
おもちゃ・遊び
- 餌を隠すフォージングトイ・ペットボトルの知育玩具
- 掘れる砂箱(深さ30cm以上、細かい砂)
- 猫用の羽根じゃらし・ボール(夜に一緒に遊ぶ)
巣・寝床・隠れ家
- 暗く狭い巣箱を複数。入口は1つで人の目線から隠れる
- 布のトンネル・ドームベッド(噛みちぎりに注意)
床材・トイレ
- 砂・ヤシ殻・木のチップ。掘れる厚みを確保
- トイレは猫用トイレで覚える個体が多い。決まった隅に設置
- 糞尿は毎日撤去。臭いが強いので週1回丸洗い
飼養環境:ケージ・運動・温湿度
ケージ・ハウスの素材
金属製の大型犬用か猫用の多段ケージ。木製・布製は噛み抜く
大きさ・広さ
最低幅1.2m×奥行0.8m×高さ1.5m。放し飼い部屋と併用が理想
配置・レイアウト
- 下段に砂箱とトイレ、上段に巣箱と休息棚
- ジャンプで届く棚の間隔は落下しても安全な高さに
- 隠れ家はケージの奥、出入口から見えない位置に
設置場所の注意
- テレビ・玄関・窓際など騒音や人の出入りの多い場所を避ける
- 直射日光と冷気の当たる場所を避け、風通しを確保
運動・部屋んぽ・散歩
- 夜に1〜2時間、室内で放して遊ぶ。監視下で
- 屋外散歩は脱走・パニックの危険が大きく推奨しない
- どうしても外に出す時はハーネス二重+キャリーで
温湿度管理
適温20〜28℃。10℃以下は保温必須
適湿度30〜50%。多湿は皮膚病の原因
夏・冬の対策
- 夏:エアコンで28℃以下。ケージ内に冷却プレート
- 冬:パネルヒーターで巣箱を温め、乾燥しすぎに注意
グルーミングと外敵からの保護
爪切り
月1〜2回。タオルで包み1本ずつ先端のみ。血管が見える前で止め、嫌がれば病院で
ブラッシング・皮膚被毛ケア
換毛期は週2〜3回、柔らかいブラシで。皮膚の赤み・脱毛・ノミを点検
その他のケア
大きな耳は週1回汚れを確認し湿らせたガーゼで拭く。歯磨きは幼少期から慣らす。水浴びは不要
外敵からの保護
- 犬・猫と別室で管理。追われるとパニックで激突する
- 屋外ではカラス・猛禽・野良猫が狙う。庭に放さない
- 蚊:フィラリア感染のおそれ。予防を獣医に相談
飼養上の注意(事故防止)
異物誤飲
布・ゴム・ひも・小物を噛みちぎって飲む。嘔吐・便が出ない・腹の張りは即受診。無理に吐かせない
踏みつけ
夜間に足元を走り回る。暗い時間は足元にライトを置き、放し飼い中はゆっくり歩く
挟まれ
ドアの隙間に飛び込む。放し飼い中はドアストッパーで固定し、引き出し・冷蔵庫の開閉時は場所を確認
落下・転落
1m以上跳び、棚やカーテンレールに登る。登る足場をなくし、落ちて足を引きずれば当日受診
逸走・脱走
驚くと一直線に逃げ穴を掘る。窓・網戸は二重ロック。逃げたら夜に巣箱と好物を置き、静かに待つ。自治体と警察に届け出
噛みついた時の安全な引き離し方
やってはいけないこと
- 手を引き抜く(歯が裂けて傷が深くなる)
- 大声・叩く(パニックでさらに強く噛む)
安全な引き離しの手順
- 動きを止め、腕を下げて個体を床に着地させる
- タオルを頭にかぶせて視界を遮り暗くする
- 口元に水を少量かけるか、鼻先に強く息を吹く
- 口が緩んだら手を前方へ抜き、個体を巣箱へ逃がす
引き離した後の処置
流水で5分洗い消毒。深い傷・腫れ・発熱は人の病院へ。個体は暗い場所で休ませ原因を見直す
救命救急マニュアル
今すぐ夜間救急へ(命に関わる)
- けいれん・意識がない・ふらついて倒れる
- 口を開けて呼吸・舌が青白い
- 落下後に立てない・後肢が動かない
- 大量出血・腹が急に膨らむ
当日中に受診
- 半日以上食べない・水を異常に飲む
- 下痢が続く・血便・嘔吐を繰り返す
- 耳が膨らむ・足を引きずる
受診時に伝えること・持ち物
フェネック診療可の病院を事前に確保。体重・餌・水の量・尿や便の写真・鳴き声の動画を持参
意識・呼吸・心拍の確認
- 名前を呼び体を触って反応を見る。目の動きも確認
- 胸の上下で呼吸を確認。正常は1分に20〜40回
- 胸の左側に指を当て心拍を確認。正常は1分に100〜200回
蘇生の手順
- 横向きに寝かせ口の中の異物・よだれを除く
- 胸の左側を親指と人差し指で挟み1秒に2回圧迫
- 30回圧迫ごとに口を閉じ鼻から小さく2回息を吹く
- 続けながら病院へ電話し指示を仰ぐ。最長10分を目安に
止血
- 清潔なガーゼで5分間、離さず圧迫する
- 耳の出血は両面から挟んで圧迫。振らせない
- 爪は止血剤か片栗粉。10分止まらなければ圧迫しながら受診
搬送方法
- タオルで包み暗いキャリーへ。冬はカイロを外側に
- 車内は静かに、揺れと音を最小限に。抱いたまま運ばない
ケースメソッドで学ぶ
