基本情報
- 寿命
- アオダイショウ15〜20年、シマヘビ10〜15年
- 体重
- アオダイショウ0.5〜1.5kg、全長1〜2m
- 性格
- アオダイショウは温和、シマヘビは気が荒い
- 飼育難易度
- 中〜高(野生個体は寄生虫・拒食が多い)
- 法規制
- 動物愛護管理法対象。採集は自然公園法・条例に注意
- 最重要ポイント
- 野生採集より繁殖個体。毒蛇との誤認に注意
生態と特徴
- 体の特徴
- 無毒。アオダイショウは体鱗にキールがあり木登りが得意。ジムグリは頭が小さく地中に潜る
- 原産地・分布
- 日本固有種。北海道〜九州に広く分布する身近なヘビ
- 野生での生息環境
- 里山・農地・川辺・民家周辺。ジムグリは森林の地中
- 活動時間・睡眠
- 春〜秋の昼行性。真夏は朝夕に活動し冬は冬眠する
- 社会性・人との関係
- 単独性で縄張りは持たない。人には慣れるが懐かない
特徴的な行動・習性
- アオダイショウは垂直の壁や木を登り隙間から逃げる
- シマヘビは尾を震わせ威嚇し、よく咬む
- ジムグリは夏に拒食し春秋に活発になる
かかりやすい病気と予兆の見方・予防
内部寄生虫
予兆野生個体で便に虫・粘液、吐き戻し、体重減少、便がゆるい、脱皮のたびに痩せる
予防野生個体は入手後すぐ便検査を受ける。繁殖個体を選ぶ。便は毎回捨てケージを清掃
拒食
予兆数週間食べず背骨が浮く。ジムグリは餌の種類違いや高温で、野生個体は環境変化で拒食
予防ジムグリはピンクマウスを低温で与える。隠れ家を増やし人目を避ける。無理な給餌はしない
脱皮不全
予兆皮が断片的に残る、目の皮が残り白濁したまま、尾先の皮が黒く締まる
予防脱皮前は湿度を上げ水苔のウェットシェルターを置く。体が浸かる水入れを常設
マウスロット
予兆口の中に黄白色の膿、口が閉じない、よだれ、歯ぐきの腫れ・出血、餌を食べない
予防低温と不衛生を避ける。冷凍餌は完全解凍。壁に鼻先をこすり続ける個体は隠れ家を増やす
ダニ・マダニ
予兆鱗の間や目の縁に黒い粒、水に長く浸かる、野生個体は皮膚に膨らんだマダニが付く
予防新入りは別室で1〜2か月検疫。野外採集個体は入手時に全身を確認し受診で駆除
呼吸器感染症
予兆口を開けて呼吸、鼻の泡、頭を上げたまま動かない、口の中がゼロゼロ鳴る
予防夜間の冷えと結露する高湿度を避ける。冬眠させるなら健康な個体のみ、徐々に降温
病気の予兆チェックリスト
毎日1回チェック。1つでも当てはまれば早めに動物病院へ相談。
病気の応急処置
吐き戻しをした
給餌後に触ったか・温度が低いかを確認し10日以上空けて小さい餌に。2回続けば便と吐物を持って受診
口が閉じない・膿
口を無理に開けず、餌を止めケージを清潔にし保温。マウスロットは自然治癒しないので数日以内に受診
口を開けて呼吸
ケージ内を28℃前後に保ち換気し湿度を下げる。頭を上げたまま、泡が出るなら当日受診
ダニが見つかった
ぬるま湯で全身を浸し床材を新聞紙に替え、ケージを熱湯消毒。市販薬を使わず受診して駆除薬を
起こりやすい怪我と予防・応急処置
低温火傷
予防パネルヒーターはケージ外に設置し直接触れさせない。サーモスタットで管理
応急処置患部を常温の水で冷やし、水疱や皮の剥がれは触らず乾いたガーゼで覆い当日受診
鼻先・吻のすれ傷
予防逃げようと壁をこするのが原因。隠れ家を増やし金網ではなくガラスやプラケースに
応急処置出血は清潔なガーゼで軽く押さえる。腫れや膿が出れば受診。治るまで床材は新聞紙に
脊椎の損傷
予防持つときは体全体を両手で支える。高所からの落下や扉への挟み込みを防ぐ
応急処置動かさず布の上にそっと載せ、曲げずに箱で搬送。体をよじる・動かせない部分があれば即受診
給餌時の咬傷事故
予防ピンセットで餌を与え手の匂いを消す。生きたネズミを与えると咬まれる
応急処置ヘビは無毒。流水で洗い消毒、歯が残っていれば受診。ヘビ側は口の傷を確認し膿が出れば受診
動物由来感染症(人にうつる病気)
サルモネラ症
感染経路糞便・水入れ・体表に触れた手から口へ
予防触った後は必ず石けんで手洗い。台所で水入れを洗わない。乳幼児に触らせない
マダニ媒介感染症
感染経路野生個体に付いたマダニが人を刺す
予防採集個体は入手時に全身確認。マダニは手で潰さず受診して除去。発熱があれば皮膚科へ
マンソン孤虫症
感染経路カエルを食べた野生ヘビの生の肉・体液
予防ヘビを生食しない。飼育個体の餌はカエルより冷凍マウスに。便の処理後は手洗い
咬傷の細菌感染
感染経路咬まれた傷口からヘビの口内細菌が侵入
予防咬まれたら流水で洗い消毒。赤く腫れたり熱を持てば翌日までに受診
飼養条件:餌・水・おもちゃ・巣・床材
餌
- 冷凍マウスを完全解凍し体温程度に温めて週1回
- 成体は胴の一番太い部分と同じ太さの餌を1匹
- ジムグリはピンクマウスやファジーのみ、アオダイショウはウズラも可
水
- 体が浸かる重い水入れに毎日新しい水を
- 脱皮前や夏は特に水切れに注意、浸かる姿は正常
与えてはいけないもの
- 生きたネズミ(咬まれて重傷になる)
- 野外で捕ったカエル・トカゲ(寄生虫源)
- 加熱した肉・魚の切り身、人の食べ物
おもちゃ・遊び
- アオダイショウには登れる太い枝を固定して設置
- シマヘビには床面積と走り回れる空間
- ジムグリには潜れる深さの床材
巣・寝床・隠れ家
- 体がぴったり収まる暗い隠れ家を2か所以上
- 脱皮用に水苔を湿らせたウェットシェルター
床材・トイレ
- 新聞紙・キッチンペーパー(清潔で管理しやすい)
- ジムグリはヤシガラ土や腐葉土を厚く敷く
- 汚れたらすぐ交換、ウッドチップは誤飲と結露に注意
飼養環境:ケージ・運動・温湿度
ケージ・ハウスの素材
ガラス・プラケース。金網は吻を傷つけ隙間から逃げる
大きさ・広さ
全長の半分以上の幅、アオダイショウは90cm以上
配置・レイアウト
- 涼しい側と暖かい側を作り温度勾配をつける
- 隠れ家を両端に、水入れは暖かい側
- 蓋は必ずロック、通気孔は頭が入らない幅
設置場所の注意
- 人の出入りが少ない静かな場所、直射日光を避ける
- 冬眠させる場合は5〜10℃の安定した暗所を用意
運動・部屋んぽ・散歩
- 散歩は不要。ハンドリングは週1〜2回短時間
- 給餌後3日と脱皮前は触らない
- 部屋に出すなら扉・隙間を塞ぎ目を離さない
温湿度管理
適温22〜28℃、ホットスポット30℃。ジムグリは20〜25℃
適湿度50〜70%。脱皮前は高め、結露は避ける
夏・冬の対策
- 夏:30℃超は冷却。野生個体の夏の拒食は正常の範囲
- 冬:加温飼育が安全。冬眠は健康個体のみ、空腹で開始
グルーミングと外敵からの保護
爪切り
爪はない。代わりに脱皮後の皮を点検し、目・尾先の残りがあればぬるま湯で浸す
ブラッシング・皮膚被毛ケア
鱗の間のダニ・外傷チェックを週1回。ぬるま湯浴びは脱皮補助に有効
その他のケア
口元の膿・鼻先の傷・総排泄孔の汚れを給餌ごとに確認。体重を月1回記録
外敵からの保護
- 犬・猫・フェレットからケージを隔離、蓋は必ずロック
- カラス・猛禽が来る屋外には出さない
- 逃がすと他のヘビや野良猫に襲われる
飼養上の注意(事故防止)
異物誤飲
床材ごと餌を飲むことがある。ピンセットで餌を与え、ウッドチップではなく新聞紙に。便が出ず腹が膨らめば受診
踏みつけ
床に出した個体を家族が踏む事故が多い。部屋に出すときは家族に声をかけ、床で目を離さない
挟まれ
蓋や扉に体を挟むと脊椎損傷。閉めるときは全身の位置を確認。挟んだら無理に引かずゆっくり開ける
落下・転落
アオダイショウは高く登り落下する。棚の上や肩に乗せたまま放さない。落下後動きが鈍ければ受診
逸走・脱走
細い隙間から逃げる。蓋ロックと隙間封鎖。逃げたら暗く狭い場所や暖かい家電裏を探し、近所に周知
噛みついた時の安全な引き離し方
やってはいけないこと
- 引っ張って離す(歯が折れ傷が広がる)
- ヘビを叩く・振り回す・首を強くつかむ
安全な引き離しの手順
- 動かず落ち着く。無毒なので慌てない
- ヘビの頭に向かって押し込むように傷口を寄せる
- 口元に水や消毒用アルコールの匂いを近づける
- 離れたらケージに戻し刺激しない
引き離した後の処置
流水で洗い消毒。歯が残る・腫れ・熱があれば受診。毒蛇の疑いがあれば直ちに救急
救命救急マニュアル
今すぐ夜間救急へ(命に関わる)
- 頭を上げたまま口を開け苦しそうに呼吸
- 体をよじる・体の一部が動かない
- 大量出血・総排泄孔から臓器が出た
- 水に浮く・ぐったりして反応がない
当日中に受診
- 口が閉じない・膿・よだれ
- 2回以上の吐き戻し
- 火傷・腫れ・マダニの付着
受診時に伝えること・持ち物
種類・入手経路(採集地)・体重推移・最終給餌日と脱皮日・ケージ温度、便と吐物を持参
意識・呼吸・心拍の確認
- 舌を出すか・触れて体をよじるかで意識確認
- 胸の中ほどの膨らみで呼吸確認、正常は1〜2回/分
- 心臓は頭から体長の約1/4の位置、拍動を指で感じる
蘇生の手順
- 冷えて動かないなら28℃前後の部屋で徐々に温める
- 急激な加温や湯に入れるのは厳禁
- 心臓部分を親指で軽く1秒に1回程度押す
- 口を軽く開き気道を確保し受診
止血
- 清潔なガーゼで患部を5分以上押さえる
- 止血剤や強い圧迫は避ける
- 出血が止まらない・鱗の下からの出血は受診
搬送方法
- 布袋に入れ暗く静かに。箱にタオルを詰め固定
- 冬はカイロを布で包み袋の外側に、直接当てない
ケースメソッドで学ぶ
