基本情報
- 寿命
- 10〜14年(飼育下)
- 体重
- 8〜16kg(体長70〜75cm)
- 性格
- 臆病で警戒心が強い。驚くと全力で走る
- 飼育難易度
- 高(広い走行スペースと脚の管理が必須)
- 法規制
- 動物愛護管理法の対象。特定動物指定なし
- 最重要ポイント
- 驚かせない。パニック走行が骨折と突然死を招く
生態と特徴
- 体の特徴
- シカのような長い脚と蹄状の爪。時速45kmで走り跳躍する。脚の骨は細く折れやすい
- 原産地・分布
- アルゼンチン中部〜南部のパタゴニア地方の乾燥した草原・低木地帯
- 野生での生息環境
- 見晴らしのよい草原や砂礫の荒地。巣穴は子育て専用で成獣は地上で休む
- 活動時間・睡眠
- 昼行性。朝夕に採食し、日中は日なたで伏せて休む。夜は巣穴近くで眠る
- 社会性・人との関係
- 一生添い遂げる一夫一妻。ペアの絆が強く単独飼育は強いストレス
特徴的な行動・習性
- 危険を感じると四肢を揃えて跳ね上がる「跳躍走行」で逃げる。壁や柵に激突しやすい
- オスはメスの後ろをぴったり歩き尿をかけて守る。別のペアを近づけると激しく争う
- ウサギのように前脚を揃えて座り日光浴をする。長時間伏せたままなら体調を疑う
かかりやすい病気と予兆の見方・予防
消化管うっ滞
予兆牧草を食べない・便が小さい少ない出ない・腹が張る・歯ぎしり・伏せたまま動かない
予防牧草を常時食べ放題にし繊維を確保。果物や穀物の偏りと急な餌の変更を避ける。半日食べなければ当日受診
不正咬合
予兆よだれで顎が濡れる・食べ落とす・口を気にする・前歯が曲がる伸びる・顔の腫れ・体重減少
予防牧草中心でかみ続けさせる。前歯を月1回確認し、柵をかじる癖があれば環境を見直す。早めに歯科処置
ビタミンC欠乏症
予兆歯ぐきの出血・歩きたがらない・関節の腫れ・毛づやの悪化・傷の治りが遅い・元気消失
予防テンジクネズミ科は体内で十分に作れないとされ、青菜やパプリカを毎日与える。古いペレットは効力低下に注意
捕捉性筋障害
予兆追いかけた後に立てない・ふらつく・硬直・呼吸が荒い・赤茶色の尿・数時間〜数日後の急死
予防追い回す捕まえ方を絶対にしない。誘導柵や暗い箱で静かに保定する。捕獲作業は涼しい時間に短時間で
足底皮膚炎
予兆足裏の赤み・脱毛・ただれ・かさぶた・足をかばう・体重移動を嫌がる
予防硬いコンクリートや金網の床を避け土や厚い牧草を敷く。湿った床を放置せず毎日乾いた状態に保つ
低体温症・凍傷
予兆震え・丸まって動かない・耳や足先が冷たく白い・反応が鈍い・食欲低下
予防寒さにやや弱く、5℃以下は保温小屋とヒーターを必ず用意。すきま風と濡れた床をなくし耳や足先を毎日確認
病気の予兆チェックリスト
毎日1回チェック。1つでも当てはまれば早めに動物病院へ相談。
病気の応急処置
牧草を食べない
便の量を確認し腹を触らず静かな場所で保温。青菜や水を口元に置き、半日食べない・便がなければ当日中に受診
よだれ・食べ落とし
柔らかい青菜で食べられるか確認し、口元と前歯を写真に撮る。無理に口を開けず当日中に受診。食べなければ即受診
追われた後に動けない
捕捉性筋障害を疑い、それ以上触らず暗く涼しい場所で安静に。水を近くに置き、立てなければ夜間でも即受診
震えて丸まる
乾いた毛布で包み、湯たんぽをタオルで巻いて体に直接当てず隣に置く。耳や足先が白い・反応が鈍ければ即受診
起こりやすい怪我と予防・応急処置
脚の骨折
予防驚かせない・追わない。走行路の段差や穴をなくし、柵の網目に脚が入らない構造にする。抱き上げは脚を支える
応急処置脚を触らず添え木もしない。狭い箱に入れて動きを制限し、暗くして保温。当日中に必ず受診、立てなければ即受診
柵への激突外傷
予防透明な板や細い金網を避け、柵は見えやすい色にする。犬や来客を柵の前に近づけない。急な物音を立てない
応急処置鼻血・ふらつき・けいれんがあれば頭部外傷を疑い、暗い箱で安静にし即受診。出血は清潔なガーゼで押さえる
爪の割れ・剥離
予防硬すぎる床や金網を避け、爪を引っかける隙間をなくす。月1回爪の長さと割れを確認し伸びすぎは獣医で整える
応急処置ガーゼで数分押さえて止血し、土や砂に触れないよう清潔な床に移す。出血が止まらない・爪が根元から取れたら当日受診
咬傷・裂傷
予防相性の悪い個体や別ペアを同居させない。犬や猫と接触させず、柵のささくれやワイヤーの突出を定期点検
応急処置流水で洗い清潔なガーゼで圧迫。深い傷・皮膚が裂けて中が見える・出血が止まらなければ当日中に受診し縫合を相談
動物由来感染症(人にうつる病気)
サルモネラ症
感染経路便や汚れた床・餌皿に触れた手から口へ
予防世話の後は必ず手洗い。餌皿と水入れは毎日洗い、便は屋外で処理し小児や高齢者は特に注意
皮膚糸状菌症
感染経路脱毛部や皮膚への直接接触
予防円形の脱毛やフケを見つけたら素手で触らず受診。手袋で世話し寝床の牧草は交換して日光消毒
レプトスピラ症
感染経路ネズミなど野生動物の尿で汚れた水・土
予防屋外飼育場にネズミを寄せつけず餌の食べ残しを撤去。水入れは毎日交換し、傷のある手で泥に触れない
ダニ・ノミの刺咬
感染経路屋外で付着した外部寄生虫が人を刺す
予防草丈を短く保ち野良猫や野生動物の侵入を防ぐ。体表を週1回点検し、寄生虫がいれば獣医で駆除
飼養条件:餌・水・おもちゃ・巣・床材
餌
- チモシーなどイネ科牧草を常時食べ放題。食事の8割以上
- モルモット用ペレットを体重に応じ少量、1日1〜2回
- 青菜・パプリカなどビタミンC源を毎日少量。果物はごく少量
水
- 新鮮な水を常時。重い陶器皿か大型ボトルを複数設置
- 冬は凍結、夏は腐敗に注意し1日2回は交換する
与えてはいけないもの
- ネギ類・アボカド・チョコレート・ジャガイモの芽や皮
- パンや米・穀物・豆類などでんぷん質の多いもの
- カビた牧草・傷んだ野菜・農薬のかかった雑草
おもちゃ・遊び
- 走り回れる直線の走路と緩やかなカーブ。急角度の壁を避ける
- 土を掘れるスペースや砂場。かじれる太い枝や牧草の山
- 日光浴できる見晴らしのよい小高い場所や平らな岩
巣・寝床・隠れ家
- ペアで入れる木製小屋。出入口は2方向にして追い詰められない構造に
- 小屋の床に厚く牧草を敷き、冬はさらにヒーターと保温カバー
床材・トイレ
- 土・芝・厚い牧草やわらが理想。コンクリート直置きは足底皮膚炎の原因
- 特定の隅で排泄する習性を生かし、そこを毎日清掃
- ぬかるみは必ず乾いた土や牧草で覆い、湿った床を放置しない
飼養環境:ケージ・運動・温湿度
ケージ・ハウスの素材
高さ1.5m以上の目の細かい金網や板塀。下部は掘り返し防止の埋め込みを
大きさ・広さ
1ペアで最低20〜30平方m以上。全力で走れる直線が取れる広さ
配置・レイアウト
- 走路の先に壁がないよう角を丸め、障害物は走路の外へ
- 小屋・餌場・排泄場所を分け、小屋は人の通路から離す
- 日陰・雨よけ・日なたを必ず作り自分で選べるようにする
設置場所の注意
- 室内飼育は走行できず不向き。屋外なら隣家の犬の声や道路から離す
- 柵の外からの犬・猫・来客の視線を遮る目隠しをつける
運動・部屋んぽ・散歩
- 散歩は不要だが、毎日数時間は放飼場で自由に走らせる
- リードや抱っこで外へ出さない。驚くと脱臼や骨折につながる
- 新しい場所や人には慣らしを数日かけ、追い回す遊びは禁止
温湿度管理
適温15〜25℃が快適。5℃以下と30℃以上は対策必須
適湿度40〜60%。多湿と濡れた床は皮膚病の原因
夏・冬の対策
- 夏:日陰と風通し、冷えたタイルや凍らせたペットボトルを置く
- 冬:保温小屋にヒーター、牧草を厚く敷き、すきま風と雪濡れを防ぐ
グルーミングと外敵からの保護
爪切り
土や砂の上を走れば自然に削れる。伸びすぎ・割れは無理に切らず獣医で整える
ブラッシング・皮膚被毛ケア
換毛期に柔らかいブラシで軽く。皮膚の赤み・脱毛・フケを同時に点検する
その他のケア
前歯の長さと噛み合わせを月1回確認。耳や足先の冷えと足裏の状態も毎日見る
外敵からの保護
- 犬・キツネ・タヌキ・アライグマ対策に柵の下部を地中30cm以上埋める
- カラスやトビが子や餌を狙うため、上部にネットを張る
- 蚊・ハエ・ダニ対策に糞尿を毎日片付け、草を短く保つ
飼養上の注意(事故防止)
異物誤飲
ビニール・ひも・プラスチック片を放飼場に置かない。落ち葉や植栽に有毒植物がないか確認。食べて吐けない動物なので誤食は当日受診
踏みつけ
伏せて休む時間が長く草に隠れるため、作業時は足元を確認。重機や自転車は入れない
挟まれ
柵や小屋の扉に脚や頭を挟みやすい。扉は外開きで静かに閉め、網目は脚が入らない大きさに
落下・転落
台や岩から跳び降りる際に脚を折りやすい。高さ50cm以上の段差を作らず、着地面は土や牧草に
逸走・脱走
跳躍力が高く柵1.2mを越えることがある。逃げたら追わず、ペアの相手の声が届く場所に餌と小屋を置いて静かに待ち、警察と保健所に届け出る
噛みついた時の安全な引き離し方
やってはいけないこと
- 引き抜く・大声を出す・叩く。歯が深く裂け動物も骨折しかねない
- 顔を近づけて抱きしめる。後ろ脚の蹴りで内臓や目を傷める
安全な引き離しの手順
- 動かずに力を抜き、噛まれた部分を押し込むようにして歯の圧を緩める
- もう一人が後ろから暗い布を頭にかけて視界を遮る
- 口が緩んだ瞬間に静かに離し、相手を小屋側へ逃がす
- 追わず、自分も動物も落ち着くまでその場を離れる
引き離した後の処置
傷は流水で5分洗い消毒。深い・腫れる・発熱があれば受診。動物も脚を確認する
救命救急マニュアル
今すぐ夜間救急へ(命に関わる)
- 追われた後やパニック後に立てない・硬直
- 脚が異常な方向を向く・骨が見える
- 口を開けた呼吸・ぐったり・体が熱い
- けいれん・意識がない・鼻や口から出血
当日中に受診
- 半日以上牧草を食べない・便が出ない
- 片脚を引きずる・跳ばない
- よだれ・食べ落とし・顔の腫れ
受診時に伝えること・持ち物
体重・最後に食べた時刻・便の状態・パニックの有無。大型げっ歯類を診られる病院を事前に探す
意識・呼吸・心拍の確認
- 名前を呼び耳と鼻の動きを見る。意識がなければ反応なし
- 胸の上下を数える。正常は毎分20〜40回程度
- 後ろ脚の付け根で脈を触れる。正常は毎分100〜200回程度
蘇生の手順
- 横向きに寝かせ首を伸ばし、口の牧草や唾液を取り除く
- 心臓は前脚の肘の後ろ。片手で胸を毎分100回程度圧迫
- 30回圧迫ごとに鼻を口で覆い2回息を吹き込む
- 2分ごとに呼吸を確認。続けながら夜間救急へ搬送
止血
- 清潔なガーゼで5分以上強く押さえ続ける
- 脚の出血はタオルで包み締めつけず圧迫のみ
- 爪の出血は止血剤がなければ小麦粉を押し当てる
搬送方法
- 大型犬用の硬いキャリーに牧草を敷き、暗い布で覆う
- 脚を支えて抱き上げ、骨折疑いは箱ごと水平に運ぶ
ケースメソッドで学ぶ
