エキゾチック・レアペット
コツメカワウソ
2019年CITES附属書I掲載。新規の商業取引は原則不可
最重要:新規入手は原則不可。既飼育個体の登録と水場の維持が前提
基本情報
- 寿命
- 10〜15年(飼育下)
- 体重
- 3〜5kg
- 性格
- 活発で社会性が強く、単独では鳴き続ける。噛む力が強い
- 飼育難易度
- 極高(水場設備・毎日大量の魚・騒音・臭い)
- 法規制
- CITES附属書I。国際希少種で譲渡・販売は登録個体のみ
- 最重要ポイント
- 新規入手は原則不可。既飼育個体の登録と水場の維持が前提
生態と特徴
- 体の特徴
- 体長40〜60cm、カワウソ最小種。爪が小さく指先が器用。密な毛で水を弾く
- 原産地・分布
- 南アジア〜東南アジア(インド・中国南部・インドネシア)
- 野生での生息環境
- 河川・湿地・マングローブ・水田など浅い水辺
- 活動時間・睡眠
- 昼行性寄りで薄明薄暮に活発。1日の大半を水辺で過ごす
- 社会性・人との関係
- 最大15頭の家族群で暮らす。単独では強いストレス
特徴的な行動・習性
- 手で貝やカニを探り割って食べる。手先が器用
- 10種以上の鳴き声で群れと交信。単独で鳴き続ける
- 泳いだ後は体を擦り付けて毛を乾かす
かかりやすい病気と予兆の見方・予防
尿路結石
予兆排尿時に鳴く・血尿・頻尿・尿が出ない・腹を痛がる
予防淡水魚主体でミネラルの偏りを避け、常に泳ぎながら水を飲める環境に
ビタミンB1欠乏症
予兆ふらつき・けいれん・首の傾き・食欲低下
予防生の淡水魚の連続給餌を避ける。海産魚・加熱魚を混ぜ獣医と補給を相談
歯周病・歯の破折
予兆口臭・よだれ・片側で噛む・顔の腫れ・硬い餌を避ける
予防硬い貝殻や石を噛む癖を減らし、年1回歯科検診。歯石は病院で除去
皮膚炎・脱毛
予兆毛が濡れたまま乾かない・脱毛・かゆがる・皮膚の赤み
予防水質を清潔に。泳いだ後に体を乾かせる乾燥スペースと毛を拭く場所を用意
肥満・肝疾患
予兆腹が垂れる・動きが鈍い・黄疸・食欲不振
予防脂の多い魚・おやつを控え、体重を毎週量る。泳ぐ運動量を確保
熱中症
予兆口を開けて速い呼吸・ぐったり・よだれ・体が熱い
予防水温を上げすぎない。日陰と冷たい水場を常に確保し、夏は換水を増やす
病気の予兆チェックリスト
毎日1回チェック。1つでも当てはまれば早めに動物病院へ相談。
病気の応急処置
尿が出ない・血尿
尿路閉塞は命に関わる。腹を押さず、排尿姿勢と回数を記録して即受診。尿を吸わせた紙を持参
ふらつき・けいれん
ビタミン欠乏や中毒の疑い。水場から出して溺れないようにし、暗く静かにして即受診。餌の内容を伝える
下痢が続く
便を密閉袋に入れ当日受診。半日以上食べない・血便・ぐったりは即受診。水は常に飲めるように
口を開けて速い呼吸
熱中症の疑い。涼しい場所で冷たい水に浸したタオルで体を包み扇風機で冷やす。冷やしながら即受診
起こりやすい怪我と予防・応急処置
溺水(衰弱時)
予防病気や高齢の個体は水深を浅くし、水場に必ずスロープを付ける
応急処置引き上げて頭を下げ水を出し、タオルで乾かし保温。呼吸が弱ければ即受診
仲間との咬傷
予防頭数分の隠れ家と餌場を用意。導入時は柵越しで慣らす
応急処置出血は清潔なガーゼで圧迫。傷が深い・化膿・腫れは当日受診。加害個体を隔離
爪・指の挟まれ
予防水槽の蓋・排水溝の格子・金網の隙間を指が入らない細かさに
応急処置引っ張らず器具側を外す。出血は圧迫、爪が剥がれたり指が曲がれば受診
誤飲による腸閉塞
予防石・貝殻・スポンジ・ゴムを水場周りに置かない。玩具は大きい物に
応急処置嘔吐・便が出ない・腹の張りは即受診。無理に吐かせず絶食し病院へ
動物由来感染症(人にうつる病気)
サルモネラ症
感染経路糞・水場の水・生魚の取り扱い
予防世話の後は必ず手洗い。水場の掃除は手袋、生魚は別のまな板で
レプトスピラ症
感染経路尿で汚れた水・傷口からの侵入
予防水場の水に傷のある手を入れない。換水時は手袋と長靴
寄生虫症(回虫など)
感染経路糞便・汚れた床材や水
予防糞は毎日撤去、定期の糞便検査。水場は週1回丸洗い
咬傷による細菌感染
感染経路咬傷・ひっかき傷
予防噛む力が強く傷が深い。流水で洗い腫れや発熱は人の病院へ
飼養条件:餌・水・おもちゃ・巣・床材
餌
- 魚(アジ・ワカサギなど)を主体に1日3〜4回、体重の15〜20%
- 鶏肉・エビ・貝・ゆで卵を少量混ぜ、栄養の偏りを防ぐ
- 獣医と相談しビタミン剤を添加。冷凍魚は解凍後すぐ与える
水
- 飲み水は水場とは別に、清潔な陶器の器で常時
- 水場の水は毎日換水か濾過。汚れた水は飲ませない
与えてはいけないもの
- 塩分の多い干物・加工魚・人の食事
- 玉ねぎ・チョコ・ぶどう・キシリトール
- 生の淡水魚のみの連続給餌(ビタミンB1欠乏)
おもちゃ・遊び
- 水に浮くボール・浮き玩具(噛みちぎれない大きさ)
- 魚を入れて探させる氷・フォージングトイ
- 小石を転がす遊び(飲めない大きさの石のみ)
巣・寝床・隠れ家
- 水場から離れた乾いた暗い巣箱。タオルを敷き替える
- 複数頭で入れる広さの寝床を2か所以上
床材・トイレ
- 乾燥エリアは滑らない床材(人工芝・ゴムマット)
- トイレは水場近くの一角に決まる。砂やペットシーツ
- 糞尿は毎日撤去。臭いが強いので週1回丸洗い
飼養環境:ケージ・運動・温湿度
ケージ・ハウスの素材
ステンレスかFRP製の水槽と金網。木製は腐り噛み抜かれる
大きさ・広さ
陸地10㎡以上+深さ50cm以上の水場(2頭)。屋外囲いが現実的
配置・レイアウト
- 水場(面積の3分の1)と乾燥エリアをスロープでつなぐ
- 巣箱・トイレ・餌場は水場から離して配置
- 濾過装置と排水口は指が入らない格子で保護
設置場所の注意
- 換水・排水ができ防水された場所。防音と臭い対策
- 脱走に備え上面も金網で覆い、外周を毎日点検
運動・部屋んぽ・散歩
- 毎日数時間の水泳と陸上の探索が必要。室内散歩の代替は困難
- 屋外散歩は脱走・咬傷事故のおそれが大きく推奨しない
- 遊びは水中で。飼い主が一緒に遊ぶ時間を毎日30分以上
温湿度管理
適温気温18〜28℃。水温は20℃前後、30℃以上は危険
適湿度50〜70%。乾燥エリアは湿らせない
夏・冬の対策
- 夏:水温上昇と水質悪化に注意。換水を増やし日陰を作る
- 冬:水場の凍結防止と乾燥エリアの保温。濡れたまま冷やさない
グルーミングと外敵からの保護
爪切り
陸上で自然に削れるが伸びれば2人で先端のみ。噛む力が強いので難しければ病院で
ブラッシング・皮膚被毛ケア
被毛の防水性が命。泳いだ後に乾いたタオルで拭き、皮膚の赤み・脱毛を点検
その他のケア
毎日の換水と週1回の水槽・濾過器洗浄。歯石は病院で除去。目やに・耳の汚れはガーゼで拭く
外敵からの保護
- 犬・猫と接触させない。互いに重い咬傷になる
- 屋外ではカラス・猛禽が幼獣を狙う。上面も金網で覆う
- 蚊:フィラリア予防を獣医に相談。防虫網を設置
飼養上の注意(事故防止)
異物誤飲
石・貝殻・スポンジ・ゴムを飲む。嘔吐・便が出ない・腹の張りは即受診。無理に吐かせず、水場周辺に小物を置かない
踏みつけ
足元にまとわりつき、濡れた床で人も滑る。歩く時は足元を見て、水場周辺は滑り止めを敷く
挟まれ
水槽の蓋・排水口・ドアに指や尾を挟む。蓋は固定式にし、放し飼い中はドアを固定。挟まれたらすぐ受診
落下・転落
水場の縁や棚から落ちる。高低差は50cm以内にし、スロープを必ず設置。落ちて足を引きずれば当日受診
逸走・脱走
力が強く金網を押し上げる。上面も金網で覆い南京錠を。逃げたら水辺を中心に探し、自治体・警察・環境省に届け出
噛みついた時の安全な引き離し方
やってはいけないこと
- 手を引き抜く(歯が深く裂ける)
- 水中で無理に引き離す(人も溺れる)
安全な引き離しの手順
- 動きを止め、腕を下げて個体を床に着地させる
- タオルを頭にかぶせて視界を遮る
- 口元に水を少量かけるか、鼻先に強く息を吹く
- 口が緩んだ瞬間に手を前方へ抜き、個体を水場へ逃がす
引き離した後の処置
流水で5分洗い消毒。深い傷は縫合が必要なことが多く人の病院へ。個体は隔離し原因を見直す
救命救急マニュアル
今すぐ夜間救急へ(命に関わる)
- 尿が出ない・排尿時に鳴く・血尿
- けいれん・ふらつき・意識がない
- 口を開けて呼吸・水から上がってぐったり
- 大量出血・腹が急に膨らむ
当日中に受診
- 半日以上魚を食べない
- 下痢が続く・血便・嘔吐を繰り返す
- 毛が乾かない・足を引きずる
受診時に伝えること・持ち物
カワウソ診療可の病院を事前に確保。登録票・体重・餌の内容と量・尿や便の写真を持参
意識・呼吸・心拍の確認
- 名前を呼び体を触って反応を見る。目の動きも確認
- 胸の上下で呼吸を確認。正常は1分に20〜30回
- 胸の左側に手を当て心拍を確認。正常は1分に100〜150回
蘇生の手順
- 水から上げ横向きに寝かせ、口の中の水・異物を除く
- 胸の左側を片手で1秒に2回圧迫(胸の3分の1沈む深さ)
- 30回圧迫ごとに口を閉じ鼻から2回息を吹き込む
- 続けながら病院へ電話し指示を仰ぐ。最長10分を目安に
止血
- 清潔なガーゼで5分間、離さず圧迫する
- 止血中は水場に入れない。濡れると血が止まりにくい
- しみ出す出血が10分止まらなければ圧迫しながら受診
搬送方法
- 体を乾かしタオルで包み暗いキャリーへ。冬は保温
- 水は入れず、車内は静かに揺らさない。移動は30分以内目標
ケースメソッドで学ぶ
