基本情報
- 寿命
- ポリプテルス10〜20年、肺魚20年以上、ダトニオ10年以上
- 体重
- 体長30〜70cm(肺魚は1m超)、体重数百g〜数kg
- 性格
- ポリプテルスは温和、肺魚は気性が荒く同種で激しく争う
- 飼育難易度
- 中〜高(大型水槽・長寿・飛び出し対策が必須)
- 法規制
- 動物愛護法の対象外。肺魚の一部はCITES付属書Ⅱで輸入規制
- 最重要ポイント
- 空気呼吸する魚は必ず飛び出す。重い蓋と隙間封じが命綱
生態と特徴
- 体の特徴
- ポリプテルスと肺魚は浮き袋や肺で空気呼吸ができ、水面に上がって息継ぎする。ダトニオは鰓呼吸のみ
- 原産地・分布
- ポリプテルスと肺魚はアフリカ、ダトニオは東南アジア・ニューギニアの淡水域
- 野生での生息環境
- 流れの緩い河川や湿地、氾濫原。酸素の少ない濁った水にも適応する
- 活動時間・睡眠
- 夜行性。昼は物陰で休み、暗くなると底を這って餌を探す
- 社会性・人との関係
- ポリプテルスは同種で混泳可能、肺魚は単独飼育が原則、ダトニオは縄張り性
特徴的な行動・習性
- 定期的に水面に上がって空気を吸う。回数が急増したら酸欠や水質悪化のサイン
- 肺魚は乾季に泥の中で繭を作り夏眠する。飼育下でも水位低下で夏眠に入ることがある
- ダトニオは体色で機嫌がわかる。黒ずみは緊張、縞がくっきりなら健康
かかりやすい病気と予兆の見方・予防
マクロギロダクティルス
予兆ポリプテルス特有の寄生虫。体表やヒレに白い糸状の虫が付く、体をこすり付ける、ヒレがボロボロになる
予防新しく迎えた個体は必ず別水槽で2〜4週間トリートメント。購入時に体表を確認
エロモナス感染症
予兆体表の出血斑・鱗が逆立つ・腹部が膨らむ・目が飛び出す。水質悪化で発症しやすい
予防週1回1/3換水で硝酸塩を溜めない。古い餌を使わず、残餌は当日取り除く
カラムナリス病
予兆口や尾びれの先が白く溶けるように崩れる。進行が速く数日で死ぬこともある
予防水温の急変とすり傷を避ける。導入時はトリートメント、発見したら即隔離して受診
白点病
予兆体やヒレに白い点が多数つく。体を底砂にこする、ヒレをたたむ。水温低下後に多発
予防ヒーターで水温を一定に保つ。換水時は新水の温度を合わせる。新規導入は隔離
肺魚の夏眠不全
予兆夏眠中に粘液の繭が乾ききる、痩せて動かない、覚醒後に餌を食べず沈んだまま
予防飼育下ではあえて夏眠させない。水位と水温を安定させ、長期不在時は自動給餌と水位維持
肥満・脂肪肝
予兆腹部が常に膨らみ泳ぎが重い、動きが鈍い。ダトニオや肺魚に多く突然死の原因になる
予防成魚は週2〜3回の給餌にし、脂肪の多い餌を控える。食べ残しを出さない量にする
病気の予兆チェックリスト
毎日1回チェック。1つでも当てはまれば早めに動物病院へ相談。
病気の応急処置
息継ぎが急増し苦しそう
酸欠か水質悪化。エアレーションを強め、1/3換水し水温を合わせる。アンモニアと亜硝酸を試験紙で測り、改善なければ当日受診
体表に白い糸状の虫
マクロギロダクティルスの疑い。他の水槽に器具を共用せず、写真を撮り当日中に受診。市販薬の自己判断投与は避ける
ヒレや口が白く溶ける
カラムナリス疑い。別水槽へ隔離し、水温を安定させ当日中に受診。進行が速いので翌日に回さない
肺魚が繭を作り動かない
夏眠状態。無理に起こさず、繭が乾ききらないよう湿度を保ち、数日以内に受診して覚醒の手順を相談
起こりやすい怪我と予防・応急処置
飛び出しによる乾燥
予防重い蓋と配線穴の隙間封じ。水位は蓋から5cm以上下げる。夜間と換水後が要注意
応急処置素手で掴まず濡れた手で水槽へ戻す。体表が乾いていても呼吸していれば回復の可能性あり。当日受診
肺魚の咬傷(同居魚)
予防肺魚は単独飼育が原則。どうしても混泳するなら仕切りを使い、手を入れる時も注意
応急処置咬まれた魚を隔離し、傷の写真を撮る。傷が深い・鱗が剥がれていれば当日受診。水質を清浄に保つ
吻や顎の擦り傷
予防ガラス面や岩に突進して傷つく。レイアウトを角のない物にし、驚かせない。暗めの照明
応急処置傷口の写真を撮り、換水で水質を清浄に保つ。白いカビや溶けが出たら当日受診
ヒーター火傷
予防底で休む魚はヒーターに触れやすい。必ずヒーターカバーを付け、底から離して設置
応急処置赤く変色した部分を写真に撮る。水質を保ち二次感染を防ぐ。広範囲なら当日受診
動物由来感染症(人にうつる病気)
非定型抗酸菌症
感染経路飼育水や魚に触れた傷口から感染
予防手に傷がある時は水槽に手を入れない。作業後は手洗い。しこりが出たら皮膚科へ
サルモネラ症
感染経路飼育水・底砂・器具に触れた手から口へ
予防水槽作業後は石けんで手洗い。器具は台所で洗わない。飼育水を流しに捨てない
エロモナス感染症(人)
感染経路飼育水が傷口に触れる・魚の咬傷
予防肺魚に咬まれたら流水で洗い消毒。腫れや発熱があれば受診
レプトスピラ症
感染経路汚れた飼育水が傷や粘膜に触れる
予防換水時は手袋。飼育水を口に入れない。発熱や筋肉痛があれば受診
飼養条件:餌・水・おもちゃ・巣・床材
餌
- ポリプテルス:沈下性の肉食魚用人工飼料を主に、冷凍アカムシや小魚を補助
- 肺魚・ダトニオ:人工飼料に慣らし、冷凍エビや切り身を週数回
- 幼魚は毎日、成魚は週2〜3回。5分で食べ切る量にする
水
- カルキ抜きした水を使用。週1回1/3〜1/2換水し、新水の温度を合わせる
- 水温24〜28℃、弱酸性〜中性。アンモニアと亜硝酸は常にゼロを保つ
与えてはいけないもの
- 生きた金魚の常用(ビタミン欠乏・寄生虫の持ち込み)
- 人の食べ物・味付けした肉・脂身の多い切り身
- 口に入る大きさの同居魚(丸飲みして窒息することがある)
おもちゃ・遊び
- 流木や塩ビ管など体が入る隠れ家で安心させる
- 夜間に餌を探す行動を活かし、沈下性の餌を散らして与える
- 水流を作るポンプで泳ぐ機会を増やす(肺魚は弱め)
巣・寝床・隠れ家
- 体長より長い塩ビ管や流木のトンネル
- ダトニオには暗めの照明と背景で落ち着ける場所を作る
床材・トイレ
- ベアタンク(底砂なし)が掃除しやすく管理しやすい
- 敷く場合は角のない細かい砂を薄く(肺魚は砂を飲み込むので注意)
- 大きめの砂利は口に詰まるので避ける
飼養環境:ケージ・運動・温湿度
ケージ・ハウスの素材
ガラスまたはアクリル水槽。重い蓋(ガラス・アクリル)と隙間封じのスポンジ
大きさ・広さ
ポリプテルス小型種で90cm、大型種と肺魚・ダトニオは120〜180cm以上
配置・レイアウト
- 上部フィルターや外部フィルターで強めのろ過
- ヒーターはカバー付きで底から離す
- 飛び出し対策に配線やホースの隙間をふさぐ
設置場所の注意
- 満水時の重量が数百kgになるので床の強度を確認
- 直射日光と振動のある場所を避け、停電時の対策を用意
運動・部屋んぽ・散歩
- 散歩はない。夜間に底を這って動く時間を確保し、夜は照明を消す
- 水槽掃除は週1回、魚を驚かせないよう静かに行う
- 手を入れる時は肺魚の口の位置を常に確認する
温湿度管理
適温水温24〜28℃。22℃以下と30℃以上は体調を崩す
適湿度水面と蓋の間を密閉しすぎない。空気呼吸する魚は水面の空気が必要
夏・冬の対策
- 夏:冷却ファンやクーラーで30℃を超えないようにする
- 冬:ヒーターは2本に分け、故障時に備える
グルーミングと外敵からの保護
爪切り
爪切りはない。代わりに週1回1/3換水とフィルター掃除。水質検査で硝酸塩を管理
ブラッシング・皮膚被毛ケア
ブラッシングはない。体表に白い虫や白点がないか、給餌時に両側面を観察
その他のケア
肺魚は歯板が発達し咬む力が強い。給餌はピンセットか箸で、指を近づけない
外敵からの保護
- 猫が水槽の蓋に乗らないよう重い蓋を使う
- 同居魚からの咬傷。肺魚は単独、ダトニオは同サイズのみ
- 子どもが手を入れない。肺魚の咬傷は深い
飼養上の注意(事故防止)
異物誤飲
底砂・ヒーターの吸盤・小型の同居魚を丸飲みする。口に入るものは入れない。吐き出さず腹が膨らむなら当日受診
踏みつけ
飛び出した魚を暗い床で踏む事故がある。床に落ちた音がしたら照明をつけて探す。踏んだら出血や骨折の確認を
挟まれ
蓋とガラスの間に挟まる、フィルターの吸い込み口にヒレが挟まる。吸水口にはスポンジを付ける
落下・転落
飛び出しで床に落ちて体表が乾燥・打撲する。水位を下げ、蓋に重しを置く。落ちた魚は濡れた手で優しく戻す
逸走・脱走
逃げ場は飛び出しのみ。見当たらなければ水槽の裏や家具の下を探す。乾いていても呼吸があれば戻して受診
噛みついた時の安全な引き離し方
やってはいけないこと
- 肺魚に咬まれても無理に引き抜かない(歯板で裂ける)
- 魚を叩く・振り回す・水から出して引き離す
安全な引き離しの手順
- 動かず力を抜き、魚が自ら離すのを待つ
- 魚の頭を水中に沈めたまま、濡れた布で体を支える
- 離さなければ、口の横から水を流して刺激する
- 離れたら魚を水槽に戻し、手を流水で洗う
引き離した後の処置
傷を流水で洗い消毒。深い傷・腫れ・発熱があれば受診し、魚に咬まれたことを伝える
救命救急マニュアル
今すぐ夜間救急へ(命に関わる)
- 飛び出して乾燥し、呼吸が止まっている
- 横になって浮く・沈んで鰓だけ動く
- 水面で激しく口をパクパクし続ける
- 体表の大量出血・鱗が広く逆立つ
当日中に受診
- 白い糸状の寄生虫が多数付いている
- ヒレや口が白く溶けてきた
- 2日以上食べず動きが鈍い
受診時に伝えること・持ち物
水温・pH・アンモニアの測定値、換水頻度、導入時期、同居魚、症状の写真を持参
意識・呼吸・心拍の確認
- 鰓蓋の動き(正常は毎分60〜100回程度、種により異なる)
- 空気呼吸の間隔(正常は数分〜十数分に1回)
- 触れた時の反応と体の姿勢(横転・逆さは重篤)
蘇生の手順
- エアレーションを最大にして酸素を供給
- 魚を水中で支え、口から鰓へ水が流れるよう前後に動かす
- 水温を26℃前後に保ち、照明を消して安静
- 粘膜保護剤入りの新水で1/3換水し、改善なければ受診
止血
- 魚の止血は圧迫できない。清浄な水に移して安静
- 出血部位を写真に撮り、水質を清浄に保つ
- 出血が続く・鱗が剥がれるなら当日受診
搬送方法
- ビニール袋に飼育水と空気を入れ、発泡箱で保温して運ぶ
- 肺魚は水を少なめにし、袋を二重にして咬み破り対策
ケースメソッドで学ぶ
