基本情報
- 寿命
- 20〜30年、飼育下で30年超の記録もある
- 体重
- ボア10〜25kg、アミメ・ビルマ50kg超
- 性格
- おとなしいが力が強く、餌と誤認して咬む
- 飼育難易度
- 高(体格・餌・法規制・取り扱い人数)
- 法規制
- アミメ・ビルマ・アナコンダ等は特定動物。新規飼養不可
- 最重要ポイント
- 2m超は必ず2人以上で扱い、単独で首に巻かせない
生態と特徴
- 体の特徴
- ボア2〜3m、アミメニシキヘビは6m超で世界最長。熱感知のピット器官と後方に曲がった長い歯を持つ
- 原産地・分布
- 東南アジア・南アジア(ニシキヘビ)、中南米(ボア・アナコンダ)
- 野生での生息環境
- 熱帯雨林・湿地・川辺。アナコンダは水中、アミメは樹上や村落周辺
- 活動時間・睡眠
- 夜行性。日中は隠れて消化。夜に水場や餌を求めて動く
- 社会性・人との関係
- 完全単独性。縄張りはないが同居は共食いの危険。人に懐かない
特徴的な行動・習性
- 獲物に咬みつき同時に巻きついて締める。人の腕も対象になる
- 数週間〜数か月絶食できる。大きな餌の後は1週間以上動かない
- 脱皮前は目が白濁し攻撃的になる。この時期の取り扱いは避ける
かかりやすい病気と予兆の見方・予防
IBD(封入体病)
予兆頭が反り返る、体をねじる、仰向けから戻れない、吐き戻しを繰り返す、慢性の体重減少
予防治療法はなく致死的。新規個体は半年隔離、ダニ駆除、器具は個体ごとに分ける。疑えば検査
呼吸器感染症
予兆口を開けて呼吸、鼻孔の泡、口から粘液の糸、頭を持ち上げたまま、ゼーゼーと音がする
予防夜間の低温と結露を避け、暖側30〜32℃を保つ。大型ケージは換気を確保。異常なら早めに受診
大型餌の吐き戻し
予兆給餌後2〜7日で半消化の餌を吐く、悪臭、吐いた後にぐったり、食欲不振が続く
予防餌は胴の最太部と同じ太さまで。給餌後48時間は触らず暖側30℃以上を維持。吐いたら2週間空ける
マウスロット(口内炎)
予兆歯ぐきに黄白色のチーズ状の膿、口が閉じない、顎の腫れ、よだれ、餌への興味消失
予防ケージへの突進で口先を傷つけさせない。冷凍餌は完全解凍し温める。低温・不衛生を避ける
スネークマイト
予兆鱗の間に黒い粒、目の縁が盛り上がる、水に浸かり続ける、落ち着きなく体をこする
予防新規個体は検疫し、持ち込んだ流木は加熱。多頭飼育では全個体同時に駆除。IBDの媒介にもなる
脱皮不全・鱗の潰瘍
予兆脱皮が断片的、尾先に皮が重なり締めつける、腹の鱗に水疱や赤い潰瘍
予防脱皮前は湿度60〜70%に上げ、体が浸かる水容器を置く。床材の湿りすぎと汚れの放置を避ける
病気の予兆チェックリスト
毎日1回チェック。1つでも当てはまれば早めに動物病院へ相談。
病気の応急処置
口を開けて呼吸
暖側30〜32℃に保ち乾燥した清潔な床材に替える。悪化は数日で起こるため当日〜翌日に受診。鼻の泡は即日受診
餌を吐き戻した
吐物を写真に撮り、給餌後の温度と触った時刻を記録。2週間給餌を止め、再発や口の腫れがあれば受診
頭が反り返る
IBDの疑い。他のヘビから完全隔離し器具を共有しない。治らない病気のため早期に受診し検査と今後を相談
口に膿・よだれ
自分で膿を取らない。給餌を止めて暖側を維持し、2〜3日以内に受診。顎が腫れ口が閉じなければ当日受診
起こりやすい怪我と予防・応急処置
低温火傷
予防パネルヒーターは必ずサーモスタットに接続。ヒーターと体の間に床材を厚く敷く。電球は金属ガードで覆う
応急処置患部を冷やさず常温の水で洗う。腹側の白変・水疱は深い火傷で、脱皮を待たず当日受診
餌の咬み返し傷
予防生きたネズミ・ウサギを与えない。冷凍解凍餌をピンセットで差し出し、残餌は翌朝撤去
応急処置出血は清潔なガーゼで押さえる。鱗の下の化膿や腫れは数日後に出るため、受診して抗菌処置を受ける
口先の擦過傷
予防透明な壁に突進させない。ケージ前面に目隠しを付け、脱走防止の金網は目の細かいものにする
応急処置口先の鱗が剥がれ赤い場合は清潔に保ち、腫れや膿が出たらマウスロットに進むため受診
脊椎・肋骨の損傷
予防持ち上げは体の1/3以上を同時に支え、尾だけを持って吊るさない。高い棚からの落下を防ぐ
応急処置体の一部が動かない、腫れがあれば動かさず、広い箱に入れて当日受診。無理にまっすぐにしない
動物由来感染症(人にうつる病気)
サルモネラ症
感染経路糞・体表・飼育水に触れた手からの経口感染
予防触った後は必ず石けんで手洗い。台所で器具を洗わない。幼児・高齢者は接触を控える
咬傷の細菌感染
感染経路咬まれた傷に口内細菌が入る
予防大型種の歯は深く刺さる。流水で洗い、歯の残留や腫れがあれば医療機関を受診
スネークマイトの刺咬
感染経路ヘビに付いたダニが人の皮膚を刺す
予防ダニが出たら手袋で扱い、衣服を替える。ケージ周囲を清掃し駆除を完了させる
寄生虫(野生採集個体)
感染経路糞に含まれる寄生虫卵の経口摂取
予防新規個体は糞便検査を受ける。糞は密閉して廃棄し、清掃時は手袋とマスク
飼養条件:餌・水・おもちゃ・巣・床材
餌
- 冷凍解凍のラット・ウサギ・ニワトリ。完全解凍し体温程度に温める
- 成体は2〜4週に1回。餌は胴の最太部と同じ太さまで
- 給餌は夜、ピンセットかトングで。手で直接差し出さない
水
- 体が浸かる大きさの重い容器に毎日新鮮な水
- 排泄で汚れたら即交換。水容器の中のダニにも注意
与えてはいけないもの
- 生きた大型げっ歯類・ウサギ(咬み返しで重傷)
- 胴より太い餌・連続給餌(吐き戻し・腸閉塞)
- 脂肪の多い餌の過給餌(肥満・脂肪肝)
おもちゃ・遊び
- 太い流木や樹脂製の枝(体重に耐える固定が必要)
- 夜間の探索用に広い床面積を確保する
- おもちゃは不要。過度なハンドリングはストレス
巣・寝床・隠れ家
- 体全体が入る頑丈なシェルターを暖側と涼側に
- 脱皮期用に湿らせた水苔のウェットシェルター
床材・トイレ
- キッチンペーパーや新聞(清掃しやすく火傷を防ぐ)
- アスペンチップやヤシガラ(湿りすぎに注意)
- 排泄は週1回程度で大量。即日全交換する
飼養環境:ケージ・運動・温湿度
ケージ・ハウスの素材
木製または樹脂製の専用ケージ。前面ガラスは厚手で施錠できるもの
大きさ・広さ
幅は全長の2/3以上、奥行は全長の1/3以上。3m種で幅2m以上
配置・レイアウト
- 暖側にヒーター、涼側に水容器で温度勾配をつくる
- 出入口は横開き・鍵付き。上部は金網で換気
- ヒーターや照明は体が触れない位置に固定
設置場所の注意
- 特定動物は檻の構造が許可基準で定められ、変更に届出が必要
- 逃げても外に出ないよう部屋のドア・窓を二重に閉める
運動・部屋んぽ・散歩
- 散歩は不要。ケージ内の移動で十分
- ハンドリングは2人以上で、1回15分以内、給餌後48時間は避ける
- 屋外に出さない。脱走すれば通報義務と捕獲騒ぎになる
温湿度管理
適温暖側30〜32℃、涼側26〜28℃。夜間も24℃を下回らせない
適湿度60〜70%。脱皮期は70〜80%。結露と蒸れは避ける
夏・冬の対策
- 夏は室温35℃超で熱中症。エアコンで部屋ごと管理
- 冬は停電に備えカイロと毛布。20℃以下が続くと呼吸器病
グルーミングと外敵からの保護
爪切り
爪はない。代わりに脱皮後の皮を確認し、目と尾先の皮が残っていないか必ず見る
ブラッシング・皮膚被毛ケア
不要。鱗の間のダニ・腹側の水疱を月1回点検し、体重を記録する
その他のケア
脱皮不全は温浴(30℃前後・10分)後に濡れタオルで優しくこする。目の皮は自分で剥がさない
外敵からの保護
- 猫や犬が近づくと咬み返しで双方が重傷。別室にする
- 他のヘビと同居させない。共食いとIBD感染の原因
- ケージ外の床で踏まれない・ドアで挟まれないよう厳重管理
飼養上の注意(事故防止)
異物誤飲
餌と一緒に床材を飲み込みやすい。給餌は紙の上かケージ外の容器で行う。給餌後に便が出ず膨らめば腸閉塞を疑い受診
踏みつけ
床に出した大型個体の上に家族が転倒する事故がある。部屋に出す時は全員に周知し、歩行路から外す
挟まれ
ケージの引き戸や部屋のドアに体を挟む事故。閉める前に全身がケージ内にあるか確認。挟んだら腫れがなくても受診
落下・転落
棚上のケージや抱えた状態からの転落で脊椎を痛める。ケージは床に近く設置し、持ち上げは体の1/3以上を同時に支える
逸走・脱走
施錠と閉め忘れ防止の二重チェック。逃げたら特定動物は直ちに警察・自治体に通報義務。非指定種でも近隣と警察に連絡し捜索
噛みついた時の安全な引き離し方
やってはいけないこと
- 引き抜こうとしない。後ろ向きの歯が裂けて傷が深くなる
- 1人で対応しない。巻きつかれたら助けを呼ぶ
安全な引き離しの手順
- 巻きつきは尾側からでなく頭側から順にほどく
- 口元に強いアルコールや消毒液を少量たらすと離す
- 首に巻かれたら最優先で首から外し、気道を確保
- 離れたらヘビをケージに戻し施錠してから傷を処置
引き離した後の処置
流水で洗い圧迫止血。歯が残る・出血が止まらない・腫れる場合は医療機関へ。大型種の咬傷は必ず受診
救命救急マニュアル
今すぐ夜間救急へ(命に関わる)
- 口から出血・顎が垂れ下がる
- 仰向けから戻れない・頭が反り返る
- 火傷で腹側が広く白変・水疱
- 吐き戻し後にぐったりし動かない
当日中に受診
- 口を開けて呼吸・鼻の泡
- 挟まれ・落下後に腫れや体の一部の麻痺
- 口の中に膿・顎の腫れ
受診時に伝えること・持ち物
種類・全長・体重・最終給餌日と餌の大きさ・温湿度・脱皮日・同居の有無。大型は事前に電話し診察可否を確認
意識・呼吸・心拍の確認
- 舌を出す動きと体を触った時の反応を見る
- 呼吸は1分に数回と少なく、脇腹のわずかな動きで確認
- 心臓は全長の前1/3付近の腹側、指で拍動を触れる
蘇生の手順
- 低体温なら30℃前後の室温で徐々に加温。急加熱は禁止
- 呼吸がなければ首を伸ばし口を軽く開けて気道を確保
- 胸郭を心臓部で軽く圧迫し、1〜2秒に1回繰り返す
- 反応がなくても代謝が低いため受診し獣医師の判断を仰ぐ
止血
- 清潔なガーゼで5分以上圧迫。鱗の下は血が溜まりやすい
- 止血剤・人用の薬は使わない
- 口や総排泄腔からの出血は内臓損傷を疑い即受診
搬送方法
- 布袋に入れ口を縛り、硬い箱に入れて運ぶ
- 箱の外側にカイロを貼り25〜28℃を保ち、直接触れさせない
ケースメソッドで学ぶ
