基本情報
- 寿命
- 1.5〜3年(野生種はさらに短い)
- 体重
- 30〜100g(オスが大きい)
- 性格
- 神経質で動きが速い。慣れても抱っこは苦手
- 飼育難易度
- 高(数時間の絶食で死亡・臭い・短命)
- 法規制
- 野生のトガリネズミ類は鳥獣保護管理法で捕獲禁止
- 最重要ポイント
- 常にエサを切らさない。空腹は数時間で命に関わる
生態と特徴
- 体の特徴
- 体長8〜15cm。細長い鼻と小さな目、脇腹に臭腺。嗅覚と聴覚が頼り
- 原産地・分布
- ジャコウネズミは南アジア原産。日本では南西諸島に分布
- 野生での生息環境
- 人家周辺の草地や畑・床下。トガリネズミは森林や湿った草地
- 活動時間・睡眠
- 薄明薄暮〜夜行性。短い睡眠と採食を1日中くり返す
- 社会性・人との関係
- 単独性で縄張りを持つ。成獣同士は激しく争う
特徴的な行動・習性
- 子が母の尻を順にくわえて列で歩くキャラバン行動
- キーキーと鳴き、超音波で周囲を探る
- ネズミと違い嘔吐できる。乗り物酔いもする
かかりやすい病気と予兆の見方・予防
低血糖・飢餓衰弱
予兆ふらつく、動かない、体が冷たい、けいれん。数時間の絶食で起こる
予防エサを常に複数箇所に置く。外出前・就寝前は必ず残量確認。体重を週1回測る
低体温症
予兆動きが鈍い、丸まって震える、触ると冷たい。20℃以下で急速に悪化
予防通年22〜28℃を保ち、冬はパネルヒーターと保温電球を併用。温度計を目線で確認
歯の摩耗・歯周病
予兆硬いエサを残す、よだれ、口臭、片側で噛む、顔の腫れ。高齢で多い
予防硬すぎる乾燥エサに偏らせない。口元を月1回確認。食べ方が変わったら受診
下痢・腸炎
予兆軟便・水様便、肛門周囲の汚れ、食欲低下。急なエサ変更や生肉で起こる
予防エサは数日かけて切り替える。生肉は避け加熱する。食べ残しは数時間で撤去
腫瘍
予兆体表のしこり、乳腺の腫れ、血尿、急な体重減少。1歳半以降に増える
予防予防法なし。月1回全身を触ってしこり確認。2歳近くなったら健診を受ける
皮膚炎・外部寄生虫
予兆脱毛、フケ、かさぶた、かゆがる、臭腺周囲のただれ
予防床材を清潔に保ち湿らせない。新しい個体は受診して寄生虫検査。昆虫は信頼できる店から
病気の予兆チェックリスト
毎日1回チェック。1つでも当てはまれば早めに動物病院へ相談。
病気の応急処置
ふらつき・動かない
低血糖を疑い、まず好物を口元へ。食べなければ砂糖水を指先で歯茎に塗り、温めながら1時間以内に受診
体が冷たい
タオルで包み湯たんぽを添えて30分〜1時間かけて徐々に温める。動き出したらすぐ給餌。回復しなければ当日受診
下痢が続く
エサを消化しやすい物に戻し、便を持参して当日受診。水様便・血便・食欲なしは即受診
食べ方が変・よだれ
柔らかいエサに切り替えて食べさせつつ、2日以内に受診。全く食べない時は数時間以内に受診
起こりやすい怪我と予防・応急処置
咬傷(同居個体)
予防成獣は必ず単独飼育。オス同士は絶対に同居させない。繁殖も短時間の見合いのみ
応急処置すぐ分離し、出血部を清潔なガーゼで軽く押さえる。深い傷は当日受診。血が止まらなければ即受診
骨折・脱臼
予防高さ30cm以上から落とさない。金網床や隙間のある回し車を使わない
応急処置足を引きずる・触ると鳴く時は触らず小箱に入れ安静。保温と給餌を続け当日受診
尾・足の裂傷
予防金網やプラスチックの割れ目をなくす。爪を引っかける布製品を避ける
応急処置ガーゼで押さえ止血。尾の皮が剥けた場合は乾かさず受診。出血量が多ければ即受診
低温・高温火傷
予防ヒーターは直接触れない位置に。保温電球は金網カバー付きで設置
応急処置患部を濡れガーゼで軽く冷やし、ケージの温度を点検。皮膚が赤い・剥けた場合は当日受診
動物由来感染症(人にうつる病気)
サルモネラ症
感染経路便・ケージ・昆虫エサを触った手から
予防世話の後は石けんで手洗い。食卓や台所で世話をしない。生肉の扱いに注意
皮膚糸状菌症
感染経路皮膚・脱毛部との接触
予防脱毛やフケのある個体は手袋で扱う。人に円形の発疹が出たら皮膚科へ
咬傷の細菌感染
感染経路噛み傷から細菌が入る
予防素手で急につかまない。噛まれたら流水で洗い、腫れや発熱があれば受診
ダニ媒介感染症
感染経路野外個体や床材についたダニ
予防野生個体を持ち込まない。床材は市販の清潔な物のみ。ダニを見つけたら受診
飼養条件:餌・水・おもちゃ・巣・床材
餌
- 昆虫食・高たんぱくの乾燥フードを常時置き
- コオロギ・ミルワームを1日数匹、ゆで卵や鶏ささみも
- 1日3〜4回に分けて補充。夜に多めに置く
水
- 浅い皿と給水ボトルの両方を設置
- 毎日交換。空腹時は水だけでは命をつなげない
与えてはいけないもの
- 果物・甘い物・穀物中心の小動物フード
- 生の豚肉・味付けした肉・加工食品
- ネギ類・チョコ・カフェイン・アボカド
おもちゃ・遊び
- 直径20cm以上で隙間のない回し車
- 落ち葉やチップに昆虫を隠す探索遊び
- トイレットペーパー芯などの狭いトンネル
巣・寝床・隠れ家
- 暗く狭い木製やプラ製の小屋を2つ
- ティッシュや牧草を詰めて自分で巣作りさせる
床材・トイレ
- 広葉樹チップかペーパーチップを厚めに敷く
- 臭いが強いので汚れた部分は毎日交換
- トイレは覚えにくく隅に砂皿を置く程度
飼養環境:ケージ・運動・温湿度
ケージ・ハウスの素材
脱走しにくいガラス水槽かプラケース。金網は爪や鼻を傷める
大きさ・広さ
幅45cm以上。床面積が広い物。高さより広さ
配置・レイアウト
- エサ皿を2〜3箇所に分散して置く
- ヒーターは床の半面に敷き逃げ場を作る
- 巣箱・回し車・エサ場を離して配置
設置場所の注意
- 直射日光とエアコンの風が当たらない場所
- 振動や大きな音のない静かな場所に置く
運動・部屋んぽ・散歩
- 部屋んぽは不要で脱走の危険が大きい
- 運動はケージ内の回し車と探索で十分
- 動きが速く隙間に入るため床に放さない
温湿度管理
適温22〜28℃。20℃以下と30℃以上は危険
適湿度40〜60%。蒸れると皮膚炎を起こす
夏・冬の対策
- 夏はエアコンで28℃以下、水を切らさない
- 冬はヒーター2種を併用し停電に備える
グルーミングと外敵からの保護
爪切り
伸びすぎて引っかかる場合のみ。保定が難しいため動物病院で切ってもらう
ブラッシング・皮膚被毛ケア
不要。砂浴び皿を置くと自分で体を整える。臭腺の臭いは洗っても消えない
その他のケア
臭腺のこすりつけ跡は中性洗剤で拭く。歯は硬めのエサで自然に保つ
外敵からの保護
- 猫・犬・フェレットと同じ部屋に置かない
- 網戸の隙間からのヘビ・カラスに注意
- 蚊・ダニ対策に網戸と清潔な床材
飼養上の注意(事故防止)
異物誤飲
床材やティッシュを飲み込みやすい。綿や細い糸の寝床は使わない。便が出ず腹が張れば当日受診
踏みつけ
動きが素早く足元に来ることがある。床に放さない。踏んだら保温し、動けない・出血なら即受診
挟まれ
ケージのフタやスライド扉に挟まれやすい。開閉時は位置を確認。挟んだらすぐ外し、足を引きずれば当日受診
落下・転落
手の上から飛び降りて骨折しやすい。抱くのは床に近い低い位置で。落下後は箱に入れ安静にし当日受診
逸走・脱走
数mmの隙間から脱走する。フタは必ずロック。逃げたら部屋を閉め切り、エサ皿を床に置いて夜に静かに待つ
噛みついた時の安全な引き離し方
やってはいけないこと
- 手を振って振り落とす
- 口を無理にこじ開ける
安全な引き離しの手順
- 手を動かさずケージの床近くに下ろす
- もう片方の手で好物を鼻先に近づける
- 離れたら素早く手を引き抜く
- 離さない時は顔に軽く息を吹きかける
引き離した後の処置
流水と石けんで洗い消毒。小さな牙でも深いため、腫れ・痛みが続けば受診
救命救急マニュアル
今すぐ夜間救急へ(命に関わる)
- 動かない・体が冷たい・けいれん
- 食べ物を口元に置いても反応しない
- 口や鼻からの出血・止まらない出血
- 呼吸が荒い・口を開けて呼吸
当日中に受診
- 半日以上エサが減っていない
- 水様便・血便・肛門の汚れ
- 足を引きずる・落下後に動きが鈍い
受診時に伝えること・持ち物
食べた時刻と量・体重・温度計の数値。便・吐物・エサの実物を持参
意識・呼吸・心拍の確認
- 指で軽く触れ、鼻ひげや足の反応を見る
- 呼吸は毎分100回以上と速く腹の動きで確認
- 心拍は毎分数百回で手では数えにくい
蘇生の手順
- 胸部圧迫は体が小さく危険なため行わない
- まずタオルで包み湯たんぽで保温する
- 砂糖水を歯茎に薄く塗り糖分を補う
- その状態で最寄りの救急病院へ直行
止血
- 清潔なガーゼで2〜3分軽く押さえる
- 足や尾は指でつまむ程度の圧で止血
- 消毒薬・止血剤は使わずそのまま受診
搬送方法
- 小さなプラケースに布と湯たんぽを入れる
- エサ皿を必ず入れ、暗くして揺らさない
ケースメソッドで学ぶ
