基本情報
- 寿命
- 10〜15年
- 体重
- 90〜160g
- 性格
- 夜行性で群れ好き、懐くと肩に乗る
- 飼育難易度
- 高(夜行性・栄養管理・自咬症)
- 法規制
- 動物愛護管理法の愛護動物。飼育に許可不要
- 最重要ポイント
- 単独飼育のストレスで自咬症になる
生態と特徴
- 体の特徴
- 体長15〜20cm。前後肢間の飛膜で50m以上滑空。育児嚢を持つ有袋類
- 原産地・分布
- オーストラリア東部・北部、ニューギニア島
- 野生での生息環境
- ユーカリなどの森林。樹洞に巣を作り樹上で暮らす
- 活動時間・睡眠
- 完全な夜行性。昼は巣で眠り夜に採食と活動
- 社会性・人との関係
- 6〜10頭の家族群で暮らす。単独は強いストレス
特徴的な行動・習性
- 樹液・花蜜・昆虫を食べる雑食。甘いものを好む
- オスは額と胸の臭腺で仲間や物に匂い付けする
- 威嚇時に「ジジジ」と大きな警戒音を出す
かかりやすい病気と予兆の見方・予防
自咬症
予兆しっぽ・手足・陰茎を自分でかじる、出血、脱毛。孤独・ストレス・ケガの痛みが引き金
予防2頭以上で飼う。1日1時間以上のふれあい。ケガや排尿異常があれば早めに受診
低カルシウム血症
予兆後ろ足のふらつき・麻痺、けいれん、震え、ぐったり
予防昆虫・果物だけの食事にしない。専用ペレットと昆虫にカルシウム剤をまぶす
肥満・脂肪肝
予兆体重増加、動きが鈍い、腹部の膨らみ、突然の食欲不振・黄疸
予防高脂肪の昆虫・ナッツを控える。専用ペレットを主食に。滑空できる広さを確保
陰茎脱・陰茎の自咬
予兆オスで陰茎が出たまま戻らない、乾燥・変色、なめ続ける
予防自咬症の予防と同じ。乾かないよう見つけたらすぐ受診。去勢で予防できる場合も
下痢・寄生虫
予兆水様便、肛門周囲の汚れ、体重減少、脱水
予防果物の与えすぎに注意。新しい個体は検便。ケージ・食器は毎日洗浄
白内障・眼疾患
予兆目が白く濁る、目やに、物にぶつかる。栄養不良の親から生まれた個体に多い
予防予防は栄養管理。目の異常は放置せず受診
病気の予兆チェックリスト
毎日1回チェック。1つでも当てはまれば早めに動物病院へ相談。
病気の応急処置
自分をかじり出血
エリザベスカラーは自作しない。落ち着ける暗い巣袋に入れ、傷を見せながら当日中に受診。放置で壊死する
後ろ足がふらつく
低カルシウム血症の疑い。無理に動かさず保温、その日のうちに受診。けいれんが出れば即受診
陰茎が戻らない
乾燥すると壊死する。触らず湿らせた清潔なガーゼで軽く覆い、30分以内に受診の連絡
水様便・脱水
果物・昆虫を中止しペレットと水を。皮膚をつまんで戻りが遅ければ脱水、便を持って当日受診
起こりやすい怪我と予防・応急処置
落下・骨折
予防部屋の窓・鏡・ガラスにぶつかって落ちる。滑空できる部屋はカーテンを閉め障害物を減らす
応急処置足を引きずる・動けない時は暗い巣袋に入れ安静。触らず当日中に受診
指・爪の引っかかり
予防目の粗い布・タオル・ネットは爪が引っかかり指を失う。巣袋はフリース素材に
応急処置引っ張らず布をハサミで切って外す。出血・腫れ・爪が抜けていれば受診
同居個体との咬傷
予防相性を見て同居。オス同士は去勢を検討。新入りは別ケージから段階的に会わせる
応急処置隔離し傷を清潔なガーゼで押さえる。傷が深い・化膿・元気がなければ受診
熱中症・低体温
予防暑さと寒さの両方に弱い。室温24〜28℃を保ち、エアコンとヒーターで管理
応急処置冷えていれば手のひらとタオルで包んで徐々に温め、暑ければ涼しい部屋へ移し即受診
動物由来感染症(人にうつる病気)
サルモネラ症
感染経路便・尿や汚れたケージ・食器から
予防世話の後は手洗い。トイレ掃除中の飲食禁止。食器は毎日洗浄
ジアルジア症
感染経路便に汚染された手や水から経口
予防新しい個体は検便。下痢便を扱う時は手袋、手洗い
皮膚糸状菌症
感染経路感染個体の皮膚・毛への接触
予防脱毛・フケがあれば触れた後に手洗い。治療するまで抱かない
レプトスピラ症
感染経路感染個体の尿や汚れた水との接触
予防傷のある手で掃除しない。ケージを乾燥させ清潔に保つ
飼養条件:餌・水・おもちゃ・巣・床材
餌
- フクロモモンガ専用ペレットを主食に夕方給餌
- 果物・野菜は少量、昆虫は週2〜3回
- 昆虫や果物にカルシウム剤をまぶす
水
- 給水ボトルと器の両方で新鮮な水を毎日交換
- 果物だけの水分では不足、飲水を確認
与えてはいけないもの
- チョコ・ネギ類・アボカド・生の豆
- ナッツ・種子・ハチミツの多用(肥満)
- ハムスター・小鳥用フード・牛乳
おもちゃ・遊び
- ロープ・止まり木・つり橋で立体的に
- 布製のポーチやトンネル(目の粗い物は不可)
- 側面のある滑らかな回し車
巣・寝床・隠れ家
- フリース製の巣袋を上段に吊るす
- 巣袋は複数用意し毎日交換して洗う
床材・トイレ
- 床材は不要、ペットシーツや新聞紙
- 尿が多いのでシーツは毎日交換
- 尿の臭いは水拭き、消臭剤は使わない
飼養環境:ケージ・運動・温湿度
ケージ・ハウスの素材
金網、目の細かい物(1.5cm以下)で脱走防止
大きさ・広さ
幅50×奥行50×高さ80cm以上の縦長ケージ
配置・レイアウト
- 巣袋は最上段、食器は中段の足場に
- 枝・ロープで上下に移動できる動線を
- 落下時に備え床に柔らかい布を敷く
設置場所の注意
- 夜行性なので寝室は避け、昼は静かに
- 直射日光・エアコンの風が当たらない場所
運動・部屋んぽ・散歩
- 夜間に1〜2時間、締め切った部屋で放す
- 窓・鏡・観葉植物・水回りは事故の元
- 肩や服の中に入れてスキンシップで運動
温湿度管理
適温24〜28℃、20℃以下・30℃以上は危険
適湿度50〜60%
夏・冬の対策
- 夏はエアコン常時運転、直射日光を避ける
- 冬は保温電球・パネルヒーターと巣袋で保温
グルーミングと外敵からの保護
爪切り
2〜3週間ごとに専用爪切りで先端だけ。2人で行い、爪は透明で血管が見えるのでその手前まで
ブラッシング・皮膚被毛ケア
ブラッシング不要。自分で毛づくろいする。毛づやが悪ければ栄養不足かストレスの疑い
その他のケア
水浴びは不要、汚れは湿らせた布で拭く。臭腺の匂いは正常、消臭スプレーは使わない
外敵からの保護
- 猫・犬・フェレットは別室、放し時も隔離
- 夜の放し中は窓を閉め、カーテンも閉める
- 夏は網戸で蚊の侵入を防ぐ
飼養上の注意(事故防止)
異物誤飲
糸・ゴム・綿・観葉植物・電気コードをかじる。放す部屋の小物を片付け、便が減れば当日受診
踏みつけ
夜間に床を歩く。暗い部屋を歩く時は足元をライトで照らす。踏んだら触らず暗い袋に入れ受診
挟まれ
ドア・引き戸・カーテンレールに挟まれる。放す前に家族に周知し、開閉は居場所を確認
落下・転落
滑空失敗で窓・鏡に衝突。カーテンを閉め障害物を減らす。落ちて動かなければ触らず受診
逸走・脱走
小さな隙間から逃げ夜間は捜索困難。網戸・換気扇・排水口を塞ぐ。逃げたら夜に巣袋と好物を置いて誘う
噛みついた時の安全な引き離し方
やってはいけないこと
- 手を振り払う・引き抜く(歯が折れ指を裂く)
- 叩く・大声を出す(恐怖で噛み癖が強まる)
安全な引き離しの手順
- 動かず力を抜き、落ち着いて待つ
- 手を巣袋やケージの中に入れて逃げ場を作る
- 口元に好物(ヨーグルトなど)を差し出す
- 離れたらそっと手を引き、しばらく触らない
引き離した後の処置
傷は流水で洗い消毒。腫れ・熱・化膿があれば人の病院へ。噛む原因(痛み・恐怖)を確認
救命救急マニュアル
今すぐ夜間救急へ(命に関わる)
- けいれん・後ろ足の麻痺
- 陰茎が出たまま乾いている
- 自分をかじって出血が止まらない
- 冷たくなり動かない・呼吸が速い
当日中に受診
- 半日以上食べない・巣袋から出ない
- 水様便が続く・肛門が汚れている
- 落下後に足を引きずる・腫れ
受診時に伝えること・持ち物
食事内容とカルシウム剤の有無、同居頭数、自咬の有無、便や患部の写真、巣袋ごと持参
意識・呼吸・心拍の確認
- 呼びかけ・鼻先の刺激に反応するか
- 胸の動きを見る。正常呼吸は毎分約20〜40回
- 胸に指を当てる。正常心拍は毎分約200〜300回
蘇生の手順
- 超小型で胸骨圧迫は骨折の危険が高い
- まず保温し、口の異物を綿棒で除く
- 呼吸が浅ければ胸を指1本で毎分約100回軽く圧迫
- 処置と同時に電話し即搬送する
止血
- 清潔なガーゼで傷を数分間そっと押さえる
- 自咬部は再びかじらないよう巣袋に入れる
- 止血後もタオルで保温して受診
搬送方法
- 巣袋ごと小型キャリーに入れ暗くする
- カイロはタオルで包み直接触れさせない
ケースメソッドで学ぶ
