レアな小動物・鳥類

テンレック

ハリネズミに似た原始的哺乳類(マダガスカル)・休眠する

最重要:冬のトーパー(休眠)を理解し体重管理する

基本情報

寿命
8〜13年(小型哺乳類では長寿)
体重
小型種50〜250g(ヒメハリテンレック等)
性格
夜行性で臆病。慣れると手に乗る個体も
飼育難易度
高(休眠管理・専門獣医が少ない)
法規制
動物愛護管理法対象。輸入時の検疫と入手経路確認
最重要ポイント
冬のトーパー(休眠)を理解し体重管理する

生態と特徴

体の特徴
体長12〜18cm。全身の針状毛で防御し丸まる。ハリネズミに似るが近縁ではなく、体温は環境に左右される
原産地・分布
マダガスカル島の固有種
野生での生息環境
乾燥林・低木林や岩場。地上で暮らすが木にも登る
活動時間・睡眠
夜行性。昼は樹洞や落ち葉の下で眠り、乾季は休眠する
社会性・人との関係
単独性で繁殖期以外は他個体を避ける。1頭飼いが基本

特徴的な行動・習性

かかりやすい病気と予兆の見方・予防

休眠中の衰弱・脱水

予兆休眠中に体重が急減、皮膚をつまむと戻らない、目が落ちくぼむ

予防休眠前に十分な体重を確保。休眠中も週1回体重を測り水を置く

肥満・脂肪肝

予兆体が丸く足が見えない、動きが鈍い、食欲低下、黄色い粘膜

予防ミルワームなど高脂肪の虫を控える。回し車で運動させる

口腔内腫瘍・歯周病

予兆口臭・よだれ・食べ方が変・顔の片側の腫れ・出血

予防月1回口の中を確認。柔らかい餌ばかり与えず昆虫の外骨格を

皮膚炎・ダニ寄生

予兆針の抜け落ち、皮膚のフケ・かさぶた、かゆがる

予防床材を清潔に保ち湿度を適正に。入手時に獣医師の皮膚検査

腸炎・下痢

予兆軟便・緑色の便・血便・肛門の汚れ・急な体重減少

予防野生の昆虫を与えない。食べ残しは翌朝回収し餌皿を毎日洗う

子宮疾患(メス)

予兆陰部からの出血・お腹の膨らみ・食欲低下

予防早期発見が命。異常な出血は当日中に受診。繁殖予定がなければ獣医師に相談

病気の予兆チェックリスト

毎日1回チェック。1つでも当てはまれば早めに動物病院へ相談。

病気の応急処置

休眠期以外に冷たい

低体温か病気。20〜28℃の部屋でタオルに包み湯たんぽで徐々に温める。1時間で動かなければ即受診

休眠中の体重減少

休眠はゆっくり起こして良い。25℃前後に温め、水と餌を与える。食べなければ当日中に受診

顔の腫れ・出血

口腔腫瘍の可能性。柔らかい餌を用意し出血の写真を撮り、2日以内に受診。口を無理に開けない

下痢・脱水

小型で半日で脱水する。保温し水を置き、便を持って当日中に受診。休眠に入りかけたら温める

起こりやすい怪我と予防・応急処置

足・指の絡まり

予防布の糸くず・網目の粗い回し車で指を挟む。フリースや紙床材、面状の回し車を使う

応急処置絡んだ糸は切って外す。指が腫れる・紫色なら当日中に受診

落下・転落

予防登る力が強く、ケージ上部から落ちる。高さを低くしマットを敷く

応急処置動きと呼吸を確認し、狭い箱に入れ保温。足を引きずれば当日中に受診

熱傷(ヒーター)

予防ヒーターは外付けかカバー付き。直接触れられる配置にしない

応急処置患部を濡れタオルで冷やす。皮膚が赤黒く水ぶくれなら受診

針の折れ・皮膚裂傷

予防強く握らない。ケージの突起や割れたプラスチックを点検

応急処置出血はガーゼで圧迫。皮膚が裂けたら清潔なガーゼで覆い当日中に受診

動物由来感染症(人にうつる病気)

サルモネラ症

感染経路糞・餌皿・ケージとの接触

予防世話の後は手洗い。子どもは触った後必ず手を洗う

皮膚糸状菌症

感染経路針や皮膚への直接接触

予防フケや脱毛があれば手袋で扱い獣医師へ

ダニ寄生

感染経路体表のダニが人の皮膚に移る

予防入手時に獣医師の検査。床材の定期交換

咬傷による感染

感染経路咬まれた傷・引っかき傷

予防傷は流水で洗い、腫れれば医療機関へ

飼養条件:餌・水・おもちゃ・巣・床材

  • 昆虫食用フードか高品質猫用フードを主食
  • コオロギ・ミルワームは1日数匹(脂肪に注意)
  • ゆで卵・ゆで鶏肉を週数回、果物はごく少量

  • 浅い重い皿で常時新鮮な水
  • 休眠中も水を置き、毎日交換

与えてはいけないもの

  • 野生で捕った虫(寄生虫・農薬)
  • 牛乳・チョコ・タマネギ・アボカド
  • ナッツ・種子(歯に詰まり窒息)

おもちゃ・遊び

  • 面状の回し車(直径20cm以上、隙間なし)
  • 紙製トンネル・落ち葉での探索
  • 餌を隠す採食パズル

巣・寝床・隠れ家

  • 暗い巣箱にフリースを詰めた寝床
  • 休眠期は静かで温度変化の少ない場所

床材・トイレ

  • 紙製床材かフリース(糸くずの出ない布)
  • トイレは決まりにくい。床材は週1〜2回交換
  • 針葉樹チップは避ける(皮膚刺激)

飼養環境:ケージ・運動・温湿度

ケージ・ハウスの素材

アクリルやガラスの衣装ケース型。金網は登って落ちる

大きさ・広さ

1頭あたり底面60×45cm以上

配置・レイアウト

  • 巣箱・回し車・餌場を離して配置
  • 登れる突起を作らず高さは30cm程度
  • 温度計・湿度計を中と外に設置

設置場所の注意

  • 昼は暗く静かな場所。テレビ・犬猫の近くは避ける
  • ヒーターは外付けで一部だけ温める

運動・部屋んぽ・散歩

  • 夜に30分〜1時間、サークル内で監視下の運動
  • 隙間・コード・小さな物を片付ける
  • 休眠期は無理に起こさず運動させない

温湿度管理

適温活動期24〜28℃。休眠期は20℃前後

適湿度50〜70%。乾燥で皮膚が荒れる

夏・冬の対策

  • 夏はエアコンで30℃以下。日中は暗く
  • 冬は休眠を許容するかヒーターで起こしたままにするか獣医師と決める

グルーミングと外敵からの保護

爪切り

月1〜2回、白い部分のみ。丸まる個体は獣医師に依頼

ブラッシング・皮膚被毛ケア

針は不要。ぬるま湯で足裏の汚れを落とす程度

その他のケア

歯と口を月1回確認。休眠前に歯周病を見つける

外敵からの保護

  • 犬・猫・フェレットと同室にしない
  • ベランダに出さない(カラス・猫)
  • 床にいると踏まれる。サークルを使う

飼養上の注意(事故防止)

異物誤飲

小さな物を口に入れる。ケージ内に布の糸・小石を置かない。食欲低下・便が出なければ当日中に受診

踏みつけ

暗い床で丸まると気付かれない。部屋んぽはサークル内で。踏んだら呼吸と動きを確認し受診

挟まれ

ケージの蓋やドアに指を挟む。閉める前に位置を確認。挟まれたら冷やして受診

落下・転落

アクリルケージの縁から落ちる。高さを抑えマットを敷く。落下後ふらつけば受診

逸走・脱走

登って蓋の隙間から出る。蓋を確実に固定。逃げたら暗い狭所を捜索し、巣箱と餌を置いて待つ

噛みついた時の安全な引き離し方

やってはいけないこと

  • 手を引き抜く(歯が折れ傷が裂ける)
  • 針を握って引き離す(手を刺す)

安全な引き離しの手順

  1. 動かず静かにして力が緩むのを待つ
  2. タオルで体を覆い暗くする
  3. 口の端に薄い板を差し込み少し開ける
  4. 離れたら巣箱に戻し落ち着くまで放置

引き離した後の処置

傷を流水で洗い圧迫止血。腫れ・熱感があれば医療機関へ

救命救急マニュアル

今すぐ夜間救急へ(命に関わる)

  • 体が冷たく反応がない(休眠期以外)
  • 呼吸が荒い・口を開けて息をする
  • けいれん・後肢の麻痺
  • 出血が止まらない・皮膚が裂けた

当日中に受診

  • 食べない・水を飲まない
  • 顔の腫れ・口からの出血
  • 下痢が半日以上続く

受診時に伝えること・持ち物

体重推移・餌の内容・温度管理と休眠状況・便の写真。エキゾチック対応病院を事前確認

意識・呼吸・心拍の確認

  • 休眠中は体温が室温近くまで下がるのが正常
  • 胸の動きで呼吸を確認(活動時1分30〜50回)
  • 胸に指を当て心拍を確認(休眠中は極端に遅い)

蘇生の手順

  1. まず25℃前後に保温し反応を待つ
  2. 反応がなければ親指と人差し指で胸を挟み圧迫
  3. 1分100回以上、5回に1回鼻から息を吹く
  4. 数分続けても戻らなければ獣医師の指示に従う

止血

  • 清潔なガーゼで3〜5分圧迫
  • 針の根元の出血は圧迫しながら包帯で固定
  • 止まらなければ圧迫を続けて搬送

搬送方法

  • 小型キャリーにフリースを敷き暗くする
  • 湯たんぽを布で包み添え、静かに運ぶ

ケースメソッドで学ぶ

ケースメソッド(状況予測シナリオ 50問)

テンレックに起こりうる病気・怪我・事故を想定した4択問題。解答・解説・課題と改善案付き。

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