基本情報
- 寿命
- 5〜10年(肉用大型品種は3〜5年と短め)
- 体重
- 雄7〜12kg、雌4〜7kg。肉用品種はさらに重い
- 性格
- 好奇心が強く人懐こい。雄は春に闘争的
- 飼育難易度
- 高(体格・鳴き声・法的届出・感染症対策)
- 法規制
- 家畜伝染病予防法の家きん。飼養の定期報告が義務
- 最重要ポイント
- ニワトリと同居させない(黒頭病で死亡する)
生態と特徴
- 体の特徴
- 全長1m超の大型鳥。頭は裸出し肉垂と鼻上の肉瘤(スヌード)が感情で赤・青・白に変化。雄は胸にひげ羽
- 原産地・分布
- 北米原産の野生シチメンチョウを中米で家畜化。日本には明治期に導入
- 野生での生息環境
- 落葉広葉樹林と草地が混じる林縁。昼は地上で採食し夜は樹上で眠る
- 活動時間・睡眠
- 昼行性。日の出とともに採食し日没前に高い枝に飛び上がって眠る
- 社会性・人との関係
- 群れで生活し順位が明確。雄は繁殖期に闘い、群れの人にはよく懐く
特徴的な行動・習性
- 雄は尾を広げ羽を膨らませて誇示し、音に反応して一斉に「ゴロゴロ」と鳴く
- 砂浴びで羽の寄生虫を落とす。砂場がないと羽が傷む
- ヒナは数日間は餌を自分で見つけにくく、光る餌や指で教える必要がある
かかりやすい病気と予兆の見方・予防
ヒストモナス症(黒頭病)
予兆硫黄色の泡立った便、羽を膨らませて立ちすくむ、頭部が黒ずむ、食欲廃絶、数日で死亡することも
予防ニワトリと同じ土地・鶏舎で飼わない。盲腸虫の卵が土に残るため土を入れ替え、ミミズを食べさせない。異常便は即受診
脚弱・関節障害
予兆座り込んで動かない、かかとを着いて歩く、片脚を引きずる、関節の腫れ、脚が外側に開く
予防急激な体重増加を避けて高たんぱく飼料を与えすぎない。滑らない床と低い止まり木。運動できる広さを確保
鳥インフルエンザ
予兆急死、複数羽が同時にぐったり、頭部や肉垂の紫変色、顔の腫れ、首が曲がる。疑ったら家畜保健衛生所へ通報
予防防鳥ネットで野鳥と糞を遮断。飼育専用の靴と手洗い。餌と水を屋内に置き野鳥に触れさせない
伝染性副鼻腔炎
予兆目の下が腫れて涙と鼻水が出る、顔が腫れ目が開かない、くしゃみ、咳、呼吸音
予防マイコプラズマが原因。新しい鳥は2週間以上隔離。換気を良くしアンモニア臭や粉塵を減らす。早期受診
コクシジウム症
予兆血便や水様便、羽を膨らませうずくまる、食欲低下、ヒナでは急な衰弱と死亡
予防敷料を乾燥させ糞を毎日除去。給餌器・給水器を高くして糞が入らないようにする。過密を避ける
熱中症
予兆口を開けて速い呼吸、翼を体から離して垂らす、よだれ、ふらつき、肉垂が紫色、倒れる
予防30℃を超える日は日陰と風通しを確保し、冷たい水を複数箇所に置く。大型個体は特に注意
病気の予兆チェックリスト
毎日1回チェック。1つでも当てはまれば早めに動物病院へ相談。
病気の応急処置
硫黄色の便と立ちすくみ
黒頭病の疑い。すぐ他の鳥から隔離し保温。便を写真に撮り当日中に受診。ニワトリとの同居歴を伝える
口を開けて呼吸し翼を垂らす
熱中症。日陰か屋内へ移し扇風機で風を当て、脚と翼の下を常温の水で濡らす。冷水は使わず30分以内に受診
座り込んで立てない
無理に立たせず滑らない床に敷料を厚く敷く。餌と水を手元に置き、当日中に受診して関節や骨の検査を受ける
顔が腫れ目が開かない
副鼻腔炎の疑い。他の鳥から隔離し、目の周囲を濡らしたガーゼで拭く。数日以内に受診し群れ全体の対策を相談
起こりやすい怪我と予防・応急処置
雄同士の闘争傷
予防繁殖期の春は成雄を1羽ずつ分ける。複数飼うなら逃げ場と視線を遮る板を置く
応急処置板で間に入って引き離す。頭部と肉垂の出血はガーゼで5分圧迫し、傷が深ければ当日中に受診
脚の骨折・脱臼
予防止まり木は50cm以下にし、飛び降りる場所に厚い敷料。抱き上げは胸と脚を支える
応急処置患肢を触らず暗い箱に入れて安静。添え木は巻かず、搬送中は動かないよう狭い箱で当日中に受診
胸部の床ずれ
予防重い個体は座る時間が長く胸に潰瘍ができる。敷料を厚く乾いた状態に保ち、体重増加を抑える
応急処置患部を清潔にして乾いた敷料へ。赤く腫れる、膿が出るなら数日以内に受診。自己判断で切開しない
肉垂・スヌードの裂傷
予防金網の突起やとがった針金をなくす。闘争の原因になる成雄の同居を避ける
応急処置血が多く見えても落ち着いてガーゼで圧迫。止まらない、大きく裂けた場合は当日中に受診
動物由来感染症(人にうつる病気)
サルモネラ症
感染経路糞に触れた手、卵や鶏舎のほこりから口へ
予防世話の後は石けんで手洗い。鶏舎用の靴と服を分ける。子どもは手洗いを徹底
カンピロバクター症
感染経路糞で汚れた水や器具、手指を介して経口
予防給水器は毎日洗う。鶏舎で飲食しない。下痢や発熱が出たら人の病院で飼育歴を伝える
鳥インフルエンザ
感染経路感染鳥の糞や分泌物、羽毛のほこりの吸入
予防急死や複数羽の異常は素手で触らず家畜保健衛生所へ連絡。作業時はマスクと手袋
オウム病(鳥クラミジア症)
感染経路乾いた糞や鼻汁のほこりを吸い込む
予防掃除の前に床を霧吹きで湿らせ、マスクを着ける。人にインフルエンザ様症状が出たら受診
飼養条件:餌・水・おもちゃ・巣・床材
餌
- 七面鳥用か高たんぱくの家禽用配合飼料を主食に、朝夕2回
- 成鳥は青菜・野草を加える。肥満個体は飼料量を減らす
- ヒナは28%前後の高たんぱく飼料。食べ始めるまで指で教える
水
- 新鮮な水を毎日交換し複数の給水器を置く
- 夏は日陰に置き、1日2回以上補充する
与えてはいけないもの
- ミミズ・土の中の虫(黒頭病の原因を運ぶ)
- アボカド・チョコレート・カフェイン・ネギ類
- カビた飼料・腐った野菜(アスペルギルス症の原因)
おもちゃ・遊び
- 吊るしたキャベツや青菜をつつかせる
- 広い放飼場で地面を掻いて餌を探す時間
- 砂浴び用の乾いた砂場を常設する
巣・寝床・隠れ家
- 床置きの大きな産卵箱に乾いた藁を厚く敷く
- 雨風を遮り夜は施錠できる小屋。1羽2㎡以上
床材・トイレ
- もみ殻や乾いた藁を10cm以上。湿ったら交換
- 床は土やコンクリート。滑る板床は避ける
- 糞は毎日除去し、週1回は全交換
飼養環境:ケージ・運動・温湿度
ケージ・ハウスの素材
木造か金属の小屋に細かい金網。防鳥ネット併用
大きさ・広さ
小屋は1羽2㎡以上、放飼場はさらに10㎡以上
配置・レイアウト
- 止まり木は50cm以下で太く、下に厚い敷料
- 給餌器と給水器は床から離し、小屋の両端に
- 成雄は春に仕切り、互いに見えない配置に
設置場所の注意
- ニワトリの飼育場所とは完全に分ける
- 風通しがよく西日の当たらない場所に設置
運動・部屋んぽ・散歩
- 放飼場で毎日数時間、自由に歩き回らせる
- 放鳥中は野鳥やカラスとの接触を監視する
- 夕方は自分で小屋に戻るよう習慣づける
温湿度管理
適温成鳥は5〜25℃が快適。30℃以上は熱中症に注意
適湿度50〜70%。湿った敷料はカビと寄生虫の温床
夏・冬の対策
- 夏:日陰と扇風機、冷たい水を複数箇所に
- 冬:風除けと厚い敷料。肉垂の凍傷に注意
グルーミングと外敵からの保護
爪切り
放飼で自然に削れる。伸びたら鳥用爪切りで先端のみ。雄のけづめも同様
ブラッシング・皮膚被毛ケア
砂浴びが羽のケア。羽の汚れは乾いた後に軽くほぐす。濡らしすぎない
その他のケア
くちばしの伸びすぎや左右差は受診。脚の鱗の浮き上がりはダニの疑い
外敵からの保護
- 夜は必ず施錠した小屋に入れる。キツネ・タヌキ・イタチ対策
- 放飼場に防鳥ネットでカラス・野鳥を遮断
- 犬は七面鳥を追うため柵で完全に分ける
飼養上の注意(事故防止)
異物誤飲
針金・釘・ビニール・輪ゴムをつついて飲む。放飼場の小物を片付ける。首を振る、食欲低下は受診
踏みつけ
大型でも踏まれれば脚を骨折する。足元に寄るので歩く前に位置を確認。踏んだら抱かず箱へ入れて受診
挟まれ
小屋の扉や柵に首・翼・脚を挟む。扉はゆっくり閉め、金網の隙間は3cm以下にし、挟まったら押さず引く
落下・転落
高い止まり木や抱き上げた高さから落ちると脚と胸骨を痛める。止まり木は50cm以下。落下後に立てなければ受診
逸走・脱走
柵は1.8m以上。逃げても遠くへは行かず夕方に木の上や物陰にいる。餌と仲間の声で呼び、暗くなってから捕まえる
噛みついた時の安全な引き離し方
やってはいけないこと
- つつかれても叩いたり蹴ったりしない
- 雄に背を向けて走って逃げない
安全な引き離しの手順
- 動きを止め目を合わせず静かに立つ
- 板やタオルで視線を遮る
- 両翼を体に押さえ込んで胸と脚を抱えて持ち上げる
- 小屋に戻し落ち着くまで近づかない
引き離した後の処置
傷を流水で洗い消毒。けづめの深い傷や腫れ・化膿は人の病院へ
救命救急マニュアル
今すぐ夜間救急へ(命に関わる)
- 口を開けて呼吸し倒れている
- 硫黄色の便と立ちすくみ
- 複数羽が同時にぐったり、急死
- 多量の出血が止まらない
当日中に受診
- 座り込んで立てない、脚を引きずる
- 餌を1日食べない、水ばかり飲む
- 顔が腫れ目が開かない
受診時に伝えること・持ち物
体重と品種、ニワトリとの同居歴、便の写真、餌の種類、発症時刻を伝える
意識・呼吸・心拍の確認
- 意識:呼びかけや接触に反応するか
- 呼吸:胸の上下を見る。安静時1分約20〜30回
- 心拍:胸に耳を当てる。1分約150〜250回
蘇生の手順
- 胸部圧迫は骨折の危険があり推奨されない
- 暑ければ風を当て、寒ければ30℃前後で保温
- 首を伸ばし気道を確保、口内の異物を除く
- 反応が弱ければ暗い箱に入れ即受診
止血
- 清潔なガーゼで5分以上圧迫
- 爪やけづめの出血は止血剤か片栗粉で
- 止まらなければ圧迫したまま受診
搬送方法
- 大型犬用キャリーか丈夫な箱に厚いタオル
- 暗くして揺らさず、夏は保冷剤を箱の外側に
ケースメソッドで学ぶ
