基本情報
- 寿命
- リクガメ30〜50年以上、ミズガメ20〜40年
- 体重
- 種で大差。ヘルマン1〜3kg、アカミミガメ1〜2kg
- 性格
- 穏やかで人に慣れる。オス同士は闘争しやすい
- 飼育難易度
- 中〜高(紫外線・温度管理、寿命が長い)
- 法規制
- アカミミガメは条件付特定外来生物、放流・譲渡禁止
- 最重要ポイント
- 紫外線灯と保温を欠かすと甲羅とくる病に直結
生態と特徴
- 体の特徴
- 甲羅は背骨と肋骨が変化したもので痛覚がある。歯はなく嘴で噛む。リクガメは寿命30年超
- 原産地・分布
- ヘルマンは地中海沿岸、クサガメは東アジア、アカミミガメは北米原産の外来種
- 野生での生息環境
- リクガメは乾燥した草原や低木林。ミズガメは池や川で日光浴する
- 活動時間・睡眠
- 昼行性。日光浴で体温を上げる。冬は冬眠する種が多い
- 社会性・人との関係
- 単独性。縄張りは弱いが同居で噛み合う。人を餌の合図で覚える
特徴的な行動・習性
- 日光浴(バスキング)で紫外線を浴び甲羅を作る
- ミズガメは水中で餌を食べる。陸では飲み込めない
- リクガメは穴を掘って隠れる。逃走力が高い
かかりやすい病気と予兆の見方・予防
代謝性骨疾患(くる病)
予兆甲羅が柔らかい・ピラミッド状に盛り上がる・手足の震え・歩けない
予防UVB灯を半年ごと交換、カルシウム粉を餌にかける、リクガメは日光浴
甲羅の腐れ・甲羅剥離
予兆甲羅に白斑や穴、悪臭、甲板がめくれる、出血や膿
予防水替えと乾燥できる陸場を用意、汚れた水で飼わない、甲羅の傷は受診
呼吸器感染症(肺炎)
予兆口を開けて呼吸、鼻水・泡、水面で体が傾く、首を伸ばして呼吸
予防低温と急な温度変化を避ける、換気しつつ適温を維持、早期受診
結膜炎・ビタミンA欠乏
予兆まぶたが腫れて開かない、目やに、食欲低下、皮膚のただれ
予防ミズガメは配合飼料主体に、リクガメは緑黄色野菜を与える
卵詰まり(卵塞)
予兆メスが落ち着かず穴を掘る、食欲不振、力む、後肢の麻痺
予防産卵床(湿った土や砂)を常設、カルシウム不足を防ぐ、単独でも産卵する
腸閉塞・寄生虫
予兆便が出ない、下痢、便に虫、食欲低下、体重減少
予防床材の誤食を防ぐ、野外採集の餌を避ける、購入後に検便を受ける
病気の予兆チェックリスト
毎日1回チェック。1つでも当てはまれば早めに動物病院へ相談。
病気の応急処置
開口呼吸・鼻水
肺炎の疑い。ケージを30℃前後に保温し、ミズガメは浅い水に移して溺れを防ぎ、当日中に受診
甲羅が柔らかい
くる病の疑い。転倒や落下を避け、UVB灯とカルシウムを確認。自己判断で治らないので早期受診
目が開かない
目を無理に開けない。清潔な温水で飼育環境を洗い、ビタミンA不足や感染の可能性があるため数日以内に受診
便が出ない・拒食
30℃前後のぬるま湯に10〜15分温浴し排泄を促す。床材誤食や卵詰まりの恐れ、2日続けば受診
起こりやすい怪我と予防・応急処置
甲羅の割れ・ひび
予防高所に置かない、机や棚から落とさない、犬や他のカメと同居させない
応急処置破片を外さず清潔なガーゼで覆い、水に入れず乾いた箱で保温、当日中に受診
ひっくり返り
予防傾斜や段差を減らす、転倒しても戻れるよう障害物を配置、留守中は平坦に
応急処置すぐ元に戻す。長時間放置は窒息・熱死の恐れ、ぐったりなら保温して受診
咬傷・闘争傷
予防オス同士や体格差のある個体を同居させない、餌は別々に与える
応急処置流水で洗い出血は圧迫、しっぽや手足の欠損・骨の露出は当日中に受診
熱傷(ヒーター)
予防保温球やヒーターに直接触れない距離と保護カバー、温度計で管理
応急処置冷たすぎない水で冷やし、患部に何も塗らず乾いた清潔な容器で受診
動物由来感染症(人にうつる病気)
サルモネラ症
感染経路カメの体表・糞・飼育水に触れた手からの経口感染
予防触った後は石けんで手洗い、台所で水槽を洗わない、乳幼児は触らせない
皮膚糸状菌症
感染経路カメの皮膚・甲羅との接触
予防傷のある手で扱わない、飼育用具を共用しない、皮膚に赤い輪ができたら受診
レプトスピラ症
感染経路汚れた飼育水・尿との接触(傷口・粘膜)
予防水替えは手袋着用、飛沫を口に入れない、発熱や筋肉痛があれば受診
エロモナス感染症
感染経路飼育水を介した傷口からの感染
予防手に傷があれば手袋、水槽の水を屋外排水で処理、傷が腫れれば受診
飼養条件:餌・水・おもちゃ・巣・床材
餌
- リクガメ:小松菜・チンゲン菜など葉野菜を毎日、成体は週5〜6日
- ミズガメ:カメ用配合飼料を主食、幼体は毎日、成体は2〜3日に1回
- カルシウム粉を週2〜3回、リクガメは牧草・野草も
水
- リクガメ:浅い水入れと週2〜3回の温浴で水分補給
- ミズガメ:飼育水が飲み水、毎日〜2日に1回全換水
与えてはいけないもの
- ほうれん草・キャベツばかり(シュウ酸・甲状腺腫)
- ドッグフード・肉や果物の与えすぎ(肥満・腎障害)
- 冷たい餌や野外採集の虫(寄生虫・農薬)
おもちゃ・遊び
- ゆるい起伏やスロープで歩き回れる地形
- 餌を隠して探させる、餌を少し高い岩に置く
- リクガメは屋外散歩、ミズガメは広い泳ぎ場
巣・寝床・隠れ家
- リクガメ:温度勾配のある薄暗いシェルター
- ミズガメ:完全に体が乾く陸場と水中の隠れ場所
床材・トイレ
- リクガメ:ヤシガラ・土系、誤食しやすい砂や細かいウッドチップは不可
- ミズガメ:底砂なし(ベアタンク)が清潔で管理しやすい
- 産卵床として湿った土を深さ体高の2倍以上に
飼養環境:ケージ・運動・温湿度
ケージ・ハウスの素材
衣装ケース・木製ケージ、ミズガメは水槽(ガラス・プラ)
大きさ・広さ
甲長の5倍×3倍以上、成体は90cm以上を目安に
配置・レイアウト
- ホットスポット(バスキング)と涼しい側で温度勾配
- UVB灯はカメから30cm前後、ガラス越し不可
- ミズガメは全身が乾く陸場と甲羅の高さ以上の水深
設置場所の注意
- 直射日光で密閉ケージを置かない(過熱死)
- 床の振動や大型犬の届く場所を避ける
運動・部屋んぽ・散歩
- リクガメは晴れた日に庭やベランダで日光浴、目を離さない
- 屋外は脱走・カラス・農薬に注意、必ず囲いの中で
- ミズガメも週数回の陸上運動と日光浴が有効
温湿度管理
適温昼28〜32℃、バスキング35℃前後、夜24〜26℃
適湿度ヘルマン50〜60%、ホシガメ70%以上、種で異なる
夏・冬の対策
- 夏:室温30℃超で熱中症、水温上昇に注意、扇風機で換気
- 冬:ヒーターで24℃以上、屋内飼育なら冬眠はさせない
グルーミングと外敵からの保護
爪切り
伸びすぎは犬用爪切りで先端のみ。血管に注意、不安なら動物病院で
ブラッシング・皮膚被毛ケア
甲羅は柔らかいブラシとぬるま湯で洗う。ワックスやオイルは塗らない
その他のケア
くちばしの伸びすぎは動物病院で削る、温浴で排泄と脱皮を促す
外敵からの保護
- カラス・タヌキ・アライグマ:屋外飼育は金網の蓋
- 犬・猫:甲羅を噛み割ることがある、同室で放さない
- 蚊・ハエ:傷にウジが湧く、屋外の傷は特に注意
飼養上の注意(事故防止)
異物誤飲
砂利・細かい床材・小石を誤食して腸閉塞になる。餌は皿の上に、床材は誤食しにくい種類を選ぶ
踏みつけ
部屋に放している時に踏んで甲羅が割れる。歩き回る時は足元に注意し、人の出入りが多い所で放さない
挟まれ
ドアやケージの蓋、家具の隙間に頭や手足が挟まる。蓋は固定し、隙間に入り込める場所を塞ぐ
落下・転落
机・棚・階段・ベランダからの落下で甲羅骨折。床の上でのみ運動させ、抱いて歩く時は両手で腹甲を支える
逸走・脱走
意外に速く隙間から出る。屋外は囲いと蓋を必ず。逃げたら日陰・草むら・水辺を探し、マイクロチップ登録で発見率向上
噛みついた時の安全な引き離し方
やってはいけないこと
- 引っ張って引き抜く(皮膚が裂ける)
- カメを叩く・振り回す・水に沈める
安全な引き離しの手順
- 動かず落ち着く。多くは驚いて数秒で口を開ける
- カメの後脚を持ち上げて宙に浮かせ、下向きにする
- 口の端にぬるま湯をかけるか、鼻先に濡らした布を当てる
- 外れない時は木片を奥歯側にそっと差し込む
引き離した後の処置
流水で5分洗い消毒。大型種の咬傷は深いため、腫れや出血が続けば受診
救命救急マニュアル
今すぐ夜間救急へ(命に関わる)
- 甲羅の割れ・出血・内臓の露出
- 口を開けたまま動かず、ぐったり
- 溺れて水中で動かない・水を吐く
- ヒーターの熱傷、手足を引きずる
当日中に受診
- 鼻水・泡・呼吸音、体が斜めに浮く
- 産卵しそうで力んでも出ない
- 3日以上食べない(幼体は1日)
受診時に伝えること・持ち物
種類・甲長・体重、温度と紫外線の設備、餌の内容、便の写真、発症日、爬虫類対応の病院か事前確認
意識・呼吸・心拍の確認
- 刺激反応:手足や頭を触ると引っ込めるか
- 呼吸:喉の動きを観察、正常は1分に数回
- 心拍:首の付け根の脈、種と体温で大きく変動
蘇生の手順
- 体を保温(28〜30℃)して代謝を回復
- 溺れたら頭を下げて後脚を持ち、水を出す
- 首を伸ばし、前脚を出し入れして胸を動かす
- 数分続けたら搬送、爬虫類は仮死状態からの回復もある
止血
- 清潔なガーゼで5分以上圧迫
- 甲羅の傷は水に入れず乾いた状態を保つ
- 止血剤や消毒液の使いすぎは避け受診
搬送方法
- 布を敷いたプラケース、カイロは布で包み直接当てない
- ミズガメは水を入れない、濡れタオルで保湿
ケースメソッドで学ぶ
