タカ類 ケースメソッド 50問

状況を読み、飼い主として「最初に取るべき行動」を4択から選んでください。回答後に解説・課題・改善案が表示されます。マニュアルを見る

解答と解説・課題と改善案(全50問)

印刷・復習用。クリックで開きます。

Q1朝の計量で体重が急に減っていた病気

2歳のハリスホーク雌。訓練用の基準体重は950gで、毎朝7時に計量している。今朝は890gと前日より6%減っていた。昨夕はウズラ半羽を与え、ペレットは出ている。鳥は止まり木に止まっているが、いつもより翼を少し下げ、グローブを差し出しても飛んでこない。室温は12℃で、昨夜は急に冷え込んだ。

この時点で飼い主が取るべき対応として最も適切なものはどれか

  1. 空腹なら呼び戻しがよく効くので、その日の訓練を予定通り行う
  2. 訓練を中止し保温して解凍した肉片を少量与え、反応が戻らなければ当日中に受診する
  3. 基準体重に戻すため夕方まで待ち、通常量の餌を一度に与える
  4. 体重計の誤差だと考え、翌朝もう一度計ってから判断する

正解B.訓練を中止し保温して解凍した肉片を少量与え、反応が戻らなければ当日中に受診する

解説タカ類は体重の数%の減少でも低血糖に陥る。5%以上の急減に翼の下がりと反応の鈍さが重なれば飢餓の初期と考え、訓練は中止して保温し、消化しやすい小さな肉片を少量与える。反応が戻らない、ふらつく、けいれんが出れば今すぐ受診する。空腹で訓練を強行すると飛行中に低血糖で落鳥する。夕方まで放置するのは血糖が下がる時間を延ばす行為で、一度に大量に与えると弱った消化管に負担がかかる。体重計のせいにして翌朝まで待つのは最も危険で、冷え込みで代謝が上がった分の不足を見逃す。

課題気温が急に下がったのに前日と同じ給餌量だった。寒冷時は必要エネルギーが増えるという知識がなく、体重減少の意味を「訓練に有利」と誤って捉える鷹匠初心者に多い判断ミスである。

改善案体重と気温・給餌量・ペレットを毎日同じ表に記録し、気温が下がる日は前もって増量する。基準体重の下限を獣医師と決め、下回れば訓練しないルールにする。解凍済みの小さな肉片を常に冷蔵庫に用意しておく。

Q2口の中に黄白色の塊がある病気

3歳のハヤブサ雄。1週間前に知人から譲られた野生のドバトを解凍して与えた。今朝、餌を飲み込もうとしては落とし、口を半開きにしている。口をのぞくと喉の奥に黄白色のチーズのような塊が見え、嘴から嫌な臭いがする。体重は3日間で40g減っている。

最初に取るべき行動として最も適切なものはどれか

  1. ピンセットで塊をつまんで取り除き、口の中を水で洗い流す
  2. 塊が自然に取れるよう、硬い骨付きの餌を与えて飲み込ませる
  3. 塊に触れず、ハト給餌をやめて餌を小片にし、当日中に猛禽を診られる病院を受診する
  4. 口臭は餌の匂いなので、数日様子を見て塊が大きくなったら受診する

正解C.塊に触れず、ハト給餌をやめて餌を小片にし、当日中に猛禽を診られる病院を受診する

解説口内のチーズ状の塊と悪臭、飲み込み困難はトリコモナス症の典型で、ハトは最大の感染源である。塊は粘膜に深く食い込んでおり、無理に剥がすと大出血や組織の損傷を起こし、剥がれた塊が気道に落ちれば窒息する。治療には投薬が必要で、放置すると塊が喉をふさぎ餓死する。当日中に受診し、それまでは飲み込みやすい小さな肉片で栄養を保つ。硬い骨付きの餌は病変を傷つけ、飲み込めず誤嚥の原因になる。数日の様子見は体重減少を進め、病変が頭蓋骨や内臓に広がる恐れがある。

課題野生ハトがトリコモナスを高率に保有することを知らず、譲られた餌を無処理で与えた。体重減少が3日続いていたのに口内を確認していなかった点も発見を遅らせた。

改善案ハトを与える場合は信頼できる飼育ハトか冷凍処理したものに限り、頭と嗉嚢を除く。野生ハトは与えない。餌を落とす、口を開けたままなどのサインが出たら口内を懐中電灯で確認し、体重が3日続けて減れば受診する。

Q3尾を上下させて息をして声が出ない病気

11月、譲渡されて2週間のオオタカ雌1歳。慣らし(マニング)のために毎日長時間グローブに乗せ、夜は藁を敷いた小屋に入れている。3日前から餌の食いが落ち、今日は呼吸のたびに尾が上下し、口を少し開けている。いつものような鳴き声がかすれて出ない。体重は基準より7%少ない。

飼い主が取るべき対応として最も適切なものはどれか

  1. 慣れて落ち着けば治るので、マニングの時間をさらに増やして見守る
  2. 刺激を避け静かな場所に置き、当日中に猛禽を診られる病院で呼吸器の検査を受ける
  3. 風邪だと考え室温を35℃まで上げ、加湿器を最大にして様子を見る
  4. 餌の食いが落ちているので、鶏肉を大きめに切って多めに与える

正解B.刺激を避け静かな場所に置き、当日中に猛禽を診られる病院で呼吸器の検査を受ける

解説新しい環境・マニング初期のストレス、藁の床材、秋の湿気という条件がそろい、尾を上下させる呼吸、声の変化、食欲低下、体重減少が出ていればアスペルギルス症を強く疑う。オオタカとハヤブサは特に感受性が高く、進行が速いため当日中の受診が原則で、画像検査や内視鏡が必要になる。刺激を最小限にし、フードや移動で体力を消耗させない。マニングの延長はストレスを増やし免疫を下げる。高温多湿はカビの繁殖を助け、呼吸をさらに苦しくする。餌を増やしても呼吸器の感染は治らず、食べられない鳥には負担になる。

課題藁は胞子の発生源であることを知らずに使用し、導入直後の鳥に長時間のマニングで強いストレスをかけた。餌の食いが落ちた3日前の時点で受診を検討しなかった。

改善案床材は砂利や新聞紙にし藁・ワラ材を使わない。小屋の換気と乾燥を保つ。導入後1か月はストレスの高い時期と考え、体重と呼吸の様子を毎日記録し、食欲低下が2日続いたら受診する。猛禽を診られる病院を迎える前に確保する。

Q4足の裏に黒いかさぶたができている病気

5歳のハリスホーク雄。オフシーズンで訓練をしておらず、体重は基準より15%重い。止まり木はホームセンターで買った細い丸棒をそのまま使っている。今日、足を点検すると右足の裏の中央が赤く腫れ、中心に黒いかさぶたがあった。鳥は左足だけで立つことが増え、止まり木を握りにくそうにしている。

飼い主が取るべき対応として最も適切なものはどれか

  1. かさぶたを剥がして消毒液を塗り、家にある人用の抗生剤軟膏を厚く塗る
  2. 止まり木を人工芝やロープ巻きの太い物に替え減量を始め、数日以内に受診する
  3. 足裏が硬くなるよう止まり木をさらに硬い金属製に替える
  4. 片足立ちは鳥がよくする姿勢なので、かさぶたが取れるまで何もしない

正解B.止まり木を人工芝やロープ巻きの太い物に替え減量を始め、数日以内に受診する

解説足裏の赤み・腫れ・黒いかさぶたと片足立ちはバンブルフット(趾瘤症)の典型で、肥満と硬く細い止まり木が原因になる。進行すると腱や骨に感染が及び、足が使えなくなる。まず止まり木を柔らかく太さの違う素材に替えて圧力を分散し、減量を始め、数日以内に受診して病期の評価と治療を受ける。かさぶたを剥がすと深部に細菌が入り、人用軟膏は成分の安全性が確認できない。金属など硬い止まり木は悪化の原因そのもの。片足立ちが続くのは痛みのサインで、放置は骨髄炎につながる。

課題オフシーズンに体重管理を緩め、止まり木の素材を見直していなかった。足裏を毎日見る習慣がなく、かさぶたになるまで気づかなかった。

改善案止まり木は人工芝・ロープ巻き・コルクなど素材と太さを複数用意し、同じ場所に圧がかからないようにする。オフシーズンも基準の10%以内に体重を保つ。グローブに乗せるたびに足裏を見て、赤みの段階で止まり木を替える。

Q5翌朝になってもペレットが出ず首元が張っている病気

4歳のハヤブサ雌。昨夕ウズラを1羽、羽と骨ごと与えた。今朝ケージを見るとペレットが落ちておらず、首元の嗉嚢がまだ膨らんでいる。鳥は止まり木に止まり目は開いているが、動きが少なく、餌を見せても反応しない。室温は8℃で、夜間に暖房は入れていなかった。

最初に取るべき行動として最も適切なものはどれか

  1. 嗉嚢を指で下から押し上げ、ペレットを吐かせる
  2. 給餌を止めて室温を上げ安静にし、翌朝も出ない・嘔吐・悪臭があれば当日中に受診する
  3. 消化を促すため温かい水をスポイトで口に流し込む
  4. 食欲を戻すため新しいマウスを追加で与える

正解B.給餌を止めて室温を上げ安静にし、翌朝も出ない・嘔吐・悪臭があれば当日中に受診する

解説嗉嚢に餌が残りペレットが出ないのは消化が滞っているサインで、低温は消化をさらに遅らせる。まず給餌を止め、室温を上げて安静にし観察する。翌朝も出ない、嘔吐、悪臭、嗉嚢が硬いといった場合は当日中に受診する。2日出ない状態は受診基準に該当する。嗉嚢を押すと内容物が逆流して気道に入り窒息する危険がある。口に水を流し込むのも誤嚥のもとである。未消化の嗉嚢に餌を重ねると内部で腐敗し、嗉嚢炎や食滞を起こす。

課題寒い夜に暖房なしで大きな獲物を与えたことで、消化に必要な体温と代謝が確保できなかった。ペレットの記録と給餌前の嗉嚢確認が習慣になっていなかった。

改善案給餌前に必ず嗉嚢が空であることを確認する。寒い季節は夜間の室温を10℃以上に保ち、大きな獲物は分けて与える。ペレットの回数・形・臭いを毎朝記録し、2日出なければ受診というルールを決めておく。

Q6嘴の周りとまぶたにいぼのようなできもの病気

2歳のハリスホーク雌。先月から近所の鳩小屋から譲り受けたハトを生のまま与えている。今週、嘴の付け根とまぶたの縁に黄色っぽいいぼ状のできものが複数でき、左足の指にも同じものがある。少し元気がなく、餌を食べる速さが落ちている。同じ部屋にもう1羽のハリスホークを飼っている。

飼い主が取るべき対応として最も適切なものはどれか

  1. いぼを爪で削り取り、消毒液で拭いて自然に治るのを待つ
  2. ハトの生給餌をやめ、もう1羽と部屋を分けて数日以内に受診する
  3. 皮膚の乾燥が原因なので、保湿クリームを塗って加湿する
  4. 蚊に刺されただけなので、虫よけスプレーを鳥にかける

正解B.ハトの生給餌をやめ、もう1羽と部屋を分けて数日以内に受診する

解説嘴の周り・まぶた・足のいぼ状病変はハト痘(鳥痘)が疑われ、生のハトや蚊を介して感染する。ウイルス性で特効薬はなく、二次感染の予防と栄養管理が中心になるため、数日以内に受診して診断を受ける。同居の鳥に広げないよう部屋を分け、器具を共用しない。いぼを削ると出血と二次感染を招き、病変が広がる。保湿クリームや人用の虫よけは鳥に安全かどうか確認できず、羽や皮膚から摂取される恐れがある。ハトの生給餌を続ける限り再感染のリスクが残る。

課題鳩小屋のハトでも痘ウイルスやトリコモナスを保有することがあるという認識がなく、冷凍処理もせずに生で与えていた。同居鳥との隔離や器具の分離も考えていなかった。

改善案ハトは与えないか、与えるなら十分に冷凍し頭と嗉嚢を除く。新しい餌の供給源を変える前に獣医師に相談する。病鳥は別室で世話を最後にし、グローブ・餌台・止まり木を分ける。蚊の多い季節は網戸と防虫で屋外係留を減らす。

Q7庭の止まり木から宙吊りになっている怪我

午後3時、庭のブロックパーチに係留していた3歳のハリスホーク雄。家の中から見ると、鳥が止まり木から落ちてリーシュで逆さに宙吊りになり、翼をばたつかせている。リーシュは止まり木の脚に二重に巻きつき、スイベルは付けていなかった。駆け寄ると脚が強く引っ張られた状態で、鳥は口を開けて荒く息をしている。

最初に取るべき行動として最も適切なものはどれか

  1. リーシュをハサミで切り、鳥を地面に下ろして落ち着くまで放置する
  2. まず鳥の体を支えて脚にかかる荷重を外し、落ち着かせてから絡まりを解く
  3. 鳥が暴れるので近づかず、自力で止まり木に戻るのを待つ
  4. リーシュを上に引き上げて止まり木に戻し、すぐに訓練を再開する

正解B.まず鳥の体を支えて脚にかかる荷重を外し、落ち着かせてから絡まりを解く

解説宙吊りは脚の骨折・脱臼や関節の損傷を起こす最も多い係留事故で、時間が経つほど損傷が進む。まず鳥の体を両手やタオルで支えて脚にかかる荷重を外し、フードや布で視界を覆って落ち着かせてから絡まりを解く。その後、脚の腫れ、止まり木を握れない、片脚を上げたままなどがあれば骨折や脱臼を疑い当日中に受診する。リーシュを切って地面に落とすと落下の衝撃で二次損傷を起こし、放置は暴れて傷を悪化させる。自力で戻るのを待つ間に脚の血流が止まる。引き上げて訓練再開は損傷の見逃しにつながる。

課題スイベル(回転金具)なしで係留し、リーシュが止まり木に巻きつく構造になっていた。係留中に目を離していたため、宙吊りに気づくまで時間がかかった。

改善案係留は必ずスイベルを使い、リーシュの長さは止まり木の高さより短くして逆さになっても地面や脚に巻きつかない構造にする。係留中は目の届く範囲にいる。宙吊り後は飛ばさず、脚の握力と腫れを翌日まで確認する。

Q8金網フェンスで足を切って血が出ている怪我

狩猟訓練中の4歳オオタカ雌。獲物を追って金網フェンスに足をかけ、戻ってきたときに左足の指から血が滴っている。見ると指の付け根に深さのある裂傷があり、爪の1本がぐらついている。鳥は興奮して足を強く握り込んでおり、出血はまだ続いている。現場は山の中で病院まで車で1時間かかる。

最初に取るべき行動として最も適切なものはどれか

  1. 獲物を取り上げるとさらに暴れるので、獲物を食べさせてから傷を見る
  2. 山の湧き水で傷を洗い、土を被せて血を止めてから家に戻る
  3. フードをかぶせて落ち着かせ、清潔なガーゼで傷を圧迫し、止血後に当日中に受診する
  4. 血が止まれば問題ないので、その場で止血してそのまま訓練を続ける

正解C.フードをかぶせて落ち着かせ、清潔なガーゼで傷を圧迫し、止血後に当日中に受診する

解説足の裂傷と爪のぐらつきは感染しやすく、放置すると腱の損傷やバンブルフットにつながる。まずフードで視界を覆い興奮を抑え、携帯している生理食塩水か清潔な水で汚れを流し、清潔なガーゼで数分圧迫して止血する。爪の脱落や深い傷は縫合や抗菌治療が必要なため当日中に受診する。獲物を食べさせると血圧が上がり出血が増え、傷に獲物の体液が入る。湧き水や土は細菌を傷に入れる。訓練の継続は傷を広げ、爪が完全に取れる原因になる。

課題狩猟訓練の現場に止血用品や生理食塩水を携帯しておらず、金網のある場所で飛ばしていた。興奮した鳥の処置にフードを使う準備もなかった。

改善案訓練には生理食塩水・ガーゼ・止血剤・フード・搬送箱を必ず携帯する。金網や有刺鉄線のある場所を事前に確認し避ける。訓練後は毎回足と爪を洗って点検し、傷があれば小さくても記録して経過を見る。

Q9飛行中にぶつかって首をかしげている怪我

フリーフライト中の2歳ハリスホーク雌。ルアーを追って急旋回した際に立木の幹に当たり、地面に落ちた。すぐに拾い上げるとグローブの上に立てるが、首が左に傾き、右翼がやや下がっている。目は開いているが瞬きが少ない。出血は見当たらず、鳥は数分後にルアーの肉を少し食べた。

飼い主が取るべき対応として最も適切なものはどれか

  1. 肉を食べたので問題なしと判断し、飛行訓練を続けて様子を見る
  2. フードをかぶせて暗い箱に入れ安静にし、頭部外傷と翼の損傷を疑って今すぐ受診する
  3. 翼を広げて左右差を確認するため、何度も翼を引っ張って動かす
  4. 脳震盪には水が効くと聞いたので、頭から水をかけて目を覚まさせる

正解B.フードをかぶせて暗い箱に入れ安静にし、頭部外傷と翼の損傷を疑って今すぐ受診する

解説衝突後の首の傾きと瞬きの減少は頭部外傷や脳の損傷、右翼の下がりは翼の骨折や脱臼を示す。症状は時間とともに悪化することがあり、食べたことは安全の証明にはならない。フードで暗くし、翼が広がらない箱に入れて揺らさず、今すぐ猛禽を診られる病院へ搬送する。飛行を続けると落鳥や二次事故につながる。翼を引っ張って動かすと骨折部が悪化し出血や神経損傷を招く。水をかけることは体温を下げ、ショックを悪化させる。

課題障害物の多い林の中でルアー訓練をしていた。衝突後に食べたことを根拠に重症ではないと判断してしまう、落鳥時の評価基準を知らない飼い主の典型的な誤りである。

改善案ルアー訓練は電線・立木・窓のない開けた場所で行う。衝突後は飛ばさず、首の傾き・翼の非対称・瞬きの減少・出血の4点を確認し、1つでもあれば受診する。搬送用の暗い箱とフードを常に車に積んでおく。

Q10翼から羽が折れて血が止まらない怪我

換羽期の7月、ケージの中で3歳のハヤブサ雄が暴れた後、右翼から血が滴っている。確認すると伸びかけの風切羽(血が通った新しい羽)が根元近くで折れ、羽の軸から血が流れている。床には血の跡が広がり、鳥は翼を少し下げて落ち着かない様子だ。

最初に取るべき行動として最も適切なものはどれか

  1. 折れた羽を根元から抜くと止まるので、ペンチで引き抜く
  2. 折れた羽の軸を清潔なガーゼで数分圧迫し、止血剤を当て、止まらなければ今すぐ受診する
  3. 出血は自然に止まるので、ケージに戻して暗くして翌朝まで待つ
  4. 翼全体を包帯で強く巻いて固定し、数日そのままにする

正解B.折れた羽の軸を清潔なガーゼで数分圧迫し、止血剤を当て、止まらなければ今すぐ受診する

解説伸びかけの羽(血羽)は内部に血管が通っており、折れると出血が続きやすい。まず羽の軸を清潔なガーゼで数分間圧迫し、止血剤や片栗粉を当てる。それでも止まらない、血の量が多い場合は今すぐ受診する。鳥は体が小さく、少量の出血でもショックに陥りやすい。羽を引き抜く処置は毛包を傷つけ出血を増やすことがあり、獣医師が判断する処置である。翌朝まで放置すると失血が進む。翼全体を強く巻くと呼吸を妨げ、羽が変形する。

課題換羽期は血羽が多く折れやすい時期なのに、ケージ内の暴れる原因(周囲の刺激や狭さ)を取り除いていなかった。止血剤やガーゼを手元に用意していなかった。

改善案換羽期はケージを静かな場所に置き、刺激を減らして暴れさせない。止血剤・ガーゼ・フードを常備し、出血時は圧迫止血を5分試し、止まらなければ受診と決めておく。折れた羽は飛行性能に関わるので、インピング(接ぎ羽)を獣医師に相談する。

Q11翼が垂れ下がって持ち上がらない怪我

夜8時、庭の係留場所で4歳ハリスホーク雌が地面にいるのを見つけた。何かに驚いて飛び立ち、リーシュで引き戻されて落ちたらしい。左翼が地面に垂れ下がり、持ち上げようとしない。翼の中ほどに腫れがあり、触ると鳥が激しく嫌がる。皮膚に傷はなく出血もない。近くの猛禽診療可の病院は夜間も電話対応している。

飼い主が取るべき対応として最も適切なものはどれか

  1. 骨折なら動かさないのが大事なので、割り箸と包帯で翼を自分で固定する
  2. 朝まで待てば自然に治ることもあるので、ケージに戻して暖かくして観察する
  3. 翼に触れずフードをかぶせて暗い箱で保温し、病院に電話して今夜中に搬送する
  4. 翼を動かして痛がるか確認し、痛がらなければ骨折ではないと判断する

正解C.翼に触れずフードをかぶせて暗い箱で保温し、病院に電話して今夜中に搬送する

解説翼の垂れ下がりと腫れ、触ると強く嫌がる反応は骨折や脱臼を示す。鳥の骨は中空で折れると鋭い断端が皮膚や血管を傷つけやすいため、触らず動かさないことが最優先である。フードで暗くし、翼が広がらない大きさの箱に入れて保温し、病院に電話して搬送する。素人の固定は骨のずれや血流障害を起こし、骨折以外の損傷も見逃す。朝まで放置すると腫れと痛みでショックが進み、骨の癒合不良で飛べなくなる恐れがある。翼を動かして確認する行為は骨折部を悪化させる。

課題夜間の係留中に鳥を驚かせる要因(猫や車のライトなど)を取り除いておらず、暗くなってから目の届かない場所に置いていた。骨折時に自分で固定してはいけないことを知らなかった。

改善案夜間は係留せず、ケージや小屋に収容する。日中の係留も驚かせる要因を減らし、リーシュの長さを見直す。翼の非対称が出たら触らず搬送というルールを決め、夜間対応可能な猛禽診療の連絡先を携帯に登録する。

Q12強風の日に飛ばしたら戻ってこない事故

2月の午後、河川敷で2歳のハリスホーク雄をフリーフライトさせた。風が強く、鳥は上昇気流に乗ってみるみる高く上がり、風下に流されて視界から消えた。発信機は付けておらず、体重は基準よりやや重めだった。日没まで2時間しかない。鳥の名前を呼びルアーを振ったが反応はない。

最初に取るべき行動として最も適切なものはどれか

  1. 日没までに戻るかもしれないので、その場で待ち続ける
  2. 風下方向へ移動し、見失った地点を中心に高い場所から双眼鏡で探し、ルアーと餌で呼び戻す
  3. 明日の朝になれば空腹で戻るので、今日は帰宅する
  4. SNSに投稿して情報を待ち、自分では探しに行かない

正解B.風下方向へ移動し、見失った地点を中心に高い場所から双眼鏡で探し、ルアーと餌で呼び戻す

解説ロストした鳥は風下へ流されることが多く、時間が経つほど移動範囲が広がる。日没前の時間は最も貴重で、見失った方向へ移動し、高い場所や開けた場所から双眼鏡で探し、鳥が反応する距離でルアーと餌を見せる。鳥は高い木や電柱に止まっていることが多い。同時に周囲の人へ写真を見せて目撃情報を集め、夜になったら警察・保健所・SNSでの周知を行う。その場で待つだけでは鳥の位置と離れる一方で、翌日まで放置すると猛禽は体重を消耗し、カラスに追われたり野生化したりする。SNSだけで自分が動かないのは最も可能性を下げる。

課題強風で上昇気流が発生する条件と、やや重めの体重という呼び戻しの効きにくい状態でフリーフライトを行った。発信機を装着していなかったため、位置を特定する手段がなかった。

改善案フライトは風速・天候・体重の3条件を確認し、強風や基準体重超過の日は行わない。テレメトリーまたはGPS発信機を必ず装着し、受信機の電池を毎回確認する。ロスト時の連絡先(警察・保健所・近隣鷹匠)と写真をあらかじめ用意しておく。

Q13散歩中の犬がタカに飛びかかった事故

公園の芝生で3歳のオオタカ雌に呼び戻し訓練をしていると、リードの外れた中型犬が走ってきて地面に降りていたタカに飛びかかった。犬を引き離した後、タカは立っているが背中の羽が乱れ、左側の脇に小さな穴のような傷があり少量の血がにじんでいる。鳥は口を開けて荒く息をし、グローブを強く握ったまま動かない。

飼い主が取るべき対応として最も適切なものはどれか

  1. 傷が小さいので家で消毒して、翌日まで様子を見る
  2. 犬の飼い主と話し合い、連絡先を交換してから帰宅して観察する
  3. 犬の歯による小さな穴でも深い傷と考え、フードで暗くして当日中に受診する
  4. 羽の乱れを整えるため、すぐに水浴びをさせて汚れを落とす

正解C.犬の歯による小さな穴でも深い傷と考え、フードで暗くして当日中に受診する

解説犬の歯による傷は表面が小さくても深くまで達し、気嚢や内臓に届いていることがある。犬の口内の細菌で数日のうちに重い感染を起こすため、傷が小さく見えても当日中に受診し、傷の深さの評価と抗菌治療を受ける必要がある。開口呼吸と動かない状態はショックの兆候でもある。フードで暗くし、暖かくして搬送する。家での消毒だけでは深部の感染を防げない。犬の飼い主への対応は必要だが、鳥の処置を優先する。水浴びは体温を下げ、傷から水が入って感染を広げる。

課題犬が立ち入る公園で、地面に降りる可能性のある呼び戻し訓練を行っていた。犬の咬傷は小さく見えても重症になりやすいという知識が不足していた。

改善案訓練場所は犬の立ち入りが少ない場所を選び、犬が見えたら鳥をグローブに乗せフードをかぶせる。犬に襲われた後は傷の大小にかかわらず受診と決める。搬送用の箱と病院の連絡先を訓練時に常に携帯する。

Q14車のドアを閉めたら翼が挟まった事故

訓練帰りの駐車場。4歳のハヤブサ雌をグローブに乗せたまま後部座席から降りようとしたとき、鳥が翼を広げ、ドアを閉めた家族の手で右翼の先端がドアに挟まった。すぐに開けたが、翼の先の羽が数本折れ曲がり、翼の先端に腫れと少量の出血がある。鳥は翼を体に収めることができず、やや開いたまま震えている。

最初に取るべき行動として最も適切なものはどれか

  1. 翼を手で押して体に収め、搬送箱に入れて当日中に受診する
  2. 翼に触れずフードをかぶせて暗い箱に入れ、出血は圧迫し、当日中に受診する
  3. 折れた羽をハサミで切りそろえて見た目を整え、翌日の訓練で飛べるか確認する
  4. 挟んだ衝撃は軽いので、ケージに戻してその日は餌を多めに与える

正解B.翼に触れずフードをかぶせて暗い箱に入れ、出血は圧迫し、当日中に受診する

解説翼の先端はドアに挟まれると骨折や関節の損傷が起こりやすく、翼を収められない状態は骨や関節の損傷を疑う。翼には触れず、フードで視界を覆い、翼が広がらない暗い箱に入れて落ち着かせ、出血はガーゼで圧迫して当日中に受診する。翼を無理に押して収めると骨折部がずれ、血管や神経を損傷する。折れた羽を切ると血羽なら出血し、損傷の評価が遅れる。餌を増やして様子を見るのは腫れと痛みを放置することになり、飛行能力に関わる後遺症を残す。

課題グローブに乗せたまま車の乗り降りをし、家族がドアを閉める前の安全確認をしていなかった。移動は専用の箱に入れるという基本を省略していた。

改善案車での移動は必ず専用のボックスかフードをかぶせた状態で行い、乗降時にグローブに乗せたままドアを操作しない。家族と「鳥が車の中にいるときはドアを閉める前に声をかける」ルールを決める。搬送箱は常に車に積んでおく。

Q15ケージの網目に足指が挟まって抜けない事故

夜9時、物音に気づいて小屋を見ると、2歳のハリスホーク雌が壁に張った金網に左足の指を引っかけ、翼をばたつかせている。指が網目の間に入り込み、足首が不自然な角度になっている。鳥は暴れるたびに足がさらに締めつけられ、金網の周りの羽が折れている。

最初に取るべき行動として最も適切なものはどれか

  1. 暴れると悪化するので、電気を消して朝まで落ち着くのを待つ
  2. 体を支えて布で頭を覆い落ち着かせ、ニッパーで金網を切って足を解放し、当日中に受診する
  3. 足を上から引っ張って金網から抜き、止まり木に戻して様子を見る
  4. 金網に油を塗って滑りやすくし、鳥が自分で抜けるのを待つ

正解B.体を支えて布で頭を覆い落ち着かせ、ニッパーで金網を切って足を解放し、当日中に受診する

解説網目に指が挟まった鳥は暴れるたびに指や足首をひねり、骨折・脱臼・血流障害を起こす。まず鳥の体を支えて足にかかる力を抜き、頭を布で覆って暗くし暴れを止める。指を引っ張らず、金網の方を切って解放する。解放後は脚の腫れ、握力、指の色を確認し、異常があれば当日中に受診する。朝まで待つと血流が止まり指が壊死する。足を引っ張って抜くと指の骨折や皮膚の剥離を起こす。油は羽に付着して保温性を落とし、解決にもならない。

課題タカ類に金網のケージを使っていたこと自体が事故の原因で、縦格子やネットにすべきだった。夜間に鳥が驚く要因(野生動物の接近など)も考慮されていなかった。

改善案ケージの壁は縦格子か柔らかいネットにし、金網は使わない。金網を使わざるを得ない場合は足が入らない細かい目と内側の板張りにする。小屋の近くにニッパー・布・タオルを置き、夜間に暴れる原因となる野生動物の接近を防ぐ。

Q16狩猟で得た獲物を食べた翌日に緑の便中毒・誤飲

狩猟シーズン中の12月。知人の猟師から散弾で捕った野ガモの肉をもらい、5歳のオオタカ雌に2日続けて与えた。今朝の便は鮮やかな緑色で、鳥はふらつき、止まり木の上で翼を少し下げている。食べる速さも落ちた。肉の中に小さな金属の粒が残っていたことに後から気づいた。

飼い主が取るべき対応として最も適切なものはどれか

  1. 緑便は野ガモの色素なので、餌を変えて様子を見る
  2. 鉛中毒を疑い、残りの獲物と便を持って当日中に受診し、鉛の除去と治療を受ける
  3. 金属を出すため大量の水を飲ませ、下剤代わりに油を餌に混ぜる
  4. 嘔吐させて金属を出すため、塩水をスポイトで口に入れる

正解B.鉛中毒を疑い、残りの獲物と便を持って当日中に受診し、鉛の除去と治療を受ける

解説散弾で捕られた獲物の肉には鉛片が残り、タカ類は消化管内で鉛を吸収して鉛中毒を起こす。緑便、ふらつき、翼の垂れ、食欲低下は典型的な症状で、進行するとけいれんや死に至る。残りの獲物と便を持参し、当日中に受診してレントゲンで鉛を確認し、除去とキレート治療を受ける。緑便を色素のせいと考え放置すると神経症状が進む。水や油の強制投与は誤嚥を起こし、鉛を排出させる効果も確実ではない。塩水で嘔吐させるのは塩中毒と誤嚥の危険があり、鳥にはしてはいけない。

課題散弾で捕られた獲物に鉛が残るリスクを知らず、検査せずに与えた。猛禽に与えてよい獲物とそうでない獲物の区別が整理されていなかった。

改善案狩猟で得た獲物は散弾痕のある部位を大きく除去するか、与えない。獲物の由来が不明なものは餌にしない。便の色と量を毎日記録し、緑便と神経症状が重なればすぐに受診する。猛禽診療可の病院を狩猟シーズン前に確認しておく。

Q17発信機の紐を飲み込んだかもしれない中毒・誤飲

訓練後、3歳のハリスホーク雄の尾羽に付けていた発信機の固定用の細い紐がなくなっていることに気づいた。鳥はルアーの肉を食べているときに紐をつついていた。帰宅後、鳥は嗉嚢を膨らませたまま落ち着かず、首を伸ばしては口を開ける動作を繰り返している。紐はまだ見つからない。

飼い主が取るべき対応として最も適切なものはどれか

  1. ペレットと一緒に出るはずなので、翌朝のペレットを確認するまで待つ
  2. 紐を出すために嗉嚢を揉んで吐かせる
  3. 異物誤飲を疑い、給餌を止めて当日中に受診し、画像検査を受ける
  4. 紐を溶かすため、酢を薄めた水を飲ませる

正解C.異物誤飲を疑い、給餌を止めて当日中に受診し、画像検査を受ける

解説糸や紐は消化管に絡まり、腸管の閉塞や穿孔を起こす危険な異物である。嗉嚢が張ったまま首を伸ばし口を開ける動作は、異物が食道や嗉嚢に引っかかっているサインの可能性がある。給餌を止め、当日中に受診して画像検査で位置を確認し、内視鏡や外科での除去を検討する。ペレットで出るのを待つ間に腸に進むと取り出しが困難になる。嗉嚢を揉んで吐かせると紐が気道に入り窒息したり食道を傷つけたりする。酢を飲ませても紐は溶けず、誤嚥と粘膜の損傷を招く。

課題発信機の固定部品が外れる状態で装着し、ルアーで給餌しているときに鳥が紐をつつけることを見逃した。装備点検を訓練前後に行っていなかった。

改善案発信機・ジェス・リーシュは訓練の前後に必ず点検し、ほつれや緩みがあれば交換する。給餌時は紐や金具が近くにない環境にする。装備が紛失したら消化管に入った可能性を考え、ペレットと便を確認し、異常があればすぐ受診する。

Q18真夏の午後、係留中のタカが翼を広げて口を開けている環境・災害

8月の午後2時、気温35℃。庭の日陰に係留していた4歳のハリスホーク雌が、日差しの移動で直射日光の中にいた。翼を広げて下げ、口を大きく開けてハアハアと速く呼吸し、水浴び容器は乾いている。グローブを出しても乗ろうとせず、足元がふらついている。

最初に取るべき行動として最も適切なものはどれか

  1. すぐに涼しい室内へ移し足と翼の下を水で濡らして送風し、落ち着いても当日中に受診する
  2. 氷水の入ったバケツに体を浸けて一気に冷やす
  3. 日陰に移して水を飲ませ、元気が戻ればそのまま係留を続ける
  4. 暑さに慣れさせるため、そのまま置いて夕方まで待つ

正解A.すぐに涼しい室内へ移し足と翼の下を水で濡らして送風し、落ち着いても当日中に受診する

解説翼を広げて下げる、開口呼吸、ふらつきは熱中症の典型で、タカ類は暑さに弱く命に関わる。すぐに涼しい場所へ移し、足と翼の下など血管の多い部位を水で濡らして扇風機で送風し、体温を下げる。意識が戻っても内臓の障害が後から出るため当日中に受診する。氷水に浸けると血管が収縮して熱が逃げず、ショックを起こす。日陰に移すだけでは体温が下がらず、係留の継続は再発を招く。暑さに慣れさせるという考え方は猛禽には通用せず、放置は死亡につながる。

課題日差しの移動を考慮せず係留し、水浴び容器の水が乾いていたことに気づかなかった。気温35℃の日中に屋外係留をすること自体が危険だった。

改善案夏の屋外係留は早朝と夕方のみにし、25℃を超える日中は空調の効いた室内に置く。日差しの移動を考え完全に日陰になる場所を選び、水浴び容器の水を2時間ごとに確認する。送風機と霧吹きを係留場所の近くに用意しておく。

Q19台風で停電し、小屋に雨風が吹き込んでいる環境・災害

10月の夜、台風の直撃で停電し、庭の小屋の屋根の一部が飛んだ。中には3歳のオオタカ雌がいて、風雨が吹き込み羽がびしょ濡れになっている。気温は18℃だが風が強く、鳥は小屋の隅で体を縮めて震えている。家の中は停電で暖房が使えない。明日の朝まで風雨は続く見込みだ。

飼い主が取るべき対応として最も適切なものはどれか

  1. 小屋の壊れた部分にブルーシートをかけ、鳥はそのまま小屋に置く
  2. 鳥を室内に移してタオルで水気を取り、箱に入れて静かに保温し、風雨が収まるまで室内で管理する
  3. 濡れた羽を乾かすため、ドライヤー代わりにカセットコンロの火にかざす
  4. 濡れていても猛禽は寒さに強いので、何もせず朝まで待つ

正解B.鳥を室内に移してタオルで水気を取り、箱に入れて静かに保温し、風雨が収まるまで室内で管理する

解説羽が濡れると保温性が失われ、風があれば18℃でも体温が奪われて低体温になる。鳥を室内に移し、タオルで押さえるように水気を取り、暗く静かな箱に入れて使い捨てカイロを布で包むなど間接的に保温する。濡れた羽は自然乾燥させ、風雨が収まるまで室内で管理する。壊れた小屋に鳥を残すのは風雨と飛来物の危険がある。火にかざすのは火傷と一酸化炭素中毒の危険があり、羽を傷める。猛禽が寒さに強いのは乾いた羽があってこそで、濡れた状態での放置は命に関わる。

課題台風の予報が出ていたのに小屋の補強や室内退避の準備をしておらず、停電時の保温手段(カイロ・毛布・搬送箱)も用意していなかった。

改善案台風・大雪の予報が出たら前日に鳥を室内の搬送箱かケージに移す。停電に備えて使い捨てカイロ・毛布・懐中電灯・冷凍餌の保冷手段を備蓄する。小屋は屋根と壁を点検し、風上側に風除けを設置する。

Q20公園で捕まえた野生のハトを餌にしたい感染症・衛生

2歳のハリスホーク雌を飼う飼い主。餌代を抑えるため、公園に多い野生のドバトを捕まえて餌にしようと考え、知人の鷹匠に「ハトは天然の餌だから栄養がある」と勧められた。同居には別のハリスホークと、人の家族に小さな子どもがいる。鳥は健康で、現在は冷凍ウズラを与えている。

この考えに対して最も適切な判断はどれか

  1. 野生ハトは鳥獣保護管理法で無許可捕獲が違法で、トリコモナス等の感染源でもあるため与えない
  2. 生で与えると危険なので、よく焼いて加熱してから与えれば問題ない
  3. 病気のハトを見分けて元気なものだけを選べば安全に与えられる
  4. 子どもを鳥から離せば感染の心配はないので、捕獲して与えてよい

正解A.野生ハトは鳥獣保護管理法で無許可捕獲が違法で、トリコモナス等の感染源でもあるため与えない

解説ドバトを含む野鳥の捕獲は鳥獣保護管理法で許可なく行うことができず、違法行為になる。さらに野生ハトはトリコモナス、ハト痘、サルモネラなどを高率に保有し、タカ類への最大の感染源である。感染は同居の鳥にも広がり、サルモネラは子どもへの感染リスクもある。加熱すると栄養が変わり骨や内臓の全体食としての価値が失われるうえ、法的な問題は解決しない。見た目で感染ハトを見分けることはできず、無症状の保菌が多い。子どもを離すだけでは鳥の感染も法の問題も防げない。

課題餌代を理由に法規制と感染リスクを軽視し、根拠のない「天然の餌は栄養がある」という助言を鵜呑みにした。野鳥の捕獲が違法であるという基本知識が欠けていた。

改善案餌は冷凍ウズラ・ヒヨコ・マウス・ラットなど信頼できる販売元から購入し、ハトは与えないか飼育ハトの冷凍品に限る。鳥獣保護管理法と種の保存法など猛禽飼育に関わる法律を学ぶ。餌の変更は獣医師に相談してから行う。

Q21爪で刺された手が腫れて熱を持っている感染症・衛生

3日前、グローブをしていない左手で4歳のハリスホーク雌をつかもうとして、爪で手の甲を深く刺された。流水で洗って絆創膏を貼っていた。今日になって刺された場所が赤く腫れて熱を持ち、手首まで赤みが広がり、ズキズキする痛みで指が曲げにくい。微熱もある。

飼い主が取るべき対応として最も適切なものはどれか

  1. 市販の軟膏を塗って絆創膏を貼り直し、もう数日様子を見る
  2. 腫れた部分を針で刺して膿を出し、消毒液で洗う
  3. 鳥の爪による深い刺傷で感染したと伝え、当日中に外科や救急を受診する
  4. 鳥に病気があるかもしれないので、まず鳥を動物病院に連れて行く

正解C.鳥の爪による深い刺傷で感染したと伝え、当日中に外科や救急を受診する

解説タカの爪は鋭く深い刺傷を作り、傷口が小さいため内部で細菌が増えやすい。赤みが手首へ広がる、熱感、拍動する痛み、指の動かしにくさ、発熱は深部感染や腱への波及を示し、放置すると蜂窩織炎や腱鞘炎、敗血症に進む。当日中に外科か救急を受診し、動物の爪による刺傷であることを伝えて抗菌治療を受ける。市販軟膏では深部の感染に届かない。自分で膿を出すと感染を広げる。鳥の受診は後でよく、人の感染の治療が優先である。

課題グローブなしで鳥をつかもうとしたことが刺傷の原因で、刺傷の深さに対して絆創膏だけの処置で済ませた。赤みが広がった時点での受診判断が遅れた。

改善案鳥を扱うときは必ず厚手のグローブを使い、素手で足元に手を出さない。爪による刺傷は流水で洗ったうえで、深い場合は当日中に受診する。傷の赤み・腫れ・熱感が翌日に悪化していれば迷わず受診というルールにする。

Q22訓練場でけいれんして倒れた救命救急

1月の朝、河川敷での呼び戻し訓練中。前日に基準体重まで落とすため餌を減らした2歳のハリスホーク雄が、グローブに戻った直後に翼をばたつかせ、足を握れずに地面に落ちてけいれんを起こした。目は開いているが焦点が合わず、体が硬直と弛緩を繰り返す。気温は3℃で風がある。病院までは車で40分。

最初に取るべき行動として最も適切なものはどれか

  1. けいれんが止まるまで押さえつけて、口に水を流し込む
  2. 鳥を暖かい車内に移し暗くして保温し、病院に電話して今すぐ搬送する
  3. 低血糖なので、解凍したウズラを丸ごと口に押し込んで食べさせる
  4. けいれんは自然に治まるので、その場で見守り落ち着いたら訓練を再開する

正解B.鳥を暖かい車内に移し暗くして保温し、病院に電話して今すぐ搬送する

解説寒い朝の減量直後のけいれんは低血糖による飢餓性の発作が強く疑われ、命に関わる緊急事態である。けいれん中の鳥に口から何かを与えると誤嚥して窒息する。暖かい車内に移してフードや布で暗くし、保温しながら病院に電話し、今すぐ搬送する。病院では糖の投与と体温管理が行われる。押さえつけると翼や脚を骨折し、水を流し込むと気道に入る。意識がはっきりしていない鳥に獲物を押し込むのは窒息の原因になる。けいれんを自然に治まるものと見るのは最も危険で、訓練再開は再発と死につながる。

課題真冬の寒さで代謝が上がる時期に急激な減量を行い、訓練前に鳥の状態(反応・握力)を確認していなかった。フライトウェイトを獣医師と設定せず経験則だけで決めていた。

改善案減量は1日あたりごく少量ずつ行い、気温が低い日は基準体重を上方修正する。訓練前に握力・反応・翼の位置を確認し、異常があれば中止する。低血糖に備え解凍した小さな肉片と保温用の箱を現場に持参し、搬送先を事前に決めておく。

Q23朝、小屋の床で動かなくなっていた救命救急

朝7時、小屋を開けると5歳のオオタカ雌が床に横たわって動かない。昨夜までは普通に餌を食べていた。近づいても反応が乏しく、目は半分開いている。胸がかすかに上下しているように見えるが、呼吸は浅く遅い。体を触るといつもより冷たい。夜間の室温は5℃まで下がっていた。

最初に取るべき行動として最も適切なものはどれか

  1. 胸を強く押して心臓マッサージを繰り返す
  2. 口に息を吹き込んで人工呼吸をし、復活するまで続ける
  3. 呼吸と反応を確認し、暗く静かにして保温しながら病院に電話し、今すぐ搬送する
  4. 元気が出るように、ウズラの肉を口に入れて飲み込ませる

正解C.呼吸と反応を確認し、暗く静かにして保温しながら病院に電話し、今すぐ搬送する

解説床に横たわり反応が乏しく、呼吸が浅く体が冷たい状態は、低体温や重い病気によるショックが疑われる緊急事態である。鳥は胸骨の構造上、胸部圧迫で骨折や内臓損傷を起こすため心臓マッサージは行わない。まず胸の上下と刺激への反応で呼吸と意識を確認し、嘴の周りの汚れを拭いて気道を確保し、暗く静かな箱で30℃前後に保温しながら病院に電話し、今すぐ搬送する。口への人工呼吸は感染や気道損傷の危険があり効果も期待できない。意識が低下した鳥に肉を飲み込ませると窒息する。

課題冬の夜間に小屋の温度が5℃まで下がる環境で、前夜に異常を見逃した。「昨夜まで元気だった」という安心感から、タカ類は体調悪化を隠す動物であるという認識が不足していた。

改善案冬は夜間の小屋の温度を温度計で記録し、10℃を下回る場合は保温対策か室内収容を行う。毎晩就寝前に止まり木に止まっているか、姿勢が正常かを確認する。鳥に心臓マッサージはしないこと、保温と搬送が最優先であることを家族で共有する。

Q24骨折の疑いがあるタカを病院へ運ぶ救命救急

リーシュの絡まりで宙吊りになった3歳のハリスホーク雌。解放後、右脚が垂れて止まり木を握れない。病院へ電話すると1時間後に診られるという。家族が車を出してくれるが、鳥を運ぶ方法に迷っている。鳥は興奮して翼をばたつかせ、グローブの上でも落ち着かない。

搬送方法として最も適切なものはどれか

  1. グローブに乗せたまま助手席に座り、鳥が外を見られるようにして運ぶ
  2. フードをかぶせ、翼が広がらない大きさの暗い箱に滑らない敷物を敷いて入れ、揺らさず運ぶ
  3. 大きなケージに入れて自由に動けるようにし、脚を使わせないよう止まり木を外す
  4. タオルで全身をきつく巻いて動けなくし、膝の上で押さえて運ぶ

正解B.フードをかぶせ、翼が広がらない大きさの暗い箱に滑らない敷物を敷いて入れ、揺らさず運ぶ

解説骨折が疑われる鳥は動くほど損傷が進むため、搬送中は暗くして動きを抑えることが最優先である。フードで視界を覆い、翼が広がらないサイズの箱に滑らない敷物を敷いて入れると、鳥は落ち着き脚への負担も減る。箱は水平に保ち、冷暖房の風を直接当てず、揺らさない。グローブの上では周囲の刺激で暴れ、脚に体重がかかる。大きなケージでは車の振動で転がり、骨折部が悪化する。タオルできつく巻くと呼吸ができず、鳥は胸の動きで呼吸するため窒息の危険がある。

課題搬送用の箱を準備しておらず、宙吊り事故の際の対応手順が決まっていなかった。鳥は胸の動きで呼吸するため締めつけてはいけないという基本知識が不足していた。

改善案鳥のサイズに合った搬送箱(翼が広がらない大きさで暗くできるもの)を常備し、滑り止めマットを敷いておく。フードを常に携帯し、搬送時は暗く・水平に・静かにの3原則を守る。病院への連絡時に到着時間と症状を伝える。

Q25深夜に口を開けて苦しそうに呼吸している救命救急

午前1時、物音で目が覚めて小屋を見ると、3歳のハヤブサ雌が止まり木の上で口を開け、呼吸のたびに尾を大きく上下させている。ゼーゼーという音が聞こえ、翼は少し下がっている。昼間は普通に見えたが、ここ数日食べる量がやや減っていた。かかりつけの猛禽診療の病院は日中のみだが、車で30分の夜間救急が鳥も診ると案内していた。

飼い主が取るべき対応として最も適切なものはどれか

  1. 夜間救急に電話して受け入れを確認し、暗くして保温しながら今すぐ搬送する
  2. かかりつけが開く朝9時まで、室温を上げて見守る
  3. 呼吸が楽になるように、小屋の窓を全開にして冷たい空気を入れる
  4. ネットで調べた吸入用の薬を加湿器に入れて吸わせる

正解A.夜間救急に電話して受け入れを確認し、暗くして保温しながら今すぐ搬送する

解説開口呼吸、尾を上下させる呼吸、呼吸音はタカ類では呼吸不全の緊急サインで、数時間で急変することがある。背景にはアスペルギルス症や気嚢の病変が多く、酸素投与や処置が必要になる。夜間救急に電話して鳥の受け入れを確認し、暗く静かな箱で保温しながら今すぐ搬送する。朝まで待つのは呼吸不全の進行を放置することになる。冷たい空気を入れると体温が下がり状態が悪化する。薬剤の吸入は獣医師の診断と処方なしに行ってはならず、刺激で呼吸をさらに悪化させる恐れがある。

課題数日前からの食欲低下という予兆を見逃し、夜間の緊急時に鳥を診られる病院の情報を事前に整理していなかった。呼吸サインの緊急度を判断する基準が曖昧だった。

改善案食欲低下が2日続いたら呼吸の様子を注意深く観察し、日中のうちに受診する。鳥を診られる夜間救急の連絡先と場所を確認し、冷蔵庫に貼っておく。開口呼吸・尾の上下・呼吸音は「今すぐ受診」のサインとして家族で共有する。

Q26真冬に同じ餌の量で体重が減り続ける病気

1月、屋外の小屋で飼う4歳のオオタカ雌。秋と同じ量のウズラを毎日与えているが、この1週間で体重が基準の1000gから950gまで少しずつ減った。朝の最低気温は0℃前後。鳥は餌への反応は強く、ペレットも正常に出ているが、羽を膨らませて止まり木に止まる時間が長い。

この状況の解釈と対応として最も適切なものはどれか

  1. 寒さで必要なエネルギーが増えていると考え、餌の量を増やして体重を毎日確認する
  2. 基準体重に近づいて呼び戻しが効きやすくなったので、訓練を増やす
  3. 羽を膨らませるのは寒さ対策なので問題なく、餌の量も変えない
  4. 病気の疑いが強いので、餌を止めて絶食させて様子を見る

正解A.寒さで必要なエネルギーが増えていると考え、餌の量を増やして体重を毎日確認する

解説気温が下がると体温維持に必要なエネルギーが増え、同じ給餌量では体重が減る。餌への反応が強くペレットも正常なら、まず寒さによる要求量の増加と考えて餌を増やし、毎朝の体重で調整する。羽を膨らませて止まる時間が長いのは寒さと空腹のサインで、このまま減り続ければ飢餓に至る。体重減少を訓練の好機と見るのは危険で、冬の飢餓事故の典型である。餌を変えないまま放置すれば減少は続く。絶食は栄養状態をさらに悪化させる。増量しても減り続けたり食欲が落ちたりすれば、病気を疑い受診する。

課題季節による必要エネルギーの変化を給餌量に反映していなかった。体重の減少傾向を1週間放置し、羽を膨らませる姿勢の意味を読み取れていなかった。

改善案体重・気温・給餌量を同じ表に記録し、気温が下がり始めたら前もって餌を増やす。冬の基準体重は秋より重めに設定し、獣医師と相談して上下の許容範囲を決める。羽を膨らませて動かない時間が増えたら、小屋の防寒と餌の見直しをすぐ行う。

Q27早く訓練したくて体重を一気に落とした病気

11月、初めてハリスホーク雄(1歳)を迎えた飼い主。迎えた時の体重は720gで、知人から「650gが訓練に適した体重」と聞き、5日間で餌を半分に減らして660gまで落とした。今日、鳥は止まり木で目を細めて動かず、グローブを出しても足を握る力が弱い。便は少量で濃い緑色、ペレットは小さく粘液が多い。

飼い主が取るべき対応として最も適切なものはどれか

  1. 目標体重に近いので、予定通り翌日から呼び戻し訓練を始める
  2. 減量が速すぎたと考え、訓練を止めて保温し少量の餌を与え、反応が戻らなければ当日中に受診する
  3. 便の色が変なので下痢止めを餌に混ぜる
  4. 慣れていないだけなので、人のいない部屋に置いて数日そっとしておく

正解B.減量が速すぎたと考え、訓練を止めて保温し少量の餌を与え、反応が戻らなければ当日中に受診する

解説5日で体重の8%を落とす減量は速すぎ、握力の低下、動かない、少量の緑便、粘液の多い小さなペレットは飢餓による衰弱と消化機能の低下を示す。訓練用の体重は個体の筋肉量や季節で異なり、他人の数値をそのまま当てはめてはならない。まず訓練を止め、保温して消化しやすい小さな肉片を少量から与え、反応や握力が戻らなければ当日中に受診する。訓練開始は命に関わる。人用や鳥用の下剤・下痢止めを自己判断で混ぜるのは、飢餓状態の消化管に負担をかける。数日そっとしておく間に低血糖が進む。

課題他人の経験則の数値を自分の個体に当てはめ、獣医師の助言なしに急激な減量を行った。衰弱のサイン(握力低下・緑便・粘液ペレット)を「慣れていない」と誤解した。

改善案訓練体重は迎えた直後に決めず、体格・筋肉・季節を踏まえて獣医師と相談し、減量は1日数gずつ数週間かけて行う。毎朝の体重と握力・反応・便の状態を記録し、どれかが悪化すれば減量を中止する。迎えた後1か月は健康診断と糞便検査を優先する。

Q28迎えて1週間、餌を見ても食べない病気

ブリーダーから迎えて1週間のハヤブサ雌(当歳)。輸送後、体重は到着時の980gから930gに減り、グローブ上で解凍ウズラを見せても目を背け、足元に置いても食べない。昼間はずっと目を見開いて緊張しており、夜も止まり木で落ち着かない。呼吸や便には今のところ異常がない。隣の部屋では犬が吠えている。

飼い主が取るべき対応として最も適切なものはどれか

  1. 静かな部屋に移して刺激を減らし、ケージ内で一人で食べられる環境を作り、翌日も食べなければ受診する
  2. 食べるまで餌を与えず、空腹で慣れさせる方法を続ける
  3. 慣れさせるために人の多い場所に連れ出し、長時間グローブに乗せる
  4. 口をこじ開けて肉片を押し込み、強制的に食べさせる

正解A.静かな部屋に移して刺激を減らし、ケージ内で一人で食べられる環境を作り、翌日も食べなければ受診する

解説輸送と環境変化は強いストレスで、緊張状態では摂食が止まる。犬の鳴き声や人の視線はストレスを増やすため、まず静かな部屋に移し、人が見ていない状態でケージ内に餌を置いて食べられるようにする。到着後の体重が5%減り、翌日も食べなければ受診して検査を受ける。当歳のハヤブサは輸送後のストレスでアスペルギルス症を発症しやすく、早期発見が重要である。食べるまで餌を与えない方法は体重減少を加速し衰弱を招く。人混みや長時間のマニングはストレスを増やす。強制給餌は誤嚥と人への恐怖を植え付け、獣医師の判断で行う処置である。

課題迎え入れ直後の鳥に静かな環境を用意せず、犬の鳴き声が聞こえる部屋に置いていた。輸送後の体重減少とストレス期の病気リスクを把握していなかった。

改善案迎える前に静かな専用の部屋を用意し、犬や猫の気配を遮断する。到着後1週間は人の接触を最小限にし、ケージ内で自由に食べられるようにする。到着時と毎朝の体重を記録し、5%減または2日食べなければ受診する。猛禽を診られる病院を迎える前に確保する。

Q29換羽期に訓練を続けたら羽がボロボロに病気

7月、3歳のハリスホーク雌。換羽が始まり風切羽が何本も抜けて新しい羽が伸び始めているが、飼い主は体重を訓練時のまま維持し、毎日呼び戻し訓練を続けている。新しい羽には横線状の欠け(ストレスマーク)が入り、伸びかけの羽が2本折れた。鳥は訓練への反応が鈍く、羽の艶もない。

この状況の解釈と対応として最も適切なものはどれか

  1. 換羽は体の問題なので、飛ばして運動させれば羽がきれいに生える
  2. 羽の欠けは遺伝なので対策はなく、折れた羽は抜いて新しい羽を生やす
  3. 換羽期は訓練を休み体重を増やして栄養を充実させ、折れた羽は獣医師にインピングを相談する
  4. 羽の艶がないのは水浴び不足なので、毎日ホースで水をかける

正解C.換羽期は訓練を休み体重を増やして栄養を充実させ、折れた羽は獣医師にインピングを相談する

解説換羽期は新しい羽を作るために多くの栄養が必要で、訓練用の低い体重を維持すると羽に横線状の欠け(ストレスマーク)が入り、もろくなる。この時期は訓練を休み、体重を増やして骨や内臓を含む全体食で栄養を充実させるのが基本である。折れた伸びかけの羽は血管を含むため自分で抜かず、飛行に影響するなら獣医師にインピング(接ぎ羽)を相談する。訓練の継続は羽の質を下げ、落鳥事故の原因になる。羽の欠けは遺伝ではなく栄養とストレスの指標である。ホースで水をかけるのはストレスで、水浴びは自発的に行わせるものである。

課題換羽期に体重を上げて訓練を休むという鷹匠の基本を理解しておらず、ストレスマークを羽の質の問題と誤解した。羽の状態を栄養状態の指標として読み取っていなかった。

改善案換羽が始まったら訓練を中止し、基準体重より10〜15%重い状態を保って全体食を十分に与える。新しい羽の状態を毎週写真で記録し、横線や折れが出たら栄養と環境を見直す。折れた羽はシーズン前にインピングで修復できるよう獣医師に相談する。

Q30便の中に白い米粒のようなものが動いている病気

狩猟で捕ったウサギやキジを時々与えている5歳のオオタカ雌。最近少し痩せて羽の艶がなく、今朝の便に白い米粒のような節が複数あり、よく見るとわずかに動いている。食欲はあり、呼吸や足には異常がない。便は床の新聞紙の上に落ちている。

飼い主が取るべき対応として最も適切なものはどれか

  1. 便と一緒に新聞紙を袋に密封し、数日以内に糞便検査を受けて駆虫を獣医師に依頼する
  2. 人用の駆虫薬を餌に混ぜて与える
  3. 寄生虫は自然に出ていくので、餌を増やして痩せを補う
  4. 野生の獲物を与えなければ治るので、冷凍餌に変えるだけで経過を見る

正解A.便と一緒に新聞紙を袋に密封し、数日以内に糞便検査を受けて駆虫を獣医師に依頼する

解説便に見える白い節は条虫の片節の可能性が高く、野生の獲物を介して感染する。痩せと羽の艶の低下は栄養を奪われているサインである。便を新聞紙ごと密封して持参し、数日以内に糞便検査を受け、虫の種類に合った駆虫を獣医師に依頼する。人用の駆虫薬は種類や用量が鳥に合わず中毒の危険がある。寄生虫は自然には排除されず、餌を増やしても栄養は虫に取られる。冷凍餌に変えるのは再感染の予防として正しいが、すでに体内にいる虫は駆除されない。

課題野生の獲物を与える場合に寄生虫のリスクがあることを把握しておらず、定期的な糞便検査を行っていなかった。痩せと羽の艶の変化を早期に受診の目安としていなかった。

改善案野生の獲物を与える場合は十分に冷凍し、年2回の糞便検査を習慣にする。便の色・形・異物を毎日観察し、写真で記録する。体重減少と羽の艶の低下が同時に出たら、数日以内に受診する。駆虫は必ず獣医師の処方で行う。

Q31片目を閉じたままで目の表面が白く濁っている病気

4歳のハリスホーク雄。昨日の訓練でやぶの中に獲物を追って入り、今日は左目を閉じたままにしている。目を開けた瞬間に見ると表面が白く濁り、周囲が赤く涙が出ている。鳥は左側から近づくと驚き、グローブへの着地をためらう。食欲は普通にある。

飼い主が取るべき対応として最も適切なものはどれか

  1. 目を水道水で洗い流し、人用の目薬を点眼して様子を見る
  2. 目を閉じたままなら眠いだけなので、翌日まで何もしない
  3. 飛行訓練を続けて目を使わせ、自然に治るのを待つ
  4. 角膜の傷や感染を疑い、目に触れず当日中に受診する

正解D.角膜の傷や感染を疑い、目に触れず当日中に受診する

解説やぶに入った後の閉眼、角膜の白濁、充血、流涙は角膜の傷や感染を示す。タカ類は視力が命であり、角膜の傷は進行が速く数日で潰瘍や失明に至ることがある。目には触れず、当日中に受診して眼科的な検査と治療を受ける。水道水で洗うのは刺激になり、人用の目薬は成分が鳥に適さず悪化させる恐れがある。閉眼を眠気と考えるのは危険で、翌日まで放置すれば傷が深くなる。片目が見えにくい状態での飛行は衝突や落鳥の原因になる。

課題やぶのある場所での訓練で目の外傷リスクを考慮しておらず、訓練後の目の点検をしていなかった。目の異常の緊急度を低く見積もっていた。

改善案訓練後は毎回、両目の開き・濁り・充血を確認する。やぶや枝の多い場所での追跡は避けるか、鳥の体重と条件を整えてから行う。目の異常は当日中の受診を基本とし、鳥の眼科診療ができる病院を把握しておく。

Q32獲物との格闘で胸に傷ができた怪我

狩猟中の3歳ハリスホーク雌。大きな野ウサギを捕らえて格闘し、ウサギの後ろ足で蹴られた。回収すると胸の羽が抜け、皮膚に3cmほどの裂け目があり、脂肪が見えている。出血は少量で、鳥は興奮しているが立てる。現場から車で病院まで50分かかる。

最初に取るべき行動として最も適切なものはどれか

  1. フードをかぶせ生理食塩水で傷を流してガーゼで覆い、当日中に受診する
  2. 獲物を食べさせて落ち着かせ、帰宅してから傷を消毒液で洗う
  3. 小さな傷なので土と血を拭き取り、そのまま次の獲物を追わせる
  4. 傷口を瞬間接着剤で閉じて、出血を止めてから帰る

正解A.フードをかぶせ生理食塩水で傷を流してガーゼで覆い、当日中に受診する

解説皮膚が裂けて脂肪が見える傷は縫合が必要で、ウサギの爪や土からの細菌感染を防ぐため早期の処置が重要である。まずフードで興奮を抑え、携帯した生理食塩水で傷を流して汚れを取り、清潔なガーゼで覆って当日中に受診する。獲物を食べさせると血圧と体温が上がって出血が増え、傷に獲物の体液が入る。傷を放置して狩猟を続けると傷が広がり感染が進む。瞬間接着剤は組織を傷め、内部に細菌を閉じ込めて膿瘍を作る。

課題鳥の体格に対して大きすぎる獲物を追わせ、格闘による外傷リスクを軽視していた。現場での応急処置用品(生理食塩水・ガーゼ・フード)の準備が不十分だった。

改善案狩猟では鳥の体格に合った獲物を選び、格闘が長引いたら素早く介助する。応急処置セットを必ず携帯し、傷は洗浄・保護・当日受診を基本にする。狩猟後は毎回胸・脇・足を触って点検し、小さな傷も記録する。

Q33爪が根元から取れて血が出ている怪我

ケージ内で暴れた後の4歳ハヤブサ雌。左足の後ろ指の爪が根元から完全に取れ、指先から血が流れている。床には取れた爪が落ちていた。鳥は左足を上げたまま右足だけで止まり木に立ち、出血は数分経っても止まらない。

最初に取るべき行動として最も適切なものはどれか

  1. 取れた爪を元の位置に押し当てて、テープで固定する
  2. 出血は自然に止まるので、ケージを暗くして翌朝まで待つ
  3. フードをかぶせ、指先を清潔なガーゼで数分圧迫し止血剤を当て、当日中に受診する
  4. 指先に消毒液を直接かけて乾かし、止まり木を硬い物に替える

正解C.フードをかぶせ、指先を清潔なガーゼで数分圧迫し止血剤を当て、当日中に受診する

解説爪が根元から取れると血管と骨の一部が露出し、出血が続きやすく感染すると骨髄炎や指の壊死に至る。フードで落ち着かせ、指先を清潔なガーゼで数分間圧迫し、止血剤を当てる。止血後も露出部の保護と抗菌治療が必要なため当日中に受診する。取れた爪は再び付かず、テープ固定は細菌を閉じ込める。翌朝まで放置すると出血で衰弱し、感染が進む。消毒液を直接かけると組織を傷め、硬い止まり木は傷ついた足への圧を増やしてバンブルフットの原因になる。

課題ケージ内で鳥が暴れる原因(外からの刺激や狭さ、網目)を放置し、爪の長さや止まり木の点検をしていなかった。止血剤を常備しておらず、応急処置の手順が決まっていなかった。

改善案止血剤・ガーゼ・フードを小屋の近くに常備する。ケージは暴れにくい静かな場所に置き、足を引っかける網目や隙間をなくす。爪は適切な長さに整え、毎日の足の点検で爪のぐらつきや付け根の異常を早期に見つける。

Q34ジェスの下の足首が赤くただれている怪我

2歳のハリスホーク雄。1年前に付けたアンクレット(足首の革)を交換しておらず、革が硬く縮んでいる。今日、足を点検するとアンクレットの下の皮膚が赤くただれ、羽が擦り切れてわずかに出血している。鳥は足を気にしてつついている。

飼い主が取るべき対応として最も適切なものはどれか

  1. アンクレットを外してやわらかい適正サイズの物に替え、傷を生理食塩水で洗い、赤みが広がれば受診する
  2. 傷が治るまでアンクレットをそのままにして、上から包帯を巻く
  3. 革が硬くなったのは乾燥なので、油を塗ってそのまま使い続ける
  4. つつくのをやめさせるため、エリザベスカラーを自作して付ける

正解A.アンクレットを外してやわらかい適正サイズの物に替え、傷を生理食塩水で洗い、赤みが広がれば受診する

解説硬く縮んだアンクレットは皮膚を擦り、ただれや感染の原因になる。まずアンクレットを外し、柔らかく適正サイズの新しい物に交換する。傷は生理食塩水で洗い、清潔に保つ。赤みや腫れが広がる、膿が出る、足を上げたままになる場合は受診する。原因であるアンクレットを残したまま包帯を巻くと、擦れが続き蒸れて悪化する。油を塗っても硬化した革は元に戻らず、サイズの問題も解決しない。自作のエリザベスカラーは鳥のストレスと転倒の原因になり、根本の原因を取り除かない。

課題アンクレットとジェスの経年劣化と定期交換の必要性を認識しておらず、足首の皮膚を定期点検していなかった。装備の管理が鳥の健康に直結するという意識が不足していた。

改善案アンクレット・ジェス・スイベルは毎日点検し、硬化やひび割れ、サイズの不適合があれば交換する。革は定期的に手入れし、足の成長や体重変化に合わせてサイズを見直す。足首の皮膚と羽の状態を週1回記録し、赤みの段階で対処する。

Q35嘴の先が欠けて食べにくそうにしている怪我

5歳のオオタカ雌。金属製のケージの格子を嘴で噛む癖があり、今日、上嘴の先端が斜めに欠けているのに気づいた。欠けた部分から少量の血がにじみ、餌をちぎるのに時間がかかり、途中で落としてしまう。鳥は嘴を止まり木にこすりつけている。

飼い主が取るべき対応として最も適切なものはどれか

  1. 欠けた部分を爪やすりで自分で削って形を整える
  2. 嘴は伸びるので、硬い骨を多く与えて削らせる
  3. 出血はガーゼで押さえ、餌を小さく切って与え、当日中に受診して嘴の整形を相談する
  4. 痛みが引くまで数日絶食させて、嘴を使わせないようにする

正解C.出血はガーゼで押さえ、餌を小さく切って与え、当日中に受診して嘴の整形を相談する

解説嘴の先端が欠けて出血し、餌をちぎれない状態は摂食に直接影響し、放置すると体重減少と欠けの拡大につながる。出血はガーゼで軽く押さえ、餌は飲み込める大きさに切って栄養を確保しながら、当日中に受診して嘴の整形(コーピング)や損傷範囲の評価を受ける。自分で削ると血管や神経の通る部分まで削り、出血と強い痛みを起こす。硬い骨を与えても欠けた嘴では処理できず、さらに割れる恐れがある。数日の絶食はタカ類にとって飢餓のリスクであり、傷の回復も遅らせる。

課題金属製の格子を噛む癖を放置し、ケージ素材の問題を見直していなかった。嘴の異常が摂食と栄養に直結することを軽視し、整形は専門家が行うという認識が不足していた。

改善案ケージは木製フレームに縦格子や柔らかいネットにし、金属の格子を噛めない構造にする。嘴の形と長さを毎週確認し、伸びすぎや欠けがあれば獣医師に整形を依頼する。欠けた直後は餌を小片にして確実に摂取させ、体重を毎日確認する。

Q36止まり木から落ちて床で動けない怪我

夕方、小屋の様子を見ると3歳のハリスホーク雌が床に伏せており、立ち上がろうとして両脚を踏ん張るが左脚を引きずる。止まり木の高さは1.5mで、床はコンクリートに新聞紙を敷いただけ。左脚の脛のあたりが腫れており、触ろうとすると嘴で攻撃してくる。出血はない。

飼い主が取るべき対応として最も適切なものはどれか

  1. 脚を伸ばして骨がずれていないか確認し、まっすぐなら止まり木に戻す
  2. 鳥が攻撃的なので回復したと判断し、餌を置いて翌日まで様子を見る
  3. 床に毛布を敷いて鳥をその上に置き、痛み止めとして人用の鎮痛剤を餌に混ぜる
  4. 脚に触れず布で頭を覆って暗い箱に入れ保温し、骨折を疑って当日中に受診する

正解D.脚に触れず布で頭を覆って暗い箱に入れ保温し、骨折を疑って当日中に受診する

解説高い止まり木から硬い床に落ちた後の脚の腫れと引きずりは骨折や脱臼を強く疑う。攻撃的な反応は痛みによるもので回復の証拠ではない。脚に触れず、布やフードで頭を覆って暗くし、翼が広がらない箱に入れて保温し、当日中に猛禽診療可の病院で画像検査を受ける。脚を伸ばして確認すると骨折部がずれ、神経や血管を傷つける。翌日まで放置すると腫れと痛みでショックが進み、骨の癒合不良で止まり木を握れなくなる恐れがある。人用の鎮痛剤は鳥に中毒や腎障害を起こす危険があり、絶対に与えない。

課題コンクリートの床に新聞紙だけという落下時の衝撃を吸収しない環境で、高い止まり木を設置していた。落ちた原因(驚き・体調不良・リーシュの絡まり)を把握していなかった。

改善案小屋の床には砂利やマットなど衝撃を吸収する素材を敷き、止まり木の高さと配置を見直す。落下の原因を調べ、夜間に驚かせる要因を排除する。脚の腫れや引きずりは触らず搬送というルールを決め、鎮痛剤など自己判断の投薬は行わない。

Q37室内で飛ばしたら窓ガラスに激突した事故

雨の日、運動不足を心配して2歳のハリスホーク雄をリビングで自由に飛ばした。鳥は大きな窓に向かって飛び、ガラスに正面から衝突して床に落ちた。数秒動かなかったが、やがて立ち上がった。嘴の付け根から少量の血が出ており、頭を小刻みに振っている。目は開いているが、呼びかけへの反応が遅い。

飼い主が取るべき対応として最も適切なものはどれか

  1. 立ち上がったので無事と判断し、再び飛ばして飛行能力を確認する
  2. 頭を振るのは血を払うためなので、嘴の血を拭いてケージに戻し普段通り給餌する
  3. 元気づけるためにルアーを振って呼び戻し、食べさせて落ち着かせる
  4. 暗い箱で保温して安静にし、頭部外傷を疑って今すぐ受診する

正解D.暗い箱で保温して安静にし、頭部外傷を疑って今すぐ受診する

解説ガラスへの正面衝突は頭部外傷と脳の損傷を起こし、立ち上がった後でも数時間かけて脳の腫れや出血が進むことがある。頭を振る、反応が遅い、嘴の付け根からの出血は危険なサインである。暗い箱で保温して安静にし、揺らさずに今すぐ受診する。再び飛ばすと二次衝突や落鳥につながる。普段通りの給餌は意識レベルの低下による誤嚥の危険がある。ルアーで興奮させると血圧が上がり、頭蓋内の出血を悪化させる。

課題室内の窓ガラスに目印がなく、タカ類がガラスを認識できないことを知らずに飛ばした。衝突後の「立ち上がった」ことを安全の証拠と誤解した。

改善案室内で飛ばす場合は窓や鏡にカーテンや目印を付け、障害物のない部屋に限る。雨の日の運動はグローブ上での短い跳躍訓練で代替する。衝突後は首の傾き・反応の遅れ・出血・頭の振りを確認し、1つでもあれば飛ばさず受診する。

Q38地面の獲物の上にいるタカを家族が踏んだ事故

庭で3歳のオオタカ雌にルアー訓練をしていた。鳥が地面のルアーの上で翼を広げて覆う姿勢(マントリング)をしているところへ、気づかずに歩いてきた家族が鳥の尾羽と左翼の先端を踏んだ。鳥は悲鳴を上げて飛び上がり、翼を引きずるように地面に戻った。尾羽が数本抜け、左翼を体に収められない。

最初に取るべき行動として最も適切なものはどれか

  1. 鳥の体を支えて翼に触れずフードをかぶせ、暗い箱に入れて当日中に受診する
  2. 翼を左右に広げて左右差を比べ、同じ動きなら問題ないと判断する
  3. 抜けた尾羽は生えるので、ルアーを食べさせて訓練を終了する
  4. 痛みで暴れると危険なので、翼を体に押し付けてタオルで巻いて固定する

正解A.鳥の体を支えて翼に触れずフードをかぶせ、暗い箱に入れて当日中に受診する

解説翼の先端を踏まれて翼を収められない状態は、骨折や関節の損傷を疑う。鳥の体を支えて翼には触れず、フードで暗くして翼が広がらない箱に入れ、当日中に受診して画像検査を受ける。翼を広げて左右差を比べる行為は損傷部を動かして悪化させる。尾羽の抜けは再生するが、翼の損傷は放置すると飛行能力に後遺症を残す。ルアーを食べさせて終了すると損傷の評価が遅れる。翼を押し付けてタオルで巻くと骨折部がずれ、胸の動きで呼吸する鳥は窒息の危険がある。

課題マントリング中の鳥は周囲が見えず動かないという習性を家族が知らず、訓練中に人が歩き回れる環境だった。地面に降りた鳥の周囲の安全確保をしていなかった。

改善案訓練中は家族や来客に鳥の位置を知らせ、地面にいる鳥に近づかないルールを決める。ルアーの位置は人の動線から離し、鳥がマントリングしている間は飼い主がそばに立って周囲を見張る。踏まれた場合は翼と脚を触らず搬送する。

Q39ロストして2日目、電柱の上に見つけた事故

2日前にフリーフライトでロストした2歳のハリスホーク雄。発信機の反応を頼りに探し、今朝、住宅地の電柱の上に止まっているのを見つけた。鳥はこちらを認識しているが、ルアーを振っても降りてこず、カラス数羽に周りを威嚇されている。近くの電線は高圧線で、電柱の下は交通量の多い道路だ。

飼い主が取るべき対応として最も適切なものはどれか

  1. 見失う前に捕まえるため、電柱に登って手で捕まえる
  2. 電柱の下の道路でルアーを振り続け、降りるまで待つ
  3. 道路から離れた安全な場所に生きた餌やルアーを置き、カラスを追い払いながら鳥が自分から来る距離に移動して待つ
  4. 石を投げて電柱から飛び立たせ、下に降りたところを捕まえる

正解C.道路から離れた安全な場所に生きた餌やルアーを置き、カラスを追い払いながら鳥が自分から来る距離に移動して待つ

解説ロストして2日目の鳥は体重が落ちて警戒心が高まっており、餌への反応は残っていても人の多い場所や道路には降りにくい。まずカラスを追い払って鳥を落ち着かせ、道路から離れた安全な場所でルアーや餌を見せ、鳥が自分から来られる距離に移動して待つ。電柱に登るのは高圧線による感電と転落の危険があり、電力会社への通報が必要な行為である。道路上で呼ぶと鳥が降りた瞬間に車にひかれる。石を投げると鳥はさらに遠くへ逃げ、信頼関係も崩れる。

課題ロスト時の回収手順を事前に決めておらず、人や車の多い住宅地での呼び戻しの危険を想定していなかった。発信機は装着していたが、カラスや高圧線といった環境リスクへの備えがなかった。

改善案ロスト時の回収は安全な場所への誘導を基本とし、道路や高圧線の近くでは呼ばない。発信機の電池と受信機を毎回確認し、ロスト初日から警察・保健所・近隣への周知を行う。回収後は体重を測り、衰弱や外傷があればすぐ受診する。

Q40リーシュを付けたまま飛び、高い枝に絡まった事故

リーシュを外し忘れたまま4歳のハリスホーク雌がグローブから飛び立ち、公園の高さ6mの枝にリーシュが絡まって宙吊りになった。鳥は逆さになって翼をばたつかせ、徐々に動きが弱くなっている。枝は細く、人が登れる太さではない。周囲に人が集まり始めている。

最初に取るべき行動として最も適切なものはどれか

  1. 枝を揺らして鳥を落とし、下で受け止める
  2. 鳥が自力で枝に戻るまで静かに待つ
  3. 消防や管理者に連絡し高所作業で救助を依頼し、同時に鳥を支えられる道具(長い棒やネット)で脚の荷重を外す工夫をする
  4. リーシュが切れるまでルアーを振って暴れさせる

正解C.消防や管理者に連絡し高所作業で救助を依頼し、同時に鳥を支えられる道具(長い棒やネット)で脚の荷重を外す工夫をする

解説宙吊りは脚の骨折や血流障害を起こし、動きが弱まっているのは衰弱の進行を示す緊急事態である。登れない高さでは消防や公園管理者に高所作業での救助を依頼し、待つ間も長い棒やネットで鳥の体を下から支え、脚にかかる荷重を外す工夫をする。救助後は脚の腫れや握力を確認し当日中に受診する。枝を揺らして落とすと落下の衝撃で骨折し、受け止めに失敗すれば致命的になる。自力で戻るのを待つ間に脚の損傷が進む。暴れさせるのは絡まりを強め、骨折と衰弱を加速する。

課題飛ばす前にリーシュを外す確認を怠った、鷹匠の最も基本的かつ重大な手順ミスである。高所で絡まった場合の連絡先や道具の備えもなかった。

改善案飛ばす前の確認を「リーシュ・スイベル・発信機」の順で声に出して行う習慣をつける。訓練場所の管理者と消防の連絡先を携帯し、長い棒やネットなど救助用の道具を車に積む。宙吊りからの救助後は飛ばさず、脚の状態を受診で確認する。

Q41殺鼠剤を食べたネズミを捕らえて食べた中毒・誤飲

納屋の近くで係留していた3歳のオオタカ雌が、よろよろと歩いていたドブネズミを捕らえて半分食べてしまった。納屋には先週、殺鼠剤を置いたばかりだった。鳥は今のところ元気で餌への反応もあるが、飼い主はネズミが殺鼠剤で弱っていた可能性に気づいた。

飼い主が取るべき対応として最も適切なものはどれか

  1. 残りのネズミを取り上げ、殺鼠剤の製品名を控えて当日中に受診し、中毒の予防的処置を相談する
  2. 今は元気なので、症状が出てから受診すればよい
  3. 塩水を飲ませて吐かせ、体内の毒を出す
  4. 解毒のために牛乳を飲ませ、翌朝の便を確認する

正解A.残りのネズミを取り上げ、殺鼠剤の製品名を控えて当日中に受診し、中毒の予防的処置を相談する

解説殺鼠剤の多くは抗凝固剤で、食べたネズミを介して猛禽に二次中毒を起こす。症状は摂取後数日経ってから出血傾向として現れ、出た時には重篤になっている。元気に見える今のうちに残りのネズミを回収し、殺鼠剤の製品名と成分を控えて当日中に受診し、予防的な解毒処置を相談する。症状が出てからでは内出血が進んでいる。塩水での催吐は鳥に危険で誤嚥と塩中毒を招く。牛乳に解毒効果はなく、消化不良を起こす。

課題殺鼠剤を使用している場所で係留し、野生のネズミを捕らえて食べる可能性を想定していなかった。殺鼠剤の二次中毒が遅れて発症するという知識が不足していた。

改善案殺鼠剤を使う場所の近くで係留や訓練を行わない。野生のネズミや弱った動物を捕らえた場合はすぐ取り上げる。殺鼠剤の製品名を把握しておき、誤食の可能性があれば症状がなくても当日中に受診する。中毒の症状として出血傾向や元気消失を数日間観察する。

Q42小屋の消毒に使った薬剤のにおいでぐったり中毒・誤飲

4歳のハリスホーク雄を入れたまま、小屋の床と壁に塩素系の消毒剤を噴霧して掃除した。換気のため扉を少し開けただけで作業を続けたところ、30分後、鳥は口を開けて呼吸し、目を細めて涙を流し、翼を下げてぐったりしている。小屋の中には強い薬剤のにおいが残っている。

最初に取るべき行動として最も適切なものはどれか

  1. においに慣れれば落ち着くので、小屋の扉を閉めて静かにする
  2. 鳥をすぐに新鮮な空気の場所へ移し、目と嘴を清潔な水で軽く洗い、呼吸が苦しそうなら今すぐ受診する
  3. 鳥に水をかけて薬剤を洗い流し、そのまま小屋に戻す
  4. 牛乳を飲ませて中和し、翌朝まで様子を見る

正解B.鳥をすぐに新鮮な空気の場所へ移し、目と嘴を清潔な水で軽く洗い、呼吸が苦しそうなら今すぐ受診する

解説鳥の呼吸器は効率が高く、薬剤の蒸気を素早く吸収して粘膜の刺激や呼吸障害を起こす。開口呼吸、流涙、ぐったりは中毒のサインで、まず新鮮な空気の場所へ移し、目や嘴に付いた薬剤を清潔な水で軽く洗う。呼吸が改善しない、開口呼吸が続く場合は今すぐ受診し、酸素投与などの処置を受ける。においに慣れることはなく、閉め切ると濃度が上がる。全身に水をかけると体温が下がり、薬剤が残った小屋に戻せば再曝露になる。牛乳に中和効果はなく、誤嚥の危険がある。

課題鳥を小屋に入れたまま薬剤を噴霧し、鳥の呼吸器が化学物質に極めて敏感であることを理解していなかった。消毒作業の手順と換気の計画がなかった。

改善案消毒や掃除は必ず鳥を別の場所に移してから行い、薬剤は十分に乾燥・換気してから戻す。鳥に安全とされる消毒剤を獣医師に確認し、噴霧より拭き取りを基本にする。殺虫剤の燻煙や強い香りの製品も鳥のいる空間では使わない。

Q43キッチンの隣で飛ばしていたら急に呼吸が荒くなった中毒・誤飲

冬の夕方、2歳のハヤブサ雄をキッチンに続くリビングで飛ばしていた。家族がフッ素樹脂加工のフライパンを空焚きしてしまい、煙は見えないが焦げたにおいがした。数分後、鳥は床に降りて口を開けて激しく呼吸し、翼を広げて震えている。キッチンの換気扇は回していなかった。

最初に取るべき行動として最も適切なものはどれか

  1. 焦げたにおいが消えるまでキッチンの扉を閉め、鳥はリビングで休ませる
  2. 鳥の体を冷やすために濡れタオルで包み、落ち着いたら様子を見る
  3. 鳥をすぐに別の部屋か屋外の新鮮な空気の場所へ移し、暗くして保温し今すぐ受診する
  4. においが原因なので、鳥に水を飲ませて口をすすがせる

正解C.鳥をすぐに別の部屋か屋外の新鮮な空気の場所へ移し、暗くして保温し今すぐ受診する

解説フッ素樹脂加工の調理器具を空焚きすると、目に見えない有毒なガスが発生し、鳥は数分で呼吸不全を起こす。激しい開口呼吸と震えは重度の肺の障害を示し、死亡率が高い。すぐに鳥をガスのない場所へ移し、暗くして保温し、今すぐ受診して酸素投与などの処置を受ける。キッチンの扉を閉めてもガスはリビングに残っている。濡れタオルは体温を下げ、ショックを悪化させる。水を飲ませても肺の障害は改善せず、呼吸困難の鳥に誤嚥の危険がある。

課題キッチンに続く部屋で鳥を飛ばし、フッ素樹脂加工の調理器具から出るガスが鳥に致命的であることを家族が知らなかった。鳥のいる空間での調理や換気のルールが決まっていなかった。

改善案鳥のいる部屋はキッチンと完全に分け、調理中は扉を閉めて換気扇を回す。フッ素樹脂加工の調理器具の空焚きは絶対にしないよう家族に周知し、可能なら別の素材に替える。鳥に有害なガスの発生源(アイロン・ヒーターの新品・スプレー)も確認しておく。

Q44地震で避難所へ行くことになった環境・災害

深夜に大きな地震が起き、自宅は一部が損壊して余震が続いている。3歳のハリスホーク雌を飼っており、小屋は無事だったが鳥は興奮して翼をばたつかせている。市から避難指示が出て、家族は小学校の避難所へ向かう。鳥を連れて行くかどうか、どう運ぶかを決めなければならない。

飼い主が取るべき対応として最も適切なものはどれか

  1. 鳥を小屋に残し、餌と水を多めに置いて家族だけで避難する
  2. グローブに乗せたまま避難所まで歩き、避難所でも腕に乗せて過ごす
  3. 鳥を小屋から出してリーシュを外し、自由に逃げられるようにしてから避難する
  4. フードをかぶせて搬送箱に入れ、冷凍餌と記録を持って避難し、避難所では車内や別室など静かな場所で管理する

正解D.フードをかぶせて搬送箱に入れ、冷凍餌と記録を持って避難し、避難所では車内や別室など静かな場所で管理する

解説損壊した家に鳥を残すと余震や火災、野生動物の侵入で命を落とす危険があり、放すと猛禽は野外で生き延びられず、人への危害や法的な問題も生じる。鳥はフードをかぶせて搬送箱に入れ、冷凍餌・保冷剤・記録・CITES登録票を持って避難する。避難所では人や犬の多い場所を避け、車内や管理者と相談した別室などで静かに管理する。グローブに乗せて避難所にいると人混みで鳥は興奮し、爪による事故が起こる。

課題災害時の鳥の避難計画がなく、搬送箱や餌の備蓄、避難所での管理方法を決めていなかった。猛禽が避難所で受け入れられにくい動物であることを想定していなかった。

改善案搬送箱・フード・冷凍餌数日分・保冷剤・記録・登録票を1か所にまとめた避難セットを作る。避難先として車内や親族宅、受け入れ可能な施設を複数決めておく。年1回は搬送箱に入れて短時間移動する練習をし、鳥が箱に慣れた状態にしておく。

Q45冬の屋外小屋で結露がひどく羽が湿っている環境・災害

1月、庭の密閉式の小屋で飼う4歳のオオタカ雌。朝に小屋を開けると壁と天井に結露が滴り、床の新聞紙が湿っている。鳥の羽は湿ってぺたりとし、くしゃみを時々している。小屋は冷たい風を防ぐため隙間を全てふさぎ、夜はヒーターを入れていた。

飼い主が取るべき対応として最も適切なものはどれか

  1. 換気口を設けて湿気を逃がし、床材を乾いた物に替え、くしゃみが続けば受診する
  2. 結露を防ぐためヒーターの温度をさらに上げて小屋を乾かす
  3. 小屋をビニールで覆い、外気を完全に遮断する
  4. 湿った羽を乾かすため鳥をドライヤーの熱風に当てる

正解A.換気口を設けて湿気を逃がし、床材を乾いた物に替え、くしゃみが続けば受診する

解説密閉した小屋でヒーターを使うと湿気がこもり、結露で羽が湿って保温性が落ち、湿った床材にはカビが生えてアスペルギルス症の原因になる。くしゃみは呼吸器への刺激のサインである。換気口を設けて湿気を逃がし、床材を乾いた物に替え、隙間風は直接当たらない位置に風除けを置く形で防ぐ。くしゃみが続く、呼吸音や開口呼吸が出れば受診する。ヒーターを上げても湿気の発生源が残り、温度差で結露は増える。ビニールで覆うと密閉がさらに進む。ドライヤーの熱風は火傷と乾燥の刺激になる。

課題寒さ対策で小屋を密閉し、換気と湿度の管理を忘れていた。タカ類は乾いた羽があれば寒さに強く、湿気こそが大敵であるという知識が不足していた。

改善案小屋には風が直接当たらない位置に換気口を設け、湿度計を置いて50〜60%を保つ。床材は吸湿性のある砂利や新聞紙を毎日交換し、藁は使わない。ヒーターを使う場合は結露の有無を毎朝確認し、くしゃみや呼吸音は早期受診の目安にする。

Q46訓練帰りの車内に10分置いただけで環境・災害

7月の午前11時、気温31℃。訓練帰りにコンビニへ寄るため、3歳のハリスホーク雄を搬送箱に入れたまま車内に残し、エンジンを切って窓を少し開けた。10分後に戻ると車内は蒸し暑く、箱の中の鳥は口を大きく開けて翼を広げ、ぐったりとして反応が鈍い。

最初に取るべき行動として最も適切なものはどれか

  1. 車のエアコンを最強にして、箱に入れたまま冷えるのを待つ
  2. すぐに箱から出して日陰の涼しい場所へ移し、足と翼の下を水で濡らして送風し、当日中に受診する
  3. 冷たい飲み物の氷を鳥の体に直接当てて急速に冷やす
  4. 反応が鈍いのは疲れなので、家に帰ってから水浴びをさせる

正解B.すぐに箱から出して日陰の涼しい場所へ移し、足と翼の下を水で濡らして送風し、当日中に受診する

解説夏の車内は窓を少し開けても10分で40℃を超え、搬送箱の中はさらに熱がこもる。開口呼吸、翼を広げる、ぐったりは熱中症の典型で、すぐに箱から出して涼しい日陰へ移し、足と翼の下など血管の多い部位を水で濡らして送風する。意識が戻っても内臓障害が遅れて出るため当日中に受診する。エアコンが効くまで箱の中に置くと体温は下がらない。氷を直接当てると血管が収縮して熱が逃げず、組織を傷める。疲れと考えて帰宅するのは命に関わる判断ミスである。

課題夏の車内温度の上昇の速さと、搬送箱の中が外気より熱くなることを認識していなかった。「10分だけ」という油断が猛禽の熱中症事故の典型的な原因である。

改善案夏は鳥を車内に1分でも残さない。訓練は早朝に限り、帰路の寄り道はしない。車に保冷剤・水・霧吹き・携帯扇風機を常備し、搬送箱には通気口と保冷剤を入れる。熱中症の初期サイン(開口呼吸・翼を下げる)を家族で共有する。

Q47新しい個体を迎えてすぐ同じ小屋に入れた感染症・衛生

ハリスホーク雌を2年飼っている飼い主が、知人から成鳥のハリスホーク雄を譲り受け、その日のうちに同じ小屋の隣の止まり木に係留した。餌台と水浴び容器は共用している。1週間後、先住の雌が餌を落とすようになり、口の中に白い塊が見えた。新しい雄は健康診断を受けていなかった。

この状況から学ぶべき対応として最も適切なものはどれか

  1. 2羽を同時に受診させ、互いに分けて世話をし、新しい個体は検査が終わるまで隔離する
  2. 先住の雌だけ受診させ、雄は元気なので同じ小屋のままにする
  3. 2羽とも口の中を自分で洗い、塊を取り除いてから様子を見る
  4. 感染したのは先住の雌の体質のせいなので、雌だけ別の小屋に移す

正解A.2羽を同時に受診させ、互いに分けて世話をし、新しい個体は検査が終わるまで隔離する

解説新しい個体は無症状でもトリコモナスやウイルスを保有していることがあり、共用の水や餌台から感染が広がる。先住の雌の口内の白い塊はトリコモナス症を疑い、感染源の可能性がある雄も含めて2羽とも当日中に受診し、検査と治療を受ける。世話は健康な個体から順に行い、器具を分け、新しい個体は検査結果が出るまで隔離する。雄が元気に見えても保菌の可能性がある。口内の塊を自分で除去すると出血と窒息の危険がある。体質のせいにして雌だけ移すのは感染源への対処にならない。

課題新しい個体を検疫せず、健康診断も受けさせないまま同居させ、餌台や水浴び容器を共用した。多頭飼育での感染対策の基本(隔離・器具の分離・世話の順番)を知らなかった。

改善案新しい個体は迎えた日に健康診断と糞便・口内の検査を受け、少なくとも2週間は別の部屋で隔離する。餌台・水浴び容器・グローブ・止まり木は個体ごとに分け、世話は健康な個体から行い手洗いを挟む。2羽の体重と食べ方を毎日比較して異常を早期に見つける。

Q48小屋掃除の後に飼い主が高熱と咳感染症・衛生

4歳のハヤブサ雌の小屋を、乾いた糞がたまった床をほうきで掃いて掃除した。マスクはしていなかった。数日後、飼い主に39℃の発熱と乾いた咳、強い倦怠感が出た。鳥は最近少し便が緩く元気がないが、食欲はある。飼い主は市販の風邪薬を飲んでいる。

飼い主が取るべき対応として最も適切なものはどれか

  1. 風邪薬を続けて治るのを待ち、鳥は普段通り世話をする
  2. 鳥に病気はないので、人の症状は無関係と考えて放置する
  3. 乾燥した糞の粉塵を吸ったことを伝えて医療機関を受診し、鳥も便の異常を伝えて受診する
  4. 小屋を再度掃除してから、鳥を屋外で日光浴させる

正解C.乾燥した糞の粉塵を吸ったことを伝えて医療機関を受診し、鳥も便の異常を伝えて受診する

解説乾いた鳥の糞の粉塵を吸い込むことでオウム病に感染することがあり、高熱・乾いた咳・倦怠感は典型的な症状で、肺炎に進むと重症化する。猛禽を飼育していること、粉塵を吸ったことを医師に伝えれば適切な検査と治療につながる。鳥側も便の異常と元気のなさは感染の可能性があるため受診して検査を受ける。風邪薬で治る病気ではなく、放置は危険である。人の症状を鳥と無関係と考えるのは診断の遅れを招く。再度の掃除は粉塵を再び吸う危険があり、鳥の病気の対処にもならない。

課題乾いた糞を乾燥したまま掃いて粉塵を吸い込み、マスクも着けていなかった。人獣共通感染症の知識が不足し、鳥の便の異常と自分の発熱を結びつけられなかった。

改善案掃除は霧吹きで糞を湿らせてから行い、マスクと手袋を着用する。糞は毎日取り除き乾燥させない。発熱や咳が出たら必ず「鳥を飼っている」と医師に伝える。鳥の便の異常や元気消失は早めに受診し、年1回の健康診断を習慣にする。

Q49翼の付け根から血が止まらない救命救急

フェンスに衝突した2歳のハリスホーク雌。右翼の付け根の皮膚が裂けて血が流れ続け、グローブが赤く染まっている。鳥は興奮して翼をばたつかせ、そのたびに出血が増える。病院まで車で30分。手元にはガーゼ、生理食塩水、フード、止血剤がある。

最初に取るべき行動として最も適切なものはどれか

  1. フードをかぶせて暴れを抑え、傷を清潔なガーゼで数分圧迫し、圧迫したまま搬送する
  2. 周囲の羽を全部抜いて傷を見やすくし、止血剤を傷全体に厚く塗り込む
  3. 翼の付け根を紐で強く縛って血流を止め、病院へ向かう
  4. 出血を洗い流すため傷に生理食塩水をかけ続けながら運ぶ

正解A.フードをかぶせて暴れを抑え、傷を清潔なガーゼで数分圧迫し、圧迫したまま搬送する

解説鳥は体が小さく、少量の出血でもショックに至るため、素早い圧迫止血が重要である。まずフードで視界を覆って暴れを抑え、傷を清潔なガーゼで数分間しっかり圧迫し、止まらなければ圧迫を続けたまま搬送する。羽を抜くと毛包から新たな出血が起こり、止血剤は爪や嘴の出血には有効だが、皮膚の裂傷に厚く塗り込むと組織を傷め処置の妨げになる。紐で縛ると血流が止まり組織が壊死し、翼を失う恐れがある。生理食塩水をかけ続けると血が固まらず出血が止まらない。

課題フェンスのある場所で飛ばし、衝突時の応急処置の優先順位(暗くして暴れを抑える・圧迫)を整理していなかった。止血剤の使いどころを誤解していた。

改善案飛ばす場所はフェンス・有刺鉄線・電線のない所を選ぶ。止血の手順を「暗くする・圧迫する・圧迫のまま運ぶ」と決めておき、止血剤は爪と嘴の出血用と覚える。応急処置セットと搬送箱を常に携帯し、出血量が多ければ圧迫しながら病院へ電話する。

Q50衝突後に倒れたタカの状態をどう確認するか救命救急

フリーフライト中に電線に接触した3歳のハリスホーク雄が地面に落ち、横向きに倒れている。駆け寄ると翼を半分開いたまま動かず、目は開いているが瞬きしない。周囲に出血はない。飼い主は鳥が生きているか、どう確認し何をすべきか判断しなければならない。

状態確認と初期対応として最も適切なものはどれか

  1. 胸を強く押して反応を見て、動かなければ心臓マッサージを始める
  2. 水をかけて目を覚まさせ、反応がなければ死亡と判断する
  3. 鳥を揺さぶって声をかけ、反応がなければルアーの肉を口に入れる
  4. 胸の上下で呼吸を見て、指先を胸骨の横に当てて心拍を感じ、生きていれば暗い箱で保温し今すぐ搬送する

正解D.胸の上下で呼吸を見て、指先を胸骨の横に当てて心拍を感じ、生きていれば暗い箱で保温し今すぐ搬送する

解説倒れた鳥の状態確認は、胸の上下と嘴の開閉で呼吸を見て、胸骨の横に指先を当てて速い拍動を感じるかで心拍を確認し、頭を覆って瞳や刺激への反応で意識を見る。呼吸や心拍があれば、気道を確保し、暗い箱で保温して揺らさず今すぐ受診する。鳥は胸部圧迫で胸骨や内臓を損傷するため心臓マッサージは行わない。水をかけると体温が下がりショックが進み、瞬きをしないだけで死亡と判断するのは誤りである。揺さぶると頭部や脊椎の損傷が悪化し、意識が低下した鳥への給餌は窒息を招く。

課題電線のある場所でフリーフライトを行い、衝突時の生死の確認方法や鳥に心臓マッサージをしてはいけないことを知らなかった。緊急時の手順が整理されていなかった。

改善案フライト場所は電線のない開けた場所を選ぶ。倒れた鳥の確認手順を「呼吸・心拍・意識」の順で覚え、鳥には胸部圧迫をしないことを家族で共有する。搬送箱・フード・保温用品を携帯し、猛禽診療可の病院へ電話してから向かう。

QRコード
エキゾチックアニマルの救命救急法講座 開催地&日程
https://exoticpetsaver.com