ハシビロコウ ケースメソッド 50問
状況を読み、飼い主として「最初に取るべき行動」を4択から選んでください。回答後に解説・課題・改善案が表示されます。マニュアルを見る
解答と解説・課題と改善案(全50問)
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Q1真夏の午後に口を開けて立ち続ける病気
8月の午後2時、気温34℃。屋外飼育場の12歳のメスが日なたの給餌台の横で口を大きく開けたまま立ち、翼をだらりと広げている。いつもは池のそばの茂みにいるのに今日は動かず、呼びかけても視線がほとんど動かない。水場は10m先にある。
最初に取るべき行動として最も適切なものはどれか
- 暑さのせいと考え、夕方涼しくなるまで様子を見る
- 日陰と水場へ誘導し体に霧吹きをして、改善しなければ30分以内に獣医師へ連絡する
- 急いで捕まえて屋内に運び、冷房を最強にして冷やす
- 冷たい水をバケツで頭から一気にかけて体温を下げる
正解B.日陰と水場へ誘導し体に霧吹きをして、改善しなければ30分以内に獣医師へ連絡する
解説開口呼吸と翼を広げてぐったりする姿はマニュアルで「今すぐ連絡」に分類される緊急サインである。まず日陰と水場へ静かに誘導し霧吹きで体表を冷やす。それで改善しなければ熱中症だけでなくアスペルギルス症などの呼吸器疾患も疑い、30分以内に獣医師へ連絡する。様子見は熱中症の進行を許す。無理な捕獲はショック死の危険があり、急激な冷却は末梢血管を収縮させ体温を下げにくくするうえ強いストレスとなる。受診の目安は今すぐである。
課題34℃の日中に日陰と水場が給餌台から離れており、個体が涼しい場所へ自力で移動できる配置になっていなかった。暑さ対策の準備と、開口呼吸を緊急サインとして認識する知識が担当者に不足していた。
改善案夏季は給餌台や滞在場所の近くに日陰と浅い水場を複数配置し、ミストを設置する。気温30℃を超える日は1時間ごとの観察を担当表に組み込み、開口呼吸を見たら即座に獣医師へ連絡する基準を掲示する。
Q2片足で立つ時間が急に増えた病気
11月の朝、屋内展示場のコンクリート床で越冬中の20歳のオス。ここ数日、右足をたたんで左足だけで立つ時間が長く、給餌台まで歩くのを嫌がる。今朝そっと観察すると右足裏の中央に赤黒く腫れた部分があり、かさぶたの縁から黄色い液がにじんでいる。
この状況で最も適切な対応はどれか
- 床材を柔らかいものに変えて歩行距離を減らし、写真を撮って当日中に受診する
- 抗生物質の軟膏を売店で買って足裏に塗り、1週間経過を見る
- 足を使わせれば治ると考え、給餌台を遠くに移動して歩かせる
- 冬なので活動が減っただけと判断し、春まで様子を見る
正解A.床材を柔らかいものに変えて歩行距離を減らし、写真を撮って当日中に受診する
解説足裏の腫れは趾瘤症(バンブルフット)の典型で、硬い床が主因である。マニュアルでは柔らかい床材への変更と歩行距離の削減、写真記録のうえ数日以内の受診、腫れが赤黒い・化膿があれば当日中の受診と定めている。本例は赤黒く化膿しているため当日中である。市販薬の自己判断は感染を隠し悪化させる。歩かせるのは患部を圧迫し逆効果。放置すれば骨や関節まで感染が及び、生涯にわたる跛行や壊死につながる。
課題屋内越冬施設の床がコンクリートのままで、マニュアルが禁忌とする硬い床に長期間置かれていた。足裏の月1回点検が行われず、片足立ちの増加という早期サインも数日見過ごされた。
改善案屋内床には厚いゴムマットと乾草を敷き、湿った土や砂のエリアを設ける。足裏の月1回目視点検と体重測定を記録表に組み込み、片足立ちや歩行を嫌がる様子が出た時点で獣医師に相談する基準を明文化する。
Q3呼吸が荒く鳴き声が変わってきた病気
梅雨の6月、屋内施設で飼育する8歳のメス。1週間前から羽をふくらませて動かない時間が長く、体重が5.6kgから5.1kgに減った。今日は安静時でも胸の上下が速く、クラッタリングの音がかすれている。敷いた乾草の一部が湿って黒ずんでいるのに気づいた。
最も疑うべき状態と対応として適切なものはどれか
- 季節の換羽と考え、栄養を強化して2週間観察する
- 風邪と判断し、飼育場全体を加湿して温度を上げて休ませる
- アスペルギルス症を疑い、カビた敷料を除去して当日中に獣医師へ連絡する
- ストレスと考え来園者の動線を変え、1か月後に再評価する
正解C.アスペルギルス症を疑い、カビた敷料を除去して当日中に獣医師へ連絡する
解説呼吸が荒い、体重減少、元気消失、鳴き声の変化、そしてカビた敷料の存在はアスペルギルス症を強く示唆する。真菌は湿った敷料や餌から胞子を放ち、気嚢に定着する。発見が遅れると治療が難しくなるため、原因となる敷料を直ちに除去し換気を改善し、当日中に獣医師へ連絡して検査を受ける。換羽と決めつけるのは典型的な見逃しである。加湿と加温は真菌の増殖を助ける。動線変更は必要でも1か月の放置は致命的になり得る。
課題梅雨時の高湿度下で敷料の点検と交換が不十分で、カビが発生した環境に置かれていた。体重減少が1週間前から記録されていたのに呼吸器疾患へ結びつける知識が担当者に不足し、対応が遅れた。
改善案敷料は毎日点検し、湿りやカビを見つけたら即交換する。梅雨と夏は除湿と換気を強化し、屋内の湿度を記録する。週1回の体重測定で5%以上の減少があれば獣医師へ報告する基準を設け、鳴き声や呼吸数の変化も日誌に残す。
Q4首がねじれて立てなくなった病気
2月の夕方、屋内飼育の15歳のオス。ここ1か月は冷凍ティラピアだけを与え、ビタミン剤は前任者の引き継ぎ漏れで添加していなかった。今日、首を後ろに反らせて頭を振り、脚がもつれて立てない。時々全身がぴくぴくと震える。
この場で最初に取るべき行動はどれか
- 暗く静かにして無理に触らず、餌の内容を記録して直ちに受診する
- ビタミン剤を魚に多めに混ぜて食べさせ、翌朝の様子で受診を判断する
- けいれんを止めようと体を押さえ込み、口に水を流し込む
- 動画を撮りながら1時間観察し、自然に収まるか確かめる
正解A.暗く静かにして無理に触らず、餌の内容を記録して直ちに受診する
解説首の異常な動き、ふらつき、けいれんはビタミンE・B1欠乏症や中毒の典型サインで、マニュアルでは「今すぐ連絡」に分類される。暗く静かな環境で刺激を減らし、無理に触らず、給餌内容と添加剤の記録を持って即受診する。冷凍魚のみの給餌は脂肪酸化とチアミナーゼによりB1が失われるため危険である。自己判断でビタミンを大量投与しても急性期の治療にはならず、受診の遅れを招く。押さえ込みと強制飲水は誤嚥とショックを起こす。撮影しながらの放置は発作の重積を許す。
課題担当交代時の引き継ぎでビタミン剤添加という重要事項が抜け、1か月冷凍魚のみが続いた。給餌記録と添加剤のチェック欄がなく、欠乏の兆候であるふらつきを早期に捉える仕組みもなかった。
改善案給餌日誌に添加剤の欄を設け、毎回チェックする。引き継ぎは書面と口頭の二重で行い、獣医師の指示書を給餌場に掲示する。冷凍魚に頼る時期は生魚や別種の魚を組み合わせ、月1回獣医師と栄養内容を見直す。
Q5便が緑色の水様になり羽づやが落ちた病気
10月の朝、屋外飼育場の6歳のメス。先月から近くの川で職員が釣った小魚を「新鮮だから」と時々与えていた。1週間前から便が緑色で水っぽく、今朝の便に細い糸状のものが見えた。体重は6kgから5.4kgに減り、羽づやが失われている。
最も適切な対応はどれか
- 川魚をやめれば治ると考え、給餌を変えて2週間様子を見る
- 水分不足と考え、飲み水に砂糖を溶かして与える
- 人用の虫下しを砕いて魚に混ぜ、様子を見る
- 便の写真と虫のサンプルを取り、当日中に糞便検査と受診を受ける
正解D.便の写真と虫のサンプルを取り、当日中に糞便検査と受診を受ける
解説野生で捕った魚は寄生虫や病原体の持ち込み源で、マニュアルでは明確に禁止されている。下痢、痩せ、羽づやの悪化、便中の虫は寄生虫感染の典型サインで、便の色や形が明らかに異常な場合は当日中の受診に該当する。便と虫のサンプルは診断に不可欠なので保存して持参する。給餌を変えるだけでは体内の寄生虫は減らず、10%の体重減少はすでに危険域である。砂糖水は原因の解決にならない。人用の駆虫薬は種と体重に合わない用量で中毒を起こす。
課題「新鮮なら良い」という誤った善意で野生の魚が持ち込まれ、給餌ルールが職員間で徹底されていなかった。便の変化と体重減少を1週間放置し、年数回の糞便検査の習慣もなかった。
改善案餌は検疫された養殖魚に限定し、持ち込み禁止を給餌マニュアルに明記して全職員に周知する。便の色・形を毎日記録し、変化があれば写真を撮って獣医師に共有する。年数回の定期糞便検査と月1回の体重測定を計画に組み込む。
Q6餌を吐き出し首を伸ばして苦しそう病気
4月の午前11時、給餌直後。18歳のオスに骨の太い大型ナマズを丸ごと1匹与えた。飲み込もうとした直後から首を前に長く伸ばし、口を開けたまま首を振っている。途中まで吐き出したがまだ何か残っているようで、うずくまり始めた。
この場で最初に取るべき行動はどれか
- 自然に出るのを待ち、次の給餌まで放置する
- 食道閉塞を疑い、餌を止めて鳥類専門の獣医師に即連絡し搬送準備をする
- 水を大量に飲ませて魚を胃に押し流す
- 嘴を素手で開けて指を入れ、魚を引き抜く
正解B.食道閉塞を疑い、餌を止めて鳥類専門の獣医師に即連絡し搬送準備をする
解説骨の大きな魚を丸ごと与えると食道閉塞を起こすとマニュアルは警告している。首を伸ばして飲み込めない状態は「今すぐ連絡」の異物サインで、放置すれば窒息や食道損傷につながる。餌を止め、鳥類専門獣医師に連絡し、暗い搬送箱を準備する。待つのは危険。水を流し込むと誤嚥を起こす。素手で嘴に手を入れるのは嘴の打撃による重傷と、無理な牽引による食道裂傷の両方の危険があり厳禁である。
課題個体の飲み込める大きさを考えずに骨の太い大型魚を丸ごと与えた。餌のサイズ基準が給餌担当に共有されておらず、異物サインが出た時の連絡先と搬送手順も事前に整っていなかった。
改善案魚の大きさと種類の基準を写真付きで給餌場に掲示し、大型魚は切り分けるか避ける。鳥類専門獣医師の緊急連絡先と搬送箱を給餌場の近くに常備する。給餌後10分は飲み込みの完了を観察してから離れる。
Q7嘴の先にひびが入り餌をつかめない病気
9月の週1回の嘴点検で、25歳のメスの上嘴先端に縦のひびと小さな欠けを見つけた。ここ数日、池に放した生魚を何度もつかみ損ね、給餌量が普段の半分に落ちている。出血はないが、ひびの周囲の角質が白っぽく浮いている。
適切な対応はどれか
- ひびを瞬間接着剤で埋め、そのまま給餌を続ける
- 自然に治ると考え、点検を続けながら3か月待つ
- ひびを撮影し、柔らかく小さめの魚に切り替えて数日以内に受診する
- 餌が取れないので魚をすりつぶして口に流し込む
正解C.ひびを撮影し、柔らかく小さめの魚に切り替えて数日以内に受診する
解説嘴のひび・欠け・変形と餌をつかみ損ねる行動は、マニュアルが挙げる嘴・角質異常のサインである。給餌量が半減しており栄養状態の悪化が進むため、写真で記録し、つかみやすい小さめの魚に変えて数日以内に受診する。獣医師が補修や栄養評価を行う。市販接着剤は角質を傷め、成分が有害である。3か月の放置はひびが広がり嘴の骨折につながる。流し込み給餌は誤嚥とストレスの危険が高く、専門家の判断なしに行うべきでない。
課題ひびの原因となる硬い柵への衝突や栄養の偏りが背景にある可能性を検討していなかった。給餌量の減少が数日続いていたのに、嘴の異常と結びつけて早期に報告する仕組みがなかった。
改善案柵に視認テープと緩衝材を付け、急な接近で驚かせない動線にする。給餌量を毎回記録し、2日連続で減れば獣医師に報告する。嘴点検は写真で残し前回と比較する。栄養バランスを獣医師と見直し、換羽期は強化する。
Q8柵に激突し嘴から出血した怪我
5月の午後3時、団体見学中に子どもが柵を叩き、驚いた10歳のオスが飛び上がって金網に正面から衝突した。落ちた後、上嘴の側面が裂けて血が滴り、頭を振って血が飛び散っている。個体は柵の隅で羽をふくらませて動かない。
最初に取るべき行動はどれか
- 来園者を遠ざけ、清潔なガーゼで軽く圧迫止血し、暗く静かにして当日中に受診する
- 出血が止まるまで魚を与えて落ち着かせる
- 止血のため嘴を素手で握って押さえ続ける
- 少量の出血なので放置し、翌朝の点検で確認する
正解A.来園者を遠ざけ、清潔なガーゼで軽く圧迫止血し、暗く静かにして当日中に受診する
解説嘴の裂傷はマニュアルで「清潔なガーゼで軽く圧迫、餌を与えず暗い場所で安静、当日中に受診」と定められている。まず刺激源である来園者を遠ざけ、可能なら布で遮蔽して圧迫止血する。嘴の内部には血管と神経が通り、出血が止まらなければ「今すぐ連絡」に該当する。餌を与えると傷口を刺激し出血が増える。素手で嘴を握るのは打撃による人の重傷と個体のパニックを招く。放置は感染と嘴の変形の原因になる。
課題団体見学時に柵を叩く行為を防ぐ監視体制がなく、柵に視認テープや緩衝材が付いていなかった。驚いたときの衝突を想定した観覧ルールの周知と、飼育場の構造対策の両方が不足していた。
改善案柵に視認テープと緩衝材を設置し、観覧側との間に距離を取る二重柵にする。団体見学時は職員を配置し、叩く・大声を出さないルールを事前に説明する。止血用ガーゼと搬送箱を飼育場近くに常備する。
Q9扉に翼を挟んで片翼が垂れている怪我
1月の朝8時、屋内と屋外をつなぐ引き戸を1人で閉めた際、扉の陰にいた7歳のメスの左翼を挟んだ。個体は跳ねて逃げ、その後左翼が地面近くまで垂れ下がったまま歩いている。翼を持ち上げようとせず、時々嘴を打ち鳴らして威嚇している。
この状況で適切な対応はどれか
- 翼を自分で動かせるか確かめるため、追いかけて飛ばせてみる
- 垂れた翼を素手で引っ張って元の位置に戻す
- 熟練者2人で布で包んで翼を体に沿わせて固定し、暗い箱で搬送して受診する
- 痛みが引くまで屋外に出さず、1週間後に獣医師へ相談する
正解C.熟練者2人で布で包んで翼を体に沿わせて固定し、暗い箱で搬送して受診する
解説垂れ下がった翼は骨折か脱臼のサインで、マニュアルでは「翼を体に沿わせて布で固定し、暗いケージで搬送」と定め、骨折は「今すぐ連絡」に該当する。捕獲は熟練者が布で包んで行い、ショックを防ぐため暗く静かに搬送する。飛ばせて確かめるのは骨折を悪化させ、無理な引き戻しは神経や血管を損傷する。1週間の放置は骨が誤った位置で固まり、飛翔や平衡機能を永久に失う。
課題扉の開閉を1人で行い、個体の位置を確認しなかった。マニュアルは扉の開閉を2人で行い個体の位置を確認するよう定めているが、朝の作業の人手不足で手順が省略されていた。
改善案扉の開閉は必ず2人で、1人が個体の位置を目視して合図する手順を徹底する。扉には挟み込み防止のストッパーと透明窓を付け、開閉前に扉の陰を確認する。搬送用の暗い木箱と包み布を施設に常備し、年1回捕獲訓練を行う。
Q10池の石で足を切り血が止まらない怪我
7月の午前、池の改修工事で割れた石が底に残っていた。9歳のオスが池から上がると右趾の付け根から血が流れ、歩くたびに草地に血痕がつく。個体は立ったまま右足を浮かせ、5分たっても出血は続いている。
最初に取るべき行動はどれか
- 出血部位を清潔なガーゼで5分以上圧迫し、止まらなければ圧迫したまま搬送する
- 消毒液を傷口にたっぷりかけて自然に止まるのを待つ
- 止血のため脚の付け根をひもで強く縛って放置する
- 池の水で洗い流し、傷が乾くまで池に入れないようにする
正解A.出血部位を清潔なガーゼで5分以上圧迫し、止まらなければ圧迫したまま搬送する
解説脚の外傷はマニュアルで「圧迫止血」、止まらなければ「圧迫を続けたまま搬送」と定められている。清潔なガーゼで5分以上しっかり圧迫し、止血できなければ「出血が止まらない」は今すぐ受診の基準に該当する。消毒液を大量にかけても止血にはならず、組織を傷める。脚全体を縛ると血流が止まって壊死を起こす。池の水にはサルモネラなどが含まれ、傷口からの感染を招く。片足で立ち続ける場合は骨折も疑い当日中に受診する。
課題池の改修後に底の点検を行わず、鋭い石が残された。マニュアルは水場の底に鋭い石を置かないと定めているが、工事担当と飼育担当の間で完了確認の手順がなかった。
改善案工事後は飼育担当が水を抜いた状態で底面を手で確認してから個体を戻す。池底は丸い砂利か滑らかな素材で仕上げる。止血用ガーゼと搬送箱を常備し、出血時の圧迫止血と搬送手順を全員が実演訓練で身につける。
Q11捕獲後にぐったりして目を閉じている怪我
3月、健康診断のため経験の浅い職員3人が30分かけて13歳のメスを追い回して捕獲した。検査後に放したが、個体は飼育場の隅で翼を半開きにして座り込み、目を閉じたまま呼びかけに反応しない。開口呼吸で胸の動きが速い。
この状況で最も適切な対応はどれか
- 疲れただけなので魚を目の前に置き、食べるのを待つ
- 元気づけるためもう一度捕まえて水場へ運ぶ
- 捕獲ストレスによるショックを疑い、暗く静かにして獣医師の判断を仰ぐ
- 他の職員に見せるため個体の周りに集まって観察する
正解C.捕獲ストレスによるショックを疑い、暗く静かにして獣医師の判断を仰ぐ
解説無理な捕獲は死につながるとマニュアルは警告し、捕獲後にぐったりした場合は暗く静かな場所に置いて獣医師の判断を仰ぐと定めている。開口呼吸と反応の低下はショック状態のサインで、直ちに人を遠ざけ、刺激を最小にし、獣医師に状態を伝えて指示を受ける。餌を置いて待つのは時間の浪費。再捕獲はストレスを重ねて死亡リスクを高める。人が集まると視覚刺激で状態が悪化する。長時間の追い回しは筋肉損傷(捕獲性ミオパチー)も起こす。
課題経験の浅い職員だけで30分も追い回す捕獲を行い、熟練者の関与と事前計画がなかった。ターゲット訓練による自主的な移動という代替手段が準備されておらず、ショックへの対応手順も共有されていなかった。
改善案健診は日常のターゲット訓練で個体を自主的に検査室へ移動させる方法を確立する。捕獲が必要な時は熟練者が主導し、布で包んで5分以内に終える計画を立てる。捕獲後30分は暗い場所で観察し、開口呼吸が続けば獣医師へ即連絡する。
Q12換羽期に羽軸から血が出ている怪我
8月の換羽期、16歳のオスが茂みの枝に翼をこすりつけた後、風切羽の根元から血がにじみ続けている。羽は途中で折れて垂れ下がり、地面に点々と血が落ちている。個体は羽をつつき続けて出血を広げている。
適切な対応はどれか
- 折れた羽をそのまま放置し、自然に抜け落ちるのを待つ
- 羽軸の根元を清潔なガーゼで圧迫し、止まらなければ獣医師の指示で羽を抜くか受診する
- 折れた羽をハサミで短く切り、断面に消毒液をかける
- 個体を追い回して捕まえ、素手で羽を引き抜く
正解B.羽軸の根元を清潔なガーゼで圧迫し、止まらなければ獣医師の指示で羽を抜くか受診する
解説成長中の羽軸には血管が通り、折れると出血が止まりにくい。マニュアルでは「羽軸からの出血は根元を圧迫し必要なら抜く」とし、止まらなければ圧迫したまま搬送するよう定めている。まず根元を圧迫し、個体がつつき続けて悪化するなら獣医師の指示で処置する。放置は失血と感染の原因になる。切断しても血管は残り出血は続く。追い回して素手で抜くのは捕獲ショックの危険が大きく、嘴による受傷もあるため熟練者2人以上で布を使う。
課題換羽期に羽軸が傷つきやすい時期であるのに、茂みの枝の硬さや突起の点検がされていなかった。羽軸出血が止まりにくいことと、その処置手順が担当者に十分知られていなかった。
改善案換羽期前に飼育場内の枝や柵の突起を点検し、鋭い部分を除去する。換羽期は羽と皮膚の状態を週1回記録し、栄養を強化する。羽軸出血の圧迫止血と搬送手順を年1回の救急訓練に組み込み、止血材を常備する。
Q13天井ネットの破れから飛び出した事故
9月の台風翌朝、飼育場の天井ネットに1m大の破れがあり、11歳のメスの姿がない。近くの職員が園外の川沿いの葦原の方角へ大きな鳥が飛んでいくのを目撃した。園の裏手に幅20mの川と湿地帯がある。
最初に取るべき行動はどれか
- SNSで市民に目撃情報を呼びかけ、見つけた人に捕まえてもらう
- 職員全員で川に向かい、見つけ次第大声で追い立てて追い込む
- 近くの水辺を静かに捜索し、行政と獣医師へ直ちに連絡して捕獲計画を立てる
- 自力で戻ってくると考え、飼育場の扉を開けて餌を置いて待つ
正解C.近くの水辺を静かに捜索し、行政と獣医師へ直ちに連絡して捕獲計画を立てる
解説マニュアルは逸走時に「近くの水辺を捜索し、行政と獣医師に連絡」と定めている。ハシビロコウは湿地性で、水辺に降りて待ち伏せ姿勢を取る可能性が高い。CITES附属書II種であり行政への報告義務があり、捕獲はショック死を防ぐため獣医師と熟練者が計画する。市民に捕獲を頼むのは嘴による重傷事故と個体の死亡につながる。大勢で追い立てると再び飛び立ち遠方へ逃げるか、衝突事故を起こす。餌を置いて待つだけでは車や野犬による事故のリスクが高い。
課題台風後に天井ネットの点検を行わずに個体を屋外に出した。マニュアルは天井ネットの毎日点検を求めているが、荒天後の特別点検と屋内退避のルールがなかった。逸走時の連絡先や捕獲計画も事前に整備されていなかった。
改善案荒天の前後は個体を屋内に収容し、天井ネットと柵の全周点検が完了してから屋外に出す。逸走時の行政・獣医師・警察の連絡先と役割分担、捕獲用の布や搬送箱の保管場所を記した逸走対応計画を作成し、年1回訓練する。
Q14段差から落ちて足を引きずる事故
10月の午後、展示場の改修で新設した高さ80cmの岩の見晴らし台から、19歳のオスが飛び降りて着地に失敗した。その後、左脚を引きずりながら歩き、立ち止まると左足を浮かせて右足だけで立っている。脚に外傷は見えない。
適切な対応はどれか
- 外傷がなければ問題ないと考え、翌週の定期点検まで待つ
- 動かした方が回復すると考え、給餌場を遠くに置いて歩かせる
- 痛み止めとして人用の鎮痛剤を魚に混ぜて与える
- 歩行距離を減らし、片足立ちが続くなら骨折を疑って当日中に受診する
正解D.歩行距離を減らし、片足立ちが続くなら骨折を疑って当日中に受診する
解説マニュアルは段差からの落下で脚を痛めることを警告し、片足で立ち続けるなら骨折を疑い当日中に受診するよう定めている。外傷が見えなくても骨折や関節の脱臼は起こる。歩行距離を減らし、脚の状態を動画で記録して獣医師に伝える。翌週まで待つと骨折がずれて治癒が困難になる。無理に歩かせると悪化する。人用の鎮痛剤は鳥に対する用量が異なり、腎障害や消化管出血を起こす危険があるため厳禁である。
課題改修時に高さ80cmの見晴らし台を設置し、マニュアルが禁止する高い止まり木や急な段差を作ってしまった。飼育場の改修計画に飼育担当と獣医師の安全審査が入っていなかった。
改善案飼育場内の段差は緩やかな斜面にし、高い台は撤去する。改修計画は飼育担当と獣医師が事前に安全確認する手順を設ける。落下後は片足立ちや歩行の変化を動画で記録し、当日中に獣医師へ相談する基準を掲示する。
Q15野犬が飼育場の底網を掘って侵入事故
12月の早朝5時、夜間警備員から「飼育場に犬がいる」と連絡。駆けつけると柵の下の底網が掘り返され、中型の野犬1頭が5歳のメスに向かってうなっている。個体は嘴を打ち鳴らして威嚇し、翼を広げて後退している。まだ接触はない。
最初に取るべき行動はどれか
- 個体を捕まえて外へ運び出すため、飼育場の中へ走って入る
- 大きな音や光で犬を退避させ、侵入口を塞いだ後に個体の外傷とショックを確認する
- 犬が去るまで外で見守り、明るくなってから対応する
- 犬に餌を投げて気をそらし、そのまま出ていくのを待つ
正解B.大きな音や光で犬を退避させ、侵入口を塞いだ後に個体の外傷とショックを確認する
解説まず捕食者を安全に排除することが優先で、大きな音や光で犬を追い払い、侵入口を塞いで再侵入を防ぐ。その後、個体の翼や脚の外傷、開口呼吸などのショックサインを確認し、異常があれば獣医師へ連絡する。飼育場に走り込むと個体が驚いて柵に衝突し、興奮した犬に自分が咬まれる危険もある。見守るだけでは攻撃を許す。餌を与えると犬が居つき、再侵入の原因になる。野犬は狂犬病やレプトスピラなどの感染源でもある。
課題柵の底網の埋め込み深さが不十分で、野犬の掘り返しを防げなかった。マニュアルは野犬・キツネの侵入を柵と底網で防ぐよう定めているが、地面との境界の定期点検が行われていなかった。
改善案底網は地中に30cm以上埋め、月1回掘り返し痕を点検する。夜間は個体を屋内施設に収容し、屋外には侵入センサーや照明を設置する。侵入時の対応手順(追い払い、封鎖、個体確認、獣医師連絡)を警備員と共有する。
Q16巣台で親が卵を踏み割った事故
繁殖期の6月、狭い斜面に作られた巣台で抱卵中の14歳のメスが、来園者の声に驚いて立ち上がった際に2個の卵のうち1個を踏み割った。割れた卵の殻と中身が巣に残り、親は落ち着かず巣の周りを歩き回っている。もう1個は無事に見える。
適切な対応はどれか
- 直ちに巣に入り、割れた卵と無事な卵の両方を回収して人工孵化に切り替える
- 親が落ち着くのを待たず、巣台を作り替えるため巣を撤去する
- 残った卵を親に任せ、人の接近を減らして観察し、獣医師と巣台の改善を相談する
- 割れた卵をそのまま放置し、繁殖が終わるまで巣に近づかない
正解C.残った卵を親に任せ、人の接近を減らして観察し、獣医師と巣台の改善を相談する
解説マニュアルは親がヒナや卵を踏むことがあると警告し、繁殖期は巣台を平らで広くするよう定めている。無事な卵が残る以上、親の抱卵を最優先し、驚かせた原因である人の接近を減らす。割れた卵の残骸は腐敗と細菌繁殖の原因になるため、親が巣を離れた短時間に静かに除去する。獣医師と相談して巣台の改善時期を決める。両方回収するのは親の育児放棄と繁殖の失敗につながる。抱卵中の巣撤去は論外である。腐敗した残骸の放置は残った卵の汚染を招く。
課題巣台が狭く斜面に作られており、マニュアルが求める平らで広い構造になっていなかった。繁殖期に人の視線と声を遮る衝立や来園者の距離制限がなく、親を驚かせる環境要因が放置されていた。
改善案繁殖期前に浅瀬の草地へ平らで広い巣台を作り、周囲に茂みや衝立を配置する。抱卵中は観覧エリアを制限し、静かに観察するよう掲示する。巣の観察は遠隔カメラで行い、繁殖期の対応手順を獣医師と事前に共有する。
Q17釣り糸をくわえて首を伸ばしている中毒・誤飲
5月の連休、隣接する池から来園者が持ち込んだ釣り糸が飼育場に落ちていた。22歳のオスがそれをくわえ、飲み込もうとして首を長く伸ばし、口を開けて何度も吐き戻す仕草をしている。嘴の端から糸の一部が見えている。
この場で最初に取るべき行動はどれか
- 見えている糸を引っ張って抜き取る
- 糸を引っ張らず、餌を止めて鳥類専門獣医師に即連絡し、暗い箱で搬送準備をする
- 魚を与えて糸を胃に押し流す
- 糸は自然に排出されるので、翌日の便を確認する
正解B.糸を引っ張らず、餌を止めて鳥類専門獣医師に即連絡し、暗い箱で搬送準備をする
解説マニュアルは釣り糸やビニールの誤飲を警告し、吐き戻しや首を伸ばす仕草があれば即受診と定めている。釣り糸は消化管に絡まり、引っ張ると食道や腸を切り裂く。針が付いている可能性もある。糸には触れず、餌を止めて鳥類専門獣医師に連絡し、内視鏡や画像検査で安全に除去してもらう。餌で押し流すのは腸閉塞や穿孔を起こす。自然排出を待つのは糸が腸に絡んで壊死を起こす最悪の展開を招く。
課題連休で来園者が増えたにもかかわらず、隣接する池からの持ち込み物を防ぐ対策と飼育場内のごみ点検が不足していた。マニュアルは飼育場のごみを毎日除去するよう定めているが、混雑日の追加点検がなかった。
改善案飼育場のごみ点検を朝夕2回、混雑日は昼にも追加する。隣接する池の釣り禁止を掲示し、観覧側に物を落とせない構造の柵を設ける。誤飲時は引っ張らず即受診する手順と獣医師の連絡先を飼育場に掲示する。
Q18鮮度の落ちた魚を与えた後ふらつく中毒・誤飲
8月の猛暑日、冷蔵庫の故障で半日常温に置かれたティラピアを、担当者が気づかず17歳のメスに与えた。夕方になり個体がふらつき、首を左右に小刻みに揺らしている。餌の残りからは酸っぱいにおいがし、魚の表面がぬるついている。
最も適切な対応はどれか
- 残った魚を全て廃棄し、暗く静かにして餌の状態を記録のうえ直ちに獣医師へ連絡する
- 吐かせるため塩水を口に流し込む
- 様子を見て翌朝もふらつくなら受診する
- 人用の整腸剤を魚に混ぜて与える
正解A.残った魚を全て廃棄し、暗く静かにして餌の状態を記録のうえ直ちに獣医師へ連絡する
解説鮮度の落ちた魚は脂肪酸化によるビタミン欠乏だけでなく、ヒスタミンや細菌毒素による急性中毒を起こす。ふらつきと首の異常な動きは「けいれん・首が曲がる」に準じる緊急サインで、暗く静かにして餌の内容を記録し即受診とマニュアルは定めている。残った魚は原因の証拠として一部を保存し、残りは廃棄する。塩水を流し込むと誤嚥と塩中毒を起こす。翌朝まで待つと神経症状が進行する。人用の薬は種と体重に合わず害になる。
課題猛暑日に冷蔵庫の故障を検知する仕組みがなく、給餌前に魚の鮮度を確認する手順が省略されていた。マニュアルは鮮度の落ちた魚を禁忌としているが、温度管理の記録と異常時の代替餌の準備がなかった。
改善案餌用冷蔵庫に温度記録計と警報を付け、給餌前に魚のにおいと表面を確認する項目をチェック表に入れる。予備の冷凍魚を別の冷凍庫に確保し、故障時の代替手順を決める。中毒が疑われる時は餌のサンプル保存と即受診を徹底する。
Q19除草剤散布後に池の水を飲んで下痢中毒・誤飲
6月の朝、園の造園業者が飼育場の隣接通路に除草剤を散布し、雨で薬剤が池に流れ込んだ。昼過ぎに池の水を飲んだ9歳のオスが緑色の水様便を頻繁に出し、羽をふくらませてじっとしている。呼吸はやや速い。
最初に取るべき行動はどれか
- 池の水を追加して薄めれば十分と考え、個体はそのままにする
- 個体を池から遠ざけ、池を隔離して薬剤名を確認し、獣医師へ直ちに連絡する
- 下痢止めとして人用の薬を与える
- 水を飲まなければ治ると考え、水場を全て撤去して翌日まで待つ
正解B.個体を池から遠ざけ、池を隔離して薬剤名を確認し、獣医師へ直ちに連絡する
解説農薬の流入による中毒が強く疑われる。まず個体を汚染源から遠ざけ、池を隔離し、業者から薬剤名と成分を確認して獣医師に伝えることが治療の鍵となる。清潔な飲み水を別に用意する。急な下痢と元気消失は当日受診、呼吸の変化があれば今すぐ連絡の基準に該当する。薄めるだけでは摂取した薬剤への対処にならない。人用の下痢止めは毒物の排出を妨げ、種に合わない。水場の全撤去は湿地性の鳥に脱水と強いストレスを与える。
課題造園業者と飼育部門の間で薬剤散布の情報共有がなく、飼育場周辺への薬剤使用が制限されていなかった。雨天時の流入リスクを想定した排水構造や、散布後の水質確認の手順もなかった。
改善案飼育場から一定距離内の薬剤散布を禁止し、業者への作業許可制を導入する。散布計画は事前に飼育担当へ通知し、雨予報の日は行わない。池には流入防止の排水溝を設け、散布後は水を交換して記録する。薬剤名の一覧を獣医師と共有する。
Q20真冬の停電で屋内温度が急降下環境・災害
1月の深夜2時、大雪で園全体が停電し、屋内施設の暖房が止まった。当直が1時間後に気づくと室温は8℃まで下がり、23歳のオスが羽をふくらませて震え、給餌台の魚に手をつけていない。復旧の見込みは不明。
最初に取るべき行動はどれか
- 電気の復旧を待ち、朝の出勤時に状態を確認する
- 個体を捕まえて職員の休憩室のストーブの前に置く
- 非常用電源かカセット式暖房で15℃以上に戻し、毛布で隙間風を遮って獣医師へ連絡する
- 熱湯を入れたバケツを複数置いて室内を急速に温める
正解C.非常用電源かカセット式暖房で15℃以上に戻し、毛布で隙間風を遮って獣医師へ連絡する
解説マニュアルは冬季15℃以上の屋内施設を求め、10℃以下は危険と定めている。8℃で震えと食欲不振が出ており低体温の初期段階である。非常用電源や燃焼式暖房(換気と一酸化炭素対策を確保)で室温を徐々に15℃以上へ戻し、毛布や板で隙間風を遮り、獣医師へ状態を報告する。朝まで放置すれば低体温が進行する。捕獲はショック死の危険があり、ストーブの直前は火傷の恐れがある。熱湯バケツは急激な加温と高湿でかえって体調を崩し、火傷や転倒事故も招く。
課題非常用電源と停電時の暖房手段が準備されておらず、停電検知から1時間対応が遅れた。マニュアルが定める15℃以上の維持を停電時にどう担保するかの計画がなく、当直の対応手順も決まっていなかった。
改善案発電機か蓄電池を暖房系統に接続し、停電時に自動で作動する仕組みを整える。温度低下を警報で当直に通知する装置を設置し、カセット式暖房と毛布を屋内施設に常備する。停電対応手順と獣医師連絡の基準を当直マニュアルに記載する。
Q21地震で屋外飼育場の柵が傾いた環境・災害
4月の午後、震度5強の地震が発生。屋外飼育場の金網の一部が傾き、天井ネットの支柱が1本折れて隙間ができた。8歳のメスは池のそばで翼を広げて硬直し、嘴を激しく打ち鳴らしている。余震が続いており、園は来園者の避難対応中。
最初に取るべき行動はどれか
- まず職員自身の安全を確保し、遠くから個体の状態を確認しつつ隙間を布や板で応急封鎖して逸走を防ぐ
- 個体を落ち着かせるため飼育場に入って抱きかかえる
- 避難対応が終わるまで飼育場を放置し、翌日に点検する
- 余震の前に個体を捕まえてトラックで別の施設へ運ぶ
正解A.まず職員自身の安全を確保し、遠くから個体の状態を確認しつつ隙間を布や板で応急封鎖して逸走を防ぐ
解説災害時は職員の安全確保が最優先で、その上で逸走防止を行う。天井ネットの破れは致命的とマニュアルは警告しており、飛べる本種は隙間から逃げる。遠くから状態を確認し、複数人で布や板を使って隙間を応急封鎖する。パニック状態の個体は嘴による打撃の危険が高く、抱きかかえるのは重傷とショック死につながる。放置は逸走と余震での二次被害を招く。余震の中で捕獲・輸送するのはストレスと事故のリスクが最大で、獣医師の判断なしに行うべきでない。
課題地震時の逸走防止と個体の安全確保について、園の避難計画に動物対応の役割分担がなく、応急封鎖用の資材も準備されていなかった。柵と支柱の耐震性の点検も行われていなかった。
改善案災害対応計画に動物担当を明記し、来園者対応と飼育場確認の担当を分ける。応急封鎖用の板・布・結束バンドを飼育場近くに常備する。柵と支柱の耐震点検を年1回行い、地震後の点検チェック表と獣医師への報告手順を整備する。
Q22飼育場の隣で野鳥が複数死んでいた感染症・衛生
11月の朝、屋外飼育場の隣の池でカモ3羽が死んでいるのを見つけた。天井ネットの一部がたるみ、飼育場内にカモの羽と糞が落ちている。19歳のオスは今のところ元気で餌も食べているが、担当者は鳥インフルエンザを心配している。
最初に取るべき行動はどれか
- 死んだカモを素手で袋に入れて処分し、飼育場を通常通り清掃する
- 死体に触れず行政と獣医師へ通報し、個体を屋内に隔離して防護具で立ち入りを制限する
- 個体が元気なので特に対応せず、数日様子を見る
- 念のため個体に人用の抗ウイルス薬を与える
正解B.死体に触れず行政と獣医師へ通報し、個体を屋内に隔離して防護具で立ち入りを制限する
解説野鳥の異常死は鳥インフルエンザの疑いがあり、マニュアルは「異常死があれば行政へ通報」と定めている。死体に触れず、行政と獣医師に通報し、個体を屋内に隔離して野鳥との接触を断つ。立ち入りは防護具を着けた最小限の職員に限定し、靴底と器具を消毒する。素手で処分すると人への感染と園内への拡散を招く。個体が元気でも潜伏期があるため放置は危険。人用の薬は種に合わず、行政の検査結果を待たずに投与するのは不適切である。
課題天井ネットのたるみで野鳥の侵入を許し、糞と羽が飼育場内に落ちる状態を放置していた。マニュアルは野鳥の侵入防止ネットと毎日の点検を求めているが、渡り鳥の季節の強化点検と発生時の隔離手順がなかった。
改善案天井ネットを毎日点検し、渡り鳥の季節は目の細かいネットを二重にする。野鳥の異常死を見つけた時の通報先と隔離手順、防護具の保管場所を記した対応表を掲示する。飼育場の出入口に消毒槽を設け、担当職員を固定する。
Q23乾いた糞を掃いた職員が発熱した感染症・衛生
3月、屋内施設の床に乾いてこびりついた糞を、新人職員がマスクなしでほうきで掃き、粉じんが舞う中で30分作業した。1週間後、その職員が高熱と乾いた咳、頭痛で休んでいる。個体は羽をふくらませて食欲が落ちている。
適切な対応はどれか
- 職員には風邪と伝え、清掃方法は変えずに他の職員に引き継ぐ
- 職員に鳥との接触歴を伝えて医療機関を受診させ、個体も獣医師に検査を依頼し清掃は糞を湿らせてマスクで行う
- 個体をすぐに屋外へ出して施設を換気し、それ以上の対応はしない
- 床を消毒液で拭き、職員が回復するまで待つ
正解B.職員に鳥との接触歴を伝えて医療機関を受診させ、個体も獣医師に検査を依頼し清掃は糞を湿らせてマスクで行う
解説乾いた糞や羽の粉じんの吸入で人に感染する鳥クラミジア症(オウム病)が強く疑われる。マニュアルは清掃時のマスク着用と糞を湿らせて除去することを定めている。職員には鳥との接触歴を医師に伝えて受診させ、個体も食欲低下があるため獣医師の検査を受ける。以後の清掃は糞を湿らせ、マスクと手袋で行う。風邪扱いは診断を遅らせ重症化させる。個体を出すだけでは感染源の糞が残る。消毒だけで人の受診を後回しにするのは危険である。
課題新人職員への人獣共通感染症の教育と防護具の着用指導がなく、乾いた糞を粉じんが舞う方法で掃除させた。糞を毎日除去し湿らせて処理するというマニュアルの手順が現場で徹底されていなかった。
改善案新人研修に人獣共通感染症の内容を組み込み、清掃時のマスク・手袋・長靴の着用を義務化する。糞は毎日湿らせてから除去し、乾燥させない。職員が発熱した際は鳥との接触歴を医師に伝えるよう周知し、園の産業医と情報を共有する。
Q24水場でうつ伏せになり動かない救命救急
7月の夕方、閉園後の見回りで21歳のメスが浅い池の縁でうつ伏せに倒れているのを発見した。呼びかけても視線が動かず、嘴から粘液が出ている。胸の上下はごくわずかで、1分に10回ほどしか確認できない。周囲に外傷は見えない。
この場で最初に取るべき行動はどれか
- 胸を強く圧迫して心臓マッサージを開始する
- 気道を確保して口内の粘液を除き、暗く静かな場所で保温しつつ獣医師へ電話で指示を仰ぐ
- 水をかけて意識を戻そうとする
- 動画を撮影して獣医師に送り、返信を待つ
正解B.気道を確保して口内の粘液を除き、暗く静かな場所で保温しつつ獣医師へ電話で指示を仰ぐ
解説安静時の呼吸数は1分20〜30回で、10回は重度の呼吸抑制である。マニュアルは鳥は気嚢構造で胸骨圧迫が難しく骨折リスクがあると警告し、まず気道を確保して口内の粘液や異物を除き、暗く静かな場所で保温し、酸素があれば吸入、呼吸停止時は獣医師の電話指示で処置と定めている。胸骨圧迫を自己判断で行うと胸骨や肋骨を折り、気嚢を損傷する。水をかけるのは刺激と低体温を招く。動画を送って返信を待つのは救命の時間を失う。電話で直接指示を受ける。
課題閉園後の見回りまで発見が遅れ、日中の異変を捉える観察が不足していた。鳥類の救命処置の手順(気道確保・保温・獣医師の電話指示)が担当者に十分訓練されておらず、酸素や搬送箱などの救急資材も飼育場に備わっていなかった。
改善案日中の観察を2時間ごとに行い、閉園前に最終確認する。鳥類用の気道確保と保温の手順を年2回訓練し、酸素ボンベ、搬送箱、毛布を飼育場に常備する。獣医師の夜間緊急連絡先を掲示し、電話で指示を受けながら処置する体制を整える。
Q25夜間に嘴と翼から出血し搬送が必要救命救急
冬の夜9時、屋内施設で物音に驚いた12歳のオスが壁に衝突し、嘴の先端と右翼から出血している。ガーゼで5分圧迫したが翼からの出血は続き、翼は垂れたまま。鳥類専門の獣医師は車で40分の場所にいて「すぐ連れてきてほしい」と言われた。
搬送の方法として最も適切なものはどれか
- 圧迫を続けたまま布で翼を体に沿わせ、大型の暗い木箱に入れて毛布で保温し、頭を高くして揺れを避けて運ぶ
- 出血が止まってから翌朝に搬送する
- 軽トラックの荷台に乗せ、風を当てて意識を保たせて運ぶ
- 目が見える方が安心するので、透明のケージに入れて明るい車内で運ぶ
正解A.圧迫を続けたまま布で翼を体に沿わせ、大型の暗い木箱に入れて毛布で保温し、頭を高くして揺れを避けて運ぶ
解説マニュアルは出血が止まらない場合は圧迫を続けたまま搬送し、搬送は大型の暗い木箱かケージに布で翼を体に沿わせ、冬は毛布で保温、頭を高くして揺れを避けると定めている。暗さは視覚刺激を遮りショックを防ぎ、翼の固定は骨折の悪化を防ぐ。翌朝まで待つのは失血と骨折の悪化を招く。荷台で風に当てると低体温とストレスで危険。透明で明るい環境は鳥にとって強い刺激となり、暴れて出血と骨折を悪化させる。
課題夜間の物音で個体が驚く環境要因が残っており、壁に緩衝材がなかった。搬送用の木箱や毛布、翼を固定する布が事前に準備されておらず、夜間の搬送手順が担当者間で共有されていなかった。
改善案屋内施設の壁と柵に緩衝材を付け、夜間の作業音や照明の急な変化を避ける。搬送用の暗い木箱、包み布、毛布、止血材を1セットにして施設に常備する。夜間搬送の運転手と同乗者の連絡網を作り、年1回搬送訓練を行う。
Q2624時間何も食べず魚を池に残している病気
2月の朝、屋内飼育の30歳のオス。昨日の朝と夕方に池へ放した魚がそのまま泳いでおり、丸1日食べていない。個体は茂みの陰で羽をふくらませ、ほとんど動かない。魚の鮮度と大きさは普段通りで、室温は18℃、便は少量で白っぽい。
最も適切な対応はどれか
- 高齢なので食欲が落ちるのは当然と考え、1週間様子を見る
- 食欲を出すため好物の大型ナマズを丸ごと与える
- 無理に食べさせようと魚を口に押し込む
- 餌の状態と便の写真を記録し、24時間絶食のため当日中に受診する
正解D.餌の状態と便の写真を記録し、24時間絶食のため当日中に受診する
解説マニュアルは「24時間食べなければ受診」と明記し、便の色の異常も当日受診の基準に挙げている。白っぽい便と羽をふくらませて動かない姿は消化器や全身疾患のサインで、30歳の高齢個体では急変が早い。餌の鮮度と大きさが問題ないことを確認済みなので、便と餌の記録、体重と呼吸の様子を持って当日中に受診する。1週間の様子見は脱水と衰弱を進める。骨の大きな魚を丸ごと与えるのは食道閉塞の危険がある。押し込みは誤嚥とストレスで危険である。
課題高齢個体であるにもかかわらず日々の給餌量と体重の記録が習慣化されておらず、食欲低下の初日に気づけなかった。「高齢だから」という思い込みで異常を正常と解釈するリスクが担当者にあった。
改善案給餌ごとに食べた魚の数と体重を記録し、1回でも残せば翌回までに再評価する。高齢個体は週1回の体重測定と便の写真記録を行う。24時間絶食で当日受診、便の異常で当日受診という基準を飼育場に掲示する。
Q27換羽期に体重が2週間で500g減った病気
9月の換羽期、屋外飼育の13歳のメス。餌は普段通り食べているように見えたが、週1回の体重測定で6.2kgから5.7kgに減っていた。羽で体型が隠れて外見の変化はわかりにくい。便は正常だが、給餌後に魚を何度も落とし、飲み込むまで時間がかかる。
適切な対応はどれか
- 換羽で一時的に減るだけと考え、次の測定まで対応しない
- 嘴と口内の状態、実際の摂取量を確認し、獣医師に数日以内に相談する
- 体重を戻すため餌の量を倍にして一気に食べさせる
- 運動不足と考え、飼育場内を追い回して動かす
正解B.嘴と口内の状態、実際の摂取量を確認し、獣医師に数日以内に相談する
解説マニュアルは体重減少が羽で隠れやすいと警告し、餌をつかみ損ねる・飲み込めない行動を嘴や口内の異常のサインとして挙げている。2週間で8%の減少は換羽の範囲を超えており、嘴の欠けや口内の炎症、寄生虫などの可能性を数日以内に獣医師と相談する。「食べているように見える」と実際の摂取量は異なるため、給餌後に残った魚を数える。放置は衰弱を進める。急な倍量給餌は消化不良を起こす。追い回すのはストレスと衝突事故の危険がある。
課題「食べているように見える」という印象に頼り、実際に飲み込んだ量を確認していなかった。換羽期は栄養強化が必要なのに、通常給餌のまま体重減少が2週間見過ごされた。
改善案給餌後に残った魚を数えて摂取量を記録し、体重は週1回測定して5%減少で獣医師に報告する。換羽期は獣医師の指導で栄養を強化する。給餌の様子を動画で記録し、飲み込みに時間がかかる場合は嘴と口内の点検を行う。
Q28冬の朝に震えて水場に入らない病気
12月の朝7時、外気温4℃。前夜に担当者が屋内への扉を閉め忘れ、5歳のメスが屋外飼育場で一晩を過ごした。個体は柵の隅で羽をふくらませ、小刻みに震えて動かない。呼びかけに反応は鈍く、いつも入る水場を避けている。
最初に取るべき行動はどれか
- 冷えているので熱い湯に体を浸けて温める
- 自力で屋内に戻るまで扉を開けて待ち、日中に様子を見る
- 静かに屋内の15℃以上の環境へ誘導し、徐々に温めながら獣医師へ連絡する
- 体を動かせば温まると考え、飼育場を追い回す
正解C.静かに屋内の15℃以上の環境へ誘導し、徐々に温めながら獣医師へ連絡する
解説マニュアルは10℃以下は屋内へ、冬は15℃以上と定め、震え・じっとして食べないを低体温のサインに挙げている。一晩4℃にさらされた個体は低体温が進んでいるため、ターゲット訓練など静かな誘導で屋内へ移し、暖房と毛布で徐々に温める。反応が鈍い状態は急変の恐れがあり獣医師へ連絡する。熱湯は火傷と急激な血管拡張によるショックを招く。日中まで待つと低体温が悪化する。追い回すのは体力を奪いストレスで死亡につながる。
課題屋内への扉の閉め忘れという人為的ミスを防ぐ確認手順がなく、夜間の個体の所在を確認する体制もなかった。冬季の夜間収容が担当者個人の記憶に依存していた。
改善案夕方の作業終了時に個体の所在と扉の施錠をチェック表で確認し、2人目が再確認する。冬季は屋内温度の記録と警報を設ける。低体温時は急激に温めず、屋内で徐々に加温して獣医師へ連絡する手順を掲示する。
Q29嘴で運んだ水を頻繁に体にかけている病気
7月の午前10時、気温31℃。屋外飼育場の10歳のオスが池と草地を何度も往復し、嘴で水をすくっては自分の胸や足元にかけている。翼をやや広げ、呼吸は速いがまだ口は閉じている。日陰の茂みは来園者側の騒音で近づかない。
この状況の評価と対応として適切なものはどれか
- 暑さのサインの初期と捉え、ミストと日陰を増やし来園者側の騒音を減らして30分ごとに観察する
- 遊んでいるだけと考え、対応しない
- 熱中症と判断し、すぐ捕まえて冷房室へ運ぶ
- 水を体にかけると羽が傷むので、池を一時的に使えなくする
正解A.暑さのサインの初期と捉え、ミストと日陰を増やし来園者側の騒音を減らして30分ごとに観察する
解説マニュアルは暑い日に嘴で運んだ水をかける行動を本種の体温調節として記載しており、翼を広げ呼吸が速い状態は熱ストレスの初期段階である。開口呼吸に至る前に、ミストと日陰を増やし、個体が日陰に入れない原因である騒音を減らして環境を改善し、30分ごとに観察する。開口呼吸や翼を広げてぐったりすれば今すぐ獣医師へ連絡する。対応しないのは熱中症への進行を許す。捕獲はショック死の危険があり、まだ自力で調節している段階では不要。池の使用制限は体温調節の手段を奪う。
課題日陰の茂みが来園者側の騒音で使えない配置になっており、個体が自力で涼める環境が実質的に失われていた。暑熱ストレスの初期サインと緊急サインの区別を担当者が理解していなかった。
改善案日陰と水場を来園者から離れた静かな場所に複数設け、ミストを常設する。気温30℃以上の日は観察を30分ごとに行い、翼を広げる・呼吸が速い段階で環境改善、開口呼吸で獣医師連絡という段階基準を掲示する。
Q30水浴びをやめ羽がぼさぼさになった病気
5月、屋外飼育の24歳のメス。1か月ほど前から池に入らなくなり、羽づくろいの回数が減った。羽は油気を失ってぼさぼさで、胸の一部が薄くなっている。足裏や嘴に異常はなく餌は食べるが、池の水は数日交換されておらず藻が浮いている。
適切な対応はどれか
- 羽の見た目の問題なので、来園者から見えない場所に移すだけにする
- 羽を整えるため個体を捕まえてブラシで羽づくろいを代行する
- 羽づくろい低下の背景に体調不良や水場の問題を疑い、水を交換して数日以内に受診する
- 羽が生え変わるまで1年待つ
正解C.羽づくろい低下の背景に体調不良や水場の問題を疑い、水を交換して数日以内に受診する
解説羽づくろいと水浴びは本種が自分で行う健康維持行動で、マニュアルは水浴び用の池の常設と毎日の水の循環・交換を定めている。藻の浮いた水場は個体が避ける原因となり、同時に羽づくろいの減少は痛み、関節疾患、寄生虫、全身の不調など体調不良のサインでもある。水場を清潔にし、数日以内に受診して原因を調べる。移動だけでは原因が残る。捕獲してのブラッシングはストレスと事故の危険が大きく、効果もない。1年放置は基礎疾患を見逃す。
課題池の水の毎日の循環・交換というマニュアルの基準が守られず、藻の発生を放置した。羽づくろいや水浴びの減少を「見た目の問題」と捉え、健康状態の指標として記録・評価する視点が欠けていた。
改善案池の水は毎日循環と交換を行い、藻やカビは見つけ次第除去する。水浴びと羽づくろいの回数を日誌に記録し、減少が1週間続けば獣医師へ相談する。年に数回の糞便検査と、関節や足裏の点検を定期健診に組み込む。
Q31網に足を引っかけて趾が変な向きに怪我
4月の午後、老朽化した柵の金網の隙間に11歳のメスの右足の趾が引っかかった。個体は暴れて抜け出したが、その後右足の第2趾が外側に曲がり、地面につけようとしない。趾の付け根が腫れ、出血は少量。個体は嘴を打ち鳴らし警戒している。
最初に取るべき行動はどれか
- 曲がった趾を素手でまっすぐに戻す
- 出血を清潔なガーゼで圧迫し、歩行を制限して骨折を疑い当日中に受診する
- 数日歩かせて自然に治るか確認する
- 腫れを引かせるため氷水に足を長時間つける
正解B.出血を清潔なガーゼで圧迫し、歩行を制限して骨折を疑い当日中に受診する
解説マニュアルは網や柵に足を引っかけない構造にするよう定め、脚・趾の外傷は圧迫止血し、片足で立ち続けるなら骨折を疑い当日中に受診としている。趾の変形と腫れは骨折か脱臼のサインで、獣医師の整復と固定が必要である。出血を圧迫し、歩行距離を減らして搬送準備をする。素手での整復は神経や血管を傷め、嘴による受傷の危険もある。数日歩かせると骨がずれたまま固まる。長時間の氷水は凍傷と体温低下を招く。
課題老朽化した金網の隙間が点検されず、マニュアルが求める足を引っかけない構造が維持されていなかった。柵の劣化を定期点検する仕組みと、破損箇所を報告・修理する流れが整備されていなかった。
改善案柵と金網の隙間や破損を月1回点検し、劣化箇所は即座に修理する。足が入る隙間のない目の細かい網に更新する。趾や脚の異常を見つけたら歩行制限と当日受診という基準を掲示し、搬送箱を常備する。
Q32嘴の打撃で職員の腕から出血怪我
6月の清掃中、1人で飼育場に入った職員が正面から15歳のオスに近づき、嘴の打撃を前腕に受けた。腕は深く裂けて出血し、しびれがある。個体は興奮して嘴を打ち鳴らし、翼を広げて職員に向かってくる。他の職員は事務所にいる。
職員が最初に取るべき行動はどれか
- 個体を落ち着かせるため正面から目を見て話しかける
- 嘴をつかんで押さえ込み、動きを止める
- 静かに後ろに下がり、板や布で嘴との間に遮蔽物を置いて退避し、止血して医療機関を受診する
- 出血を止めてから清掃を続け、業務後に自分で手当てする
正解C.静かに後ろに下がり、板や布で嘴との間に遮蔽物を置いて退避し、止血して医療機関を受診する
解説マニュアルは嘴の打撃が骨折や裂傷を起こすと警告し、対処として静かに後ろに下がり、布や板で遮蔽物を置き退避すること、その後は流水で洗い圧迫止血して必ず医療機関を受診することを定めている。正面に立って顔を近づけるのは目を狙われる危険があり、嘴を素手でつかむのは重傷を招く。深い裂傷としびれは神経や腱の損傷を示すため、業務継続は厳禁で速やかに受診する。傷口はサルモネラなどの感染リスクもある。
課題作業は2人以上で行うというマニュアルの原則に反し、1人で正面から個体に近づいた。防護具の着用と、個体の警戒サイン(クラッタリング・翼を広げる)を読み取る訓練が不足していた。
改善案飼育場内の作業は必ず2人以上で、防護手袋と長袖の着用を義務化する。個体の背後や側面から距離を取って作業し、正面に立たない動線を決める。遮蔽用の板を出入口に常備し、受傷時は即退避と医療機関受診をルール化する。
Q33強化ガラスに衝突し頭を打った怪我
3月の午後、新設した強化ガラス展示面に視認テープを貼る前に個体を出したところ、6歳のメスが飛び立ってガラスに頭から衝突した。落下後、しばらく横たわり、立ち上がったが首を傾け、歩くと左に旋回する。嘴の先が少し欠け、鼻孔から少量の血が出ている。
適切な対応はどれか
- 頭部外傷を疑い、暗く静かな場所に置いて刺激を避け、鳥類専門獣医師に直ちに連絡する
- 立ち上がれたので大丈夫と考え、通常通り給餌する
- 首の傾きを直そうと頭を手で支えて歩かせる
- 鼻血を止めるため鼻孔にティッシュを詰める
正解A.頭部外傷を疑い、暗く静かな場所に置いて刺激を避け、鳥類専門獣医師に直ちに連絡する
解説首の傾き、旋回歩行、鼻出血は脳や内耳の損傷を示す頭部外傷のサインである。マニュアルは衝突による嘴の骨折や裂傷を警告し、柵の視認性を高めるよう定めている。頭部外傷は時間とともに腫れや出血が進むため、暗く静かにして刺激を避け、直ちに鳥類専門獣医師へ連絡する。立ち上がれても脳内の損傷は進行し得るので通常給餌は危険。頭を支えて歩かせるのは損傷を悪化させる。鼻孔にものを詰めると呼吸を妨げ、鳥の鼻腔構造を傷める。
課題強化ガラスに視認テープを貼る前に個体を出し、マニュアルが求める柵の視認性の確保が完了していなかった。新設設備の使用開始前に安全確認を行う手順がなく、工程の順番が飼育担当と工事側で共有されていなかった。
改善案新設のガラスや金網には視認テープと緩衝材を設置し、飼育担当と獣医師が確認してから個体を出す使用開始チェック表を導入する。最初の数日は観察を強化し、衝突時は頭部外傷を想定して暗所での安静と即時受診を手順化する。
Q34爪が伸びすぎて自分の脚を傷つけた怪我
1月、屋内飼育が長引いた27歳のオス。ゴムマットの上で過ごすうち爪が土で摩耗せず長く伸び、今朝、羽づくろい中に伸びた爪で自分の脚のすねを引っかき、浅い裂傷から少量の出血がある。個体は落ち着いており、歩行は正常。
適切な対応はどれか
- 出血を圧迫止血し、次回の捕獲時に獣医師に爪切りを依頼して土と砂のエリアを設ける
- 家庭用の爪切りで今すぐ自分で爪を切る
- 傷は浅いので消毒だけして爪はそのままにする
- 爪を短くするためコンクリート床に移す
正解A.出血を圧迫止血し、次回の捕獲時に獣医師に爪切りを依頼して土と砂のエリアを設ける
解説マニュアルは爪が土と水場で自然に摩耗し、伸びれば獣医師が捕獲時に切ると定めている。浅い裂傷は清潔なガーゼで圧迫止血し、傷の写真を記録して数日以内に獣医師へ相談する。同時に屋内に湿った土や砂のエリアを設けて自然摩耗を促す。家庭用の爪切りで無理に切ると血管を切って大出血し、捕獲によるショックの危険もある。爪を放置すれば再び自傷と引っかかりが起こる。コンクリート床は趾瘤症の原因となる禁忌の硬い床である。
課題屋内飼育が長引く冬に、土や砂の地面がないゴムマットのみの環境で爪が摩耗しない状態が続いた。爪の長さを定期的に確認し、獣医師の捕獲時に合わせて処置する計画がなかった。
改善案屋内施設にも湿った土や砂のエリアを設け、爪の自然摩耗を促す。爪と足裏の状態を月1回撮影して記録し、伸びていれば定期健診や捕獲の機会に獣医師が処置するよう計画に組み込む。自傷の傷は圧迫止血と写真記録を行う。
Q35翼が絡まり出血した状態で暴れている怪我
8月の夕方、飼育場に落ちていた園芸用ネットの切れ端に16歳のメスの左翼が絡まり、抜け出そうと暴れて翼の付け根から出血している。羽が何本も折れ、ネットが翼にきつく食い込んでいる。個体は開口呼吸で、動きが次第に弱くなっている。
最初に取るべき行動はどれか
- 個体が疲れて動かなくなるまで待ち、その後ネットを外す
- 1人で走り寄ってネットを引っ張って外す
- ネットの先を切って個体を放し、自然に外れるのを待つ
- 熟練者2人で布で体と翼を包んで動きを止め、ハサミでネットを切り離し、圧迫止血して即受診する
正解D.熟練者2人で布で体と翼を包んで動きを止め、ハサミでネットを切り離し、圧迫止血して即受診する
解説絡まりによる暴れは翼の骨折と失血を急速に進め、開口呼吸と動きの低下はショックの兆候である。マニュアルの捕獲手順に従い、熟練者2人が布で翼ごと体を包んで動きを止め、ネットは引っ張らずハサミで切り離す。出血は圧迫止血し、翼を体に沿わせて固定して暗い箱で即受診する。疲れるまで待つと失血と骨折が悪化する。1人で引っ張ると翼の裂傷が広がり、嘴の打撃で自分も受傷する。ネットを残したまま放すと絡まりが再発し、飲み込む危険もある。
課題園芸用ネットの切れ端が飼育場に落ちており、マニュアルが求める毎日のごみ除去が徹底されていなかった。ネットや紐類の絡まり事故を想定した器材(ハサミ・包み布)が近くになく、2人での捕獲体制も即座に取れなかった。
改善案飼育場内のごみと資材の残置を朝夕点検し、園芸作業後は必ず担当が確認する。ハサミ、包み布、止血材、搬送箱を1セットにして出入口に常備する。絡まり事故を想定した2人捕獲の訓練を年1回行い、夕方の作業時間帯も2人以上を確保する。
Q36水抜き中の池に転落し立ち上がれない事故
10月の清掃中、深さ1mまで水を抜いた池の底に、滑って落ちた12歳のオスが横倒しになっている。底は泥で滑り、何度も立とうとしては転ぶ。翼を広げてもがき、泥が顔と鼻孔にかかっている。清掃担当は1人で、他の職員は離れた場所にいる。
最初に取るべき行動はどれか
- 応援を呼び、板で足場を作って個体が自力で上がれる斜面を確保し、上がれなければ2人で布で包んで救出する
- 1人で池に飛び込み、翼をつかんで引き上げる
- ホースで水を戻して浮かせ、泳いで上がるのを待つ
- 動画を撮りながら自力で上がるまで見守る
正解A.応援を呼び、板で足場を作って個体が自力で上がれる斜面を確保し、上がれなければ2人で布で包んで救出する
解説泥に横倒しになった状態は窒息とショックの危険があり、迅速だが安全な救出が必要である。まず応援を呼び、板で滑らない斜面を作って自力で上がれるようにし、無理なら熟練者2人が布で包んで引き上げる。救出後は鼻孔の泥を除き、暗く静かな場所で観察し獣医師へ連絡する。1人で翼をつかんで引き上げるのは翼の骨折や脱臼と、嘴による受傷の危険がある。水を戻すと衰弱した個体は溺れる。見守るだけでは体力を消耗しショックが進む。
課題清掃の水抜き中に個体を池から隔離せず、深い池の底が滑る状態で近づける環境を放置した。作業を1人で行い、転落時の救出手順や板・布などの器材が準備されていなかった。
改善案水抜きや池の清掃時は個体を別区画に隔離してから作業する。池は緩やかな斜面と滑りにくい底で設計し、深さは30〜50cmに保つ。作業は2人以上で行い、救出用の板と包み布を池のそばに常備する。
Q37巣台のヒナが親に踏まれて動かない事故
繁殖期の7月、孵化から10日目のヒナが、親が巣台で立ち上がった際に踏まれて横たわっている。遠隔カメラで見ると、ヒナは片脚を伸ばしたまま動きが鈍く、親はヒナの横で落ち着かない様子。巣台は狭く、周囲には段差がある。
適切な対応はどれか
- 親の育児に任せて手を出さず、翌朝まで観察する
- 職員が1人で巣に入り、ヒナを取り上げて事務所で温める
- 獣医師と繁殖担当で協議し、親を短時間離す手順でヒナの状態を確認し、必要なら人工育雛へ切り替える
- 親が悪いと考え、親を別の飼育場へ移動させる
正解C.獣医師と繁殖担当で協議し、親を短時間離す手順でヒナの状態を確認し、必要なら人工育雛へ切り替える
解説マニュアルは親がヒナを踏むことを警告し、巣台を平らで広くするよう定めている。動きの鈍いヒナは骨折や内臓損傷の可能性があり、翌朝まで放置すると死亡の危険が高い。一方で親を刺激すると育児放棄や再度の踏みつけを招くため、獣医師と繁殖担当が協議し、ターゲット給餌などで親を短時間離してヒナを確認する。損傷があれば人工育雛への切り替えを検討する。1人で巣に入るのは親の攻撃と嘴による重傷の危険がある。親の移動は繁殖の失敗と強いストレスを招く。
課題繁殖期前に巣台を平らで広くするというマニュアルの対策が行われず、狭く段差のある巣台のまま孵化を迎えた。ヒナの事故時の対応手順が繁殖担当と獣医師の間で事前に決められていなかった。
改善案繁殖期前に浅瀬の草地へ広く平らな巣台を作り、段差をなくす。孵化後は遠隔カメラで24時間観察し、異常時の親の誘導方法、ヒナの確認手順、人工育雛への切り替え基準を獣医師と事前に文書化する。
Q38屋内施設の漏電で床が濡れている事故
梅雨の6月夜、屋内施設の暖房用ヒーターの配線が湿気で劣化し、水浴び場からの水が広がった床にコードが浸かっている。9歳のメスが濡れた床の上で片足を上げ、時々体を震わせて跳ね、ヒーター周辺を避けている。ブレーカーは施設の外にある。
最初に取るべき行動はどれか
- 濡れた床に入って個体を抱き上げ、外へ運び出す
- コードを素手で引き抜いて電気を止める
- 施設に入らずブレーカーを落として電源を遮断し、その後個体の状態を確認して獣医師へ連絡する
- 個体が自力で乾いた場所へ移動するまで待つ
正解C.施設に入らずブレーカーを落として電源を遮断し、その後個体の状態を確認して獣医師へ連絡する
解説濡れた床に電気が流れている可能性があり、施設内に入れば職員自身が感電する。まず外部のブレーカーで電源を遮断し、安全を確認してから個体の状態(火傷、呼吸、けいれん、歩行)を確認して獣医師へ連絡する。感電は心臓や神経に影響し、時間差で症状が出るため受診は当日中である。濡れた床に入るのは職員の感電死につながる。素手でコードを抜くのも感電の危険がある。待つだけでは個体が感電を繰り返し、施設の火災も起こり得る。
課題湿地環境を再現する高湿度の屋内で、配線の防水と点検が行われておらず、水浴び場の排水設計も不十分だった。感電事故の対応手順(電源遮断を最初に行う)が職員に周知されていなかった。
改善案屋内の電気設備は防水規格の器具と漏電遮断器を使用し、配線は個体と水が届かない高さに固定する。水浴び場の周囲に排水溝を設け、床の水たまりをなくす。月1回の設備点検と、感電時は電源遮断を最優先とする手順を掲示する。
Q39扉が開きヒナが隣の飼育場に迷い込む事故
9月の午後、巣立ち後の若鳥(生後4か月)が、点検で開けたままの連絡扉から隣接するフラミンゴの飼育場に入り込んだ。フラミンゴの群れが騒いで若鳥を取り囲み、若鳥は柵の隅で翼を広げて威嚇している。まだ接触はないが、フラミンゴ側の池は深い。
最初に取るべき行動はどれか
- フラミンゴの群れを大声で追い散らし、若鳥を捕まえて抱えて戻す
- 若鳥が自力で戻るまで扉を開けたまま観察する
- 餌を投げて若鳥を誘導し、その間に扉を閉める
- フラミンゴを静かに反対側へ誘導し、若鳥を布や板で扉方向へ落ち着いて誘導して隔離後に外傷を確認する
正解D.フラミンゴを静かに反対側へ誘導し、若鳥を布や板で扉方向へ落ち着いて誘導して隔離後に外傷を確認する
解説他種との混在は接触による外傷、感染症の伝播、深い池での溺水の危険がある。静かにフラミンゴを反対側へ誘導して距離を取り、若鳥を板や布で刺激を最小にして扉へ誘導し、戻したら外傷や開口呼吸の有無を確認する。大声での追い散らしはフラミンゴのパニックと若鳥の衝突事故を招き、抱えて運ぶのは若鳥のショックと嘴による受傷の危険がある。開けたまま観察すると混在が長引き、深い池への転落や他種の糞との接触が起こる。餌を投げるのはフラミンゴの群れを興奮させる。
課題連絡扉の点検中に扉を開けたまま離れ、マニュアルが定める扉の開閉時の個体位置確認と2人体制が守られなかった。他種飼育場との連絡扉の施錠管理と、混在時の対応手順が整備されていなかった。
改善案連絡扉は二重扉にし、点検中も必ず片方を閉じる。扉の施錠状態を作業終了時にチェック表で確認する。他種との混在時は静かな誘導と隔離後の健康確認を手順化し、感染症予防のため戻した後に糞便検査を行う。
Q40来園者が落としたビニール袋をくわえた中毒・誤飲
11月の休日午後、観覧側から風で飛んだビニール袋が飼育場に落ち、14歳のオスがそれを嘴でくわえて振り回している。まだ飲み込んではいないが、袋の一部が嘴の中に入り始めている。担当者は5m離れた場所にいる。
最初に取るべき行動はどれか
- 袋をくわえたまま様子を見て、飽きて落とすのを待つ
- 静かに個体の気をそらし、板や布で遮蔽しながら落とした袋を回収し、その後飲み込みの有無を観察する
- 走り寄って袋を嘴から引き抜く
- 大声を出して驚かせ、袋を落とさせる
正解B.静かに個体の気をそらし、板や布で遮蔽しながら落とした袋を回収し、その後飲み込みの有無を観察する
解説マニュアルは落ち物やビニールの誤飲を警告し、飼育場のごみを毎日除去するよう定めている。まだ飲み込んでいない段階では、ターゲット訓練や餌で静かに気をそらし、板や布で遮蔽して安全を確保しながら落とした袋を回収する。その後、首を伸ばす仕草や吐き戻しがないか観察し、あれば即受診する。待つだけでは飲み込みが進み消化管閉塞を起こす。走り寄って引き抜くのは驚いて飲み込みを促し、嘴による受傷の危険がある。大声はパニックと柵への衝突を招く。
課題観覧側からの落下物や風で飛ぶごみが飼育場に入る構造で、休日の混雑時に飼育場内のごみを点検する体制がなかった。誤飲の初期段階での静かな介入方法を担当者が訓練していなかった。
改善案観覧側と飼育場の間に落下物を防ぐ壁やネットを設け、ごみ箱を観覧エリアから離す。混雑日は飼育場内のごみ点検を昼にも追加する。気をそらして異物を回収するターゲット訓練を日常的に行い、誤飲時の観察ポイントと受診基準を掲示する。
Q41消毒液が池に混入して嘔吐している中毒・誤飲
2月の週1回の床消毒後、すすぎが不十分なまま屋内の水浴び場に水を張った。数時間後、25歳のメスが池の水を飲んだ後に粘液を吐き、口を開けたり閉じたりを繰り返している。池の水からは消毒液のにおいがし、個体は首を振ってよだれを垂らしている。
最初に取るべき行動はどれか
- 池の水を全て抜いてすすぎ、清潔な飲み水を用意して消毒液の製品名を確認し獣医師へ直ちに連絡する
- 毒を薄めるため牛乳を飲ませる
- 吐かせ切るため塩を口に入れる
- 消毒液は薄まっているはずと考え、翌日まで観察する
正解A.池の水を全て抜いてすすぎ、清潔な飲み水を用意して消毒液の製品名を確認し獣医師へ直ちに連絡する
解説消毒液の誤飲は口腔や食道の粘膜損傷と全身中毒を起こす。まず汚染源である池の水を抜いて十分にすすぎ、清潔な飲み水を別に用意する。消毒液の製品名と成分は治療方針を決めるため必ず確認し、獣医師へ直ちに連絡する。よだれと嘔吐は粘膜の刺激症状で、呼吸への影響が出れば今すぐ受診の基準に該当する。牛乳は鳥に適さず誤嚥の危険がある。塩は塩中毒を起こし、腐食性物質では催吐自体が食道を再度傷める。翌日まで待つのは中毒の進行を許す。
課題床消毒後のすすぎと乾燥の確認手順がなく、消毒液が残ったまま水を張った。マニュアルは週1回の床消毒を定めているが、消毒後に個体を戻す前の安全確認と、使用する消毒液の一覧共有が行われていなかった。
改善案消毒後は十分にすすぎ、乾燥と残留のにおいを確認してから水を張る手順をチェック表にする。動物に安全な消毒液を選び、製品名と成分の一覧を獣医師と共有して飼育場に掲示する。消毒中は個体を別区画に隔離する。
Q42梅雨の長雨で飼育場が水浸しに環境・災害
6月の長雨が5日続き、屋外飼育場の草地が全面的に水没して乾いた足場がない。18歳のオスは浅い水の中に立ち続け、足裏がふやけて白っぽくなっている。餌台も水に浸かり、給餌した魚が泥水の中で見つけにくくなっている。湿度は95%。
適切な対応はどれか
- 湿地の鳥なので問題ないと考え、雨が上がるまで何もしない
- 乾いた足場と餌台を確保し、足裏を点検して屋内へ収容するか獣医師と相談する
- 水を抜くため飼育場全体にコンクリートを敷く
- 換気のため屋内施設の扉を全開にして雨を入れない
正解B.乾いた足場と餌台を確保し、足裏を点検して屋内へ収容するか獣医師と相談する
解説湿地性とはいえ、本種は水中と乾いた陸地を行き来して過ごす。乾いた足場がない状態では足裏がふやけて趾瘤症や感染を起こし、高湿度の泥水は寄生虫やアスペルギルスの温床になる。板や砂を入れた乾いた足場と水に浸からない餌台を確保し、足裏を点検し、改善しなければ屋内へ収容する。長引く場合は獣医師と相談する。放置は足裏疾患を招く。コンクリートは硬い床として禁忌である。扉の全開は屋内まで湿らせ、意味がない。
課題飼育場の排水設計が長雨に耐えられず、陸地が水没する状態を想定していなかった。足裏の状態を日常的に確認する習慣と、悪天候時に屋内へ収容する判断基準が定められていなかった。
改善案飼育場に排水溝と盛り土の高台を設け、長雨でも乾いた陸地が残る構造にする。雨が3日以上続く時は足裏を毎日点検し、白くふやければ屋内に収容する基準を決める。餌台は水没しない高さに設置し、泥水の交換と乾燥を行う。
Q43台風で避難先へ移送することになった環境・災害
9月、大型台風の上陸が翌日に迫り、園の屋外施設が浸水する予報が出た。11歳のメスを園内の耐久性の高い屋内施設へ移す必要がある。個体はターゲット訓練で搬送箱に入る練習を月1回している。移送距離は300m、担当職員は3人。
移送の方法として最も適切なものはどれか
- 台風の直前に急いで追い込み、網で捕まえて運ぶ
- 個体を屋外に残し、飼育場に土のうを積むだけにする
- 訓練通りにターゲット誘導で暗い搬送箱に入れ、揺れを避けて静かに運び、到着後は暗く静かに保って観察する
- 台風通過後に状況を見てから移送を判断する
正解C.訓練通りにターゲット誘導で暗い搬送箱に入れ、揺れを避けて静かに運び、到着後は暗く静かに保って観察する
解説マニュアルは無理な捕獲が死につながると警告し、ターゲット訓練による自主的な移動と、搬送は大型の暗い箱に布で翼を固定し揺れを避けると定めている。日常の訓練を活かして早めに、静かに、暗い搬送箱で移送し、到着後はショックの有無を観察して獣医師へ報告する。直前の追い込みと網捕獲はショック死と骨折の危険が最も高い。屋外に残すのは浸水と飛来物による死亡リスクがある。台風通過後の判断では手遅れで、荒天中の作業は職員も危険である。
課題浸水予報が出る施設で本種を飼育しており、災害時の避難先と移送手順が事前に明文化されていなかった。搬送箱への訓練は行われていたが、実際の避難のタイミングと役割分担、獣医師との連携が決まっていなかった。
改善案避難計画に本種の移送先、開始基準(警報発表など)、担当者の役割、獣医師への連絡を記載する。搬送箱への訓練を月1回続け、年1回は実際に300m移送する訓練を行う。避難先に暖房、水場、餌の予備を常備する。
Q44猛暑日の夕方に池の水温が上昇環境・災害
8月の猛暑日、日中の気温37℃で池の水温は32℃まで上がり、水面に藻が広がった。夕方、7歳のオスは池の中に立ったまま口を半開きにし、翼をやや広げている。ミストは故障中で、飼育場の日陰は狭い。
最初に取るべき行動はどれか
- 池に氷を大量に投げ込み、水温を一気に下げる
- 個体が池に入っているので涼しいはずと考え、対応しない
- 夜になれば涼しくなるので、明日ミストを修理するまで待つ
- 冷たい水を少しずつ加えて水温を下げ、遮光ネットで日陰を広げて霧吹きし、開口呼吸に進めば獣医師へ連絡する
正解D.冷たい水を少しずつ加えて水温を下げ、遮光ネットで日陰を広げて霧吹きし、開口呼吸に進めば獣医師へ連絡する
解説32℃の池は体温調節の役に立たず、藻の繁殖は水質悪化と寄生虫の温床になる。マニュアルは夏の日陰・水場・霧吹きによる暑さ対策を定め、開口呼吸は今すぐ連絡の緊急サインとしている。新しい水を少しずつ加えて水温を下げ、遮光ネットで日陰を広げ、霧吹きで体表を冷やす。口の半開きと翼を広げる姿は熱ストレスの初期段階で、開口呼吸に進めば直ちに獣医師へ連絡する。氷の大量投入は急激な温度変化で個体に負担をかける。池にいるから安全という判断は水温を見ていない。翌日まで待つと夜間も高温が続き熱中症になる。
課題猛暑日にミストが故障したまま予備の冷却手段がなく、日陰も狭い状態だった。池の水温を測定する習慣がなく、水場があれば安全という思い込みで、水温と藻の管理が抜けていた。
改善案夏季は池の水温を1日2回測定し、30℃を超えれば新水を追加する。ミストは予備機を用意し、遮光ネットと霧吹きを常備する。日陰を飼育場の複数箇所に増やし、猛暑日は夕方以降も気温が下がるまで観察を続ける。
Q45水場の水で作業した職員が腹痛と下痢感染症・衛生
7月、池の清掃と餌魚の準備を素手で行った職員2人が、3日後に発熱を伴う腹痛と下痢を起こした。作業後の手洗いは簡単に済ませ、昼食は飼育場横の休憩所で取っていた。個体は元気で便も正常。
適切な対応はどれか
- 職員を受診させて動物との接触歴を伝え、手袋・長靴の着用と手洗い、休憩所の分離を徹底し、個体の糞便検査も行う
- 食中毒なので昼食の弁当が原因と決め、動物側の対応はしない
- 個体が元気なら関係ないと判断し、職員に市販の下痢止めを勧める
- 池の水を全て塩素で消毒し、個体をそのまま池に戻す
正解A.職員を受診させて動物との接触歴を伝え、手袋・長靴の着用と手洗い、休憩所の分離を徹底し、個体の糞便検査も行う
解説糞や水場の水、餌魚との接触で人に感染するサルモネラ症が疑われる。マニュアルは作業後の手洗い、手袋・長靴の着用と消毒を定めている。職員には動物との接触歴を医師に伝えて受診させ、以後は防護具の着用、手洗いの徹底、飼育場と休憩所の分離を行う。個体は無症状でも保菌している可能性があるため糞便検査を行う。弁当と決めつけると感染源が残る。市販の下痢止めは細菌の排出を妨げ、症状を長引かせる。高濃度の塩素は個体に有害で、すすぎなしで戻すのは中毒の原因になる。
課題餌魚の準備と池の清掃を素手で行い、手洗いも不十分なまま飼育場横で食事をするなど、人獣共通感染症への基本的な衛生意識が欠けていた。休憩所と作業場の分離、防護具の着用ルールが定められていなかった。
改善案作業時は手袋と長靴を着用し、作業後は消毒液で手洗いする手順を掲示する。休憩所と食事場所を飼育エリアから分離し、飲食前の手洗いを義務化する。個体の糞便検査を年数回行い、無症状保菌にも備える。新人研修に人獣共通感染症の内容を含める。
Q46新規導入個体の隔離期間を短縮したい感染症・衛生
4月、海外の施設から4歳のオスが到着した。園長は展示開始を急いでおり「元気そうだから」と1週間で既存のメスと同じ飼育場に入れるよう指示した。到着時の糞便検査の結果はまだ出ておらず、輸送のストレスで新個体はやや食欲が落ちている。
飼育担当として最も適切な判断はどれか
- 園長の指示なので1週間で同居させる
- 元気そうなら大丈夫と考え、糞便検査の結果を待たずに隣の飼育場で柵越しに会わせる
- 獣医師と協議し、検疫期間と検査結果の確認を終えるまで隔離を続ける必要性を園長に説明する
- 同居は急ぐが、心配なので既存のメスに予防的に抗生物質を与える
正解C.獣医師と協議し、検疫期間と検査結果の確認を終えるまで隔離を続ける必要性を園長に説明する
解説新規導入個体は寄生虫、サルモネラ、鳥クラミジア、アスペルギルスなどを持ち込む可能性があり、輸送ストレスで潜伏していた病原体が発症することもある。マニュアルは糞便検査と隔離を重視しており、検疫期間の完了と検査結果の確認は既存個体と施設全体を守るために不可欠である。獣医師と協議し、根拠を園長に説明する。「元気そう」は無症状保菌を否定しない。柵越しの接触でも糞や飛沫で感染は起こる。予防的な抗生物質は耐性菌の問題があり、根拠なく投与すべきでない。
課題展示開始を急ぐ経営判断が獣医学的な検疫手順より優先され、検疫期間と検査完了を同居の条件とする園の規定がなかった。飼育担当が獣医師と連携して根拠を示す体制も弱かった。
改善案新規導入時の検疫期間(一般に30日以上)と、必要な検査項目を園の規定として文書化し、完了を獣医師が承認するまで同居させない。隔離飼育場と専用器具を用意し、担当職員を分ける。導入計画には展示開始の目安を検疫込みで設定する。
Q47夜間に呼吸が浅く体が冷たい救命救急
1月の夜11時、当直が屋内施設で26歳のオスが床に座り込んでいるのを発見した。呼びかけに視線がわずかに動く程度で、胸の上下は浅く1分に15回。胸に手を当てると心拍は速いが弱く、脚に触れると冷たい。暖房は稼働しており室温は16℃。
最初に取るべき行動はどれか
- 獣医師の緊急連絡先に電話し、指示を受けながら毛布で保温し、暗く静かにして口内の粘液を確認する
- 朝まで待ってから獣医師に連絡する
- 心拍が弱いので胸を強く押して心臓マッサージを行う
- 元気づけるため魚を口元に持っていき食べさせる
正解A.獣医師の緊急連絡先に電話し、指示を受けながら毛布で保温し、暗く静かにして口内の粘液を確認する
解説反応の低下、浅く遅い呼吸、弱い心拍、末端の冷えはショックまたは重篤な全身疾患の兆候で、今すぐ獣医師へ連絡する状態である。マニュアルは意識・呼吸・心拍の確認、気道確保、暗く静かな場所での保温、酸素があれば吸入、獣医師の電話指示で処置と定めている。朝まで待つと救命の機会を失う。鳥は気嚢構造で胸骨圧迫が難しく骨折リスクがあるため、自己判断での心臓マッサージは行わない。意識の低下した個体に餌を与えると誤嚥を起こす。
課題26歳の高齢個体に対し、夜間の急変を早期に捉える観察体制が弱く、当直が発見するまでの経過が不明だった。当直の救命手順と獣医師の夜間連絡先、保温・酸素などの資材が屋内施設に整っていなかった。
改善案高齢個体は夕方と夜間の見回りを追加し、呼吸数と姿勢を記録する。獣医師の夜間緊急連絡先と、意識・呼吸・心拍の確認手順、保温と気道確保の方法を当直マニュアルに記載する。毛布、酸素、搬送箱を屋内施設に常備する。
Q48けいれん後に呼吸が止まっている救命救急
5月の午後、給餌直後に9歳のメスが突然けいれんを起こし、30秒後に動かなくなった。胸の上下が見えず、嘴から泡状の粘液が出ている。獣医師は電話がつながり、状況を聞いている。担当者は1人で、搬送箱と毛布は近くにある。
この場で取るべき行動として適切なものはどれか
- 電話を切って車を出し、搬送を優先する
- 鳥には何もできないので、獣医師が到着するまで見守る
- 獣医師の電話指示に従って口内の粘液を除き気道を確保し、指示された処置を行いながら搬送準備を進める
- 電話を保留にして、胸を強く圧迫する心臓マッサージを自己判断で始める
正解C.獣医師の電話指示に従って口内の粘液を除き気道を確保し、指示された処置を行いながら搬送準備を進める
解説マニュアルは呼吸停止時は獣医師の電話指示で処置すること、まず気道を確保して口内の粘液・異物を除くことを定めている。獣医師とつながっている状況では、指示に従い粘液を除いて気道を確保し、保温しつつ搬送準備を進めるのが最善である。電話を切って搬送を優先すると、その場でできる救命処置の機会を失う。見守るだけでは何もしないのと同じである。鳥は気嚢構造で胸骨圧迫が難しく骨折リスクがあるため、指示なしの自己判断は禁物。けいれんの原因としてビタミン欠乏や中毒も考え、餌の内容を伝える。
課題けいれんの原因となり得る餌の内容や添加剤の状況が即座に確認できる記録になっていなかった。1人での作業中に急変が起き、搬送と処置を同時に行える人員がいなかった。獣医師の電話指示を受けながら処置する訓練が不足していた。
改善案給餌の内容と添加剤を毎回記録し、急変時にすぐ獣医師へ伝えられるよう給餌場に掲示する。給餌時間帯は2人体制とし、1人が処置、1人が搬送と連絡を担う。獣医師の電話指示による気道確保と保温の訓練を年2回行い、搬送箱と毛布を常備する。
Q49熱中症で倒れた個体の搬送判断救命救急
8月の午後3時、気温36℃。屋外飼育場で15歳のオスが翼を広げて倒れ、開口呼吸をしている。日陰へ誘導し霧吹きで冷やして15分たつが改善しない。鳥類専門獣医師は車で30分、園内の一般獣医師は5分で到着できる。
適切な対応はどれか
- 改善するまでその場で霧吹きを続け、動かさない
- 涼しい部屋で一晩休ませて翌朝に受診する
- 冷房の効いた車に乗せて30分かけて鳥類専門獣医師へ直行する
- 園内の獣医師を直ちに呼んで初期処置と安定化を行い、鳥類専門獣医師に電話で連絡して搬送や治療を相談する
正解D.園内の獣医師を直ちに呼んで初期処置と安定化を行い、鳥類専門獣医師に電話で連絡して搬送や治療を相談する
解説開口呼吸で翼を広げてぐったりし、15分の冷却で改善しない状態はマニュアルの「今すぐ連絡」に該当する。最も早く到着できる園内の獣医師を呼び、冷却の継続、輸液や酸素などの初期処置と安定化を行う。同時に鳥類専門獣医師へ電話で状況を伝え、搬送の可否や治療方針を相談する。霧吹きだけを続けるのは処置の限界を超えている。翌朝まで待つと多臓器障害が進む。不安定な状態で30分の搬送を行うと車内で急変し、揺れとストレスで死亡する危険が高い。
課題36℃の猛暑日に屋外飼育を続け、日中の観察が不足していた。園内獣医師と鳥類専門獣医師の役割分担と、急変時の連絡順序が事前に決められておらず、搬送か現場処置かの判断基準がなかった。
改善案気温35℃以上の日は屋内収容か日陰と水場の大幅な強化を行い、1時間ごとに観察する。急変時は園内獣医師の初期処置と鳥類専門獣医師への電話相談を同時に行う連絡順序を掲示する。酸素と輸液の資材を園内獣医師と共有し、搬送判断の基準を文書化する。
Q50夜間救急に連絡する前に準備すること救命救急
冬の夜8時、屋内飼育の17歳のメスが夕方から吐き戻しを2回し、首を伸ばす仕草を繰り返している。鳥類専門獣医師の夜間緊急窓口に連絡することを決めた。担当者は電話をかける前に、獣医師に伝える情報と搬送の準備を整えようとしている。
獣医師に伝える情報として最も適切な組み合わせはどれか
- 来園者の入場数と天気、担当者の勤務時間
- 体重、給餌内容と添加剤、便の写真、呼吸の様子の動画、症状の開始時刻
- 個体の名前と展示場所だけを伝え、詳細は到着後に説明する
- 過去に他の動物園で起きた似た事例をネットで調べて伝える
正解B.体重、給餌内容と添加剤、便の写真、呼吸の様子の動画、症状の開始時刻
解説マニュアルは獣医師に伝える情報として体重、給餌内容、添加剤、便の写真、呼吸の様子の動画を挙げ、鳥類専門獣医師への事前連絡を求めている。首を伸ばして飲み込めない仕草は異物による今すぐ連絡の基準で、症状の開始時刻と経過も診断に不可欠である。これらの情報で獣医師は異物、中毒、ビタミン欠乏などを絞り込み、必要な準備をして待つことができる。来園者数や天気は診断に関係がない。名前と場所だけでは到着まで何も準備できない。ネット上の事例は個体の情報の代わりにならない。
課題吐き戻しが夕方に始まってから夜8時まで連絡が遅れ、その間の給餌記録や便の写真が整理されていなかった。緊急時に必要な情報を一覧にした連絡シートと、搬送準備の手順が飼育場に用意されていなかった。
改善案体重、給餌内容、添加剤、便の写真、呼吸の動画、症状の開始時刻を記入する緊急連絡シートを飼育場に常備し、日誌から即座に転記できるようにする。吐き戻しや首を伸ばす仕草は即連絡という基準を掲示し、搬送箱と毛布をセットで備える。

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