基本情報
- 寿命
- 室内飼育で13〜16年。年齢不詳の個体も多い
- 体重
- 3〜5kg。保護直後は痩せていることが多い
- 性格
- 警戒心が強い個体が多い。慣れるまで数週間〜数か月
- 飼育難易度
- 中(感染症検査・寄生虫駆除・人慣れの時間が必要)
- 法規制
- 動物愛護管理法。譲渡契約の遵守・終生飼養・マイクロチップ
- 最重要ポイント
- 迎えて1週間以内に検査・駆虫・先住猫との隔離を徹底
生態と特徴
- 体の特徴
- 体長45〜60cm。耳先カットは不妊手術済みの印。外傷や耳ダニの痕が残る個体も
- 原産地・分布
- 中東のリビアヤマネコが祖先。元野良は日本の市街地で繁殖した雑種が大半
- 野生での生息環境
- 屋外では軒下・車の下・物置などを寝床にし、人里で餌を得て暮らす
- 活動時間・睡眠
- 薄明薄暮性。野良時代の習慣で夜間に活発な個体が多い
- 社会性・人との関係
- 本来は単独性だが餌場を中心に緩い群れを作る。人には警戒が強い
特徴的な行動・習性
- 狭く暗い場所に隠れて安心する。迎えたら隠れ家を用意し無理に触らない
- 屋外での狩りや拾い食いの習慣が残り、脱走や誤飲のリスクが高い
- 野良時代の縄張り争いから、同居猫に対して威嚇や攻撃が出やすい
かかりやすい病気と予兆の見方・予防
猫エイズ(FIV)
予兆感染後は数年無症状。口内炎・歯肉炎・治りにくい傷・慢性の下痢・痩せる・繰り返す発熱
予防迎えたら血液検査。陽性でも室内飼育・ストレス軽減で長く生きられる。他猫とのけんかを避け隔離
猫白血病(FeLV)
予兆貧血で歯ぐきが白い・食欲低下・発熱・リンパ節の腫れ・体重減少。若齢で発症すると進行が速い
予防検査で陰性確認後にワクチン。陽性猫は他の猫と完全隔離し食器・トイレを共有しない
猫風邪(ヘルペス・カリシ)
予兆くしゃみ・鼻水・目やに・結膜炎・口内の潰瘍・発熱・食欲低下。子猫は重症化しやすい
予防3種混合ワクチンを接種。目やにを毎日拭き、食べない・鼻が詰まって呼吸が苦しそうなら受診
腸内寄生虫・原虫
予兆下痢・血便・便に白い虫・お腹だけ膨れる・痩せる・毛づやが悪い。コクシジウム・ジアルジアは子猫で重症化
予防迎えてすぐ便検査と駆虫。2〜3週後に再検査。トイレを毎日掃除し、先住猫とトイレを分ける
ノミ・ダニ・耳ダニ
予兆激しいかゆみ・黒い粒(ノミ糞)・首の後ろの脱毛・耳の中に黒い耳垢・頭を振る
予防保護当日に動物病院で駆除薬。市販品でなく獣医師処方の薬を。部屋の掃除機がけと寝具の洗濯
皮膚糸状菌症(真菌)
予兆顔・耳・足先に円形の脱毛・フケ・かさぶた。人にもうつり赤い輪状の発疹が出る
予防脱毛があればすぐ受診し培養検査。治るまで隔離し、寝具は毎日交換して熱湯消毒。触った後は手洗い
病気の予兆チェックリスト
毎日1回チェック。1つでも当てはまれば早めに動物病院へ相談。
病気の応急処置
下痢・血便が続く
子猫は半日で脱水するため当日受診。便を密閉容器に入れて持参し寄生虫検査。水は少量ずつ与える
鼻づまり・目が開かない
目やには湿らせたガーゼで外側へ拭く。鼻は蒸しタオルで温める。食べない・口呼吸なら当日受診
何も食べず隠れている
環境ストレスの可能性もあるが24時間食べなければ受診。静かな部屋に食器を置き、ウェットを温めて匂いを強める
歯ぐきが白い・ぐったり
貧血や白血病・重度寄生虫の疑い。無理に動かさず、暖かくしてキャリーで即受診
起こりやすい怪我と予防・応急処置
古傷・膿瘍
予防保護時に全身を触診してもらい、傷や膿のたまりを確認。けんか傷は数日後に腫れる
応急処置腫れて熱を持つ・破れて膿が出たら、絞らず周囲を拭いて当日受診。抗生剤が必要
交通事故の後遺症
予防元野良には骨盤骨折・尾の損傷が隠れていることがある。歩き方・排尿排便の異常を最初の1週間で観察
応急処置排尿できない・後肢を引きずる・尾が動かない場合は水平に保って当日受診しレントゲン
パニック時の外傷
予防慣れる前は捕まえない。隠れ家を用意し、無理に抱かず、窓・網戸は必ずロック
応急処置爪が折れた・鼻血が出たら追わずに落ち着くのを待つ。出血が続く・足を引きずるなら当日受診
誤飲・中毒
予防野良時代の習慣で拾い食いをしやすい。食べ物・ゴミ・観葉植物・薬を出しっぱなしにしない
応急処置何を食べたか包装や植物を持って即受診。無理に吐かせない。ユリ・ネギ類は少量でも受診
動物由来感染症(人にうつる病気)
猫ひっかき病
感染経路ひっかき傷・咬傷(ノミが媒介する菌)
予防保護当日にノミ駆除。傷は流水で洗う。リンパ節が腫れたら受診
皮膚糸状菌症
感染経路接触・寝具の共有(真菌)
予防脱毛があれば隔離し受診。触った後は手洗い。寝具は熱湯消毒
回虫・鉤虫症
感染経路便中の虫卵・幼虫が手や砂から口・皮膚に
予防保護直後に駆虫。トイレ掃除後の手洗い。子どもに便を触らせない
SFTS・ダニ媒介感染症
感染経路マダニの付着した猫との接触・咬傷
予防保護時にマダニ駆除。ダニは素手で取らず動物病院へ。発熱があれば受診
飼養条件:餌・水・おもちゃ・巣・床材
餌
- 保護団体で食べていたフードから始め、1週間かけて切り替え
- 痩せている猫も一度に増やさず1日3〜4回に分けて給餌
- 総合栄養食を主食に。年齢不詳なら獣医師に推定してもらう
水
- 静かな場所に複数の水飲み場。最初は隠れ家の近くに
- 野良時代は飲水が少ないことが多くウェットフードで補う
与えてはいけないもの
- ネギ類・チョコレート・ブドウ・アルコール
- ユリ科植物(花粉や花瓶の水も腎不全の原因)
- 人の残り物・味付けした魚や肉・生肉(寄生虫)
おもちゃ・遊び
- 最初は猫じゃらしを遠くから動かし、追わせない
- 慣れてきたら1日2回、10分ずつ遊ぶ
- ひも・輪ゴム・ビニールは遊んだ後に片づける
巣・寝床・隠れ家
- 段ボール箱や布をかけたキャリーを隠れ家に
- 隠れ家は動かさず、覗き込まない
床材・トイレ
- トイレは頭数+1個。最初は隠れ家の近くに
- 砂は保護先と同じ種類から始め、少しずつ移行
- 検査結果が出るまで先住猫とトイレを共有しない
飼養環境:ケージ・運動・温湿度
ケージ・ハウスの素材
スチール製2〜3段ケージ。最初の1〜2週間は必須
大きさ・広さ
幅90×奥行60×高さ120cm以上、隠れ家が入る広さ
配置・レイアウト
- 下段にトイレ、中段に食器、上段に隠れ家とベッド
- 布をかけて視界を遮り安心できる暗さに
- 水は食器・トイレから離して置く
設置場所の注意
- 先住猫と別の静かな部屋に設置し、匂いから慣らす
- 人の出入りが少なく、直射日光・風が当たらない場所
運動・部屋んぽ・散歩
- 完全室内飼育。元野良でも外に出さない
- 慣れるまでは無理に触らず、猫から近づくのを待つ
- 1か月以上かけて遊びの時間を少しずつ増やす
温湿度管理
適温20〜28℃。痩せた猫や子猫は寒さに弱く25℃前後
適湿度40〜60%。梅雨は真菌・皮膚病予防に除湿
夏・冬の対策
- 夏はエアコン常時運転。隠れ家の中も熱がこもらないか確認
- 冬は保温マットを隠れ家に入れ、乾燥に注意
グルーミングと外敵からの保護
爪切り
慣れるまで無理に切らない。保護時に動物病院で切ってもらい、その後は2〜3週に1回
ブラッシング・皮膚被毛ケア
最初は手で撫でることから。慣れたら週2〜3回。ノミ取りぐしで黒い粒を確認
その他のケア
耳ダニの有無を確認し耳掃除は病院で。歯周病が多いので口腔チェック。ワクチンは検査後に接種
外敵からの保護
- 先住猫とは検査で陰性を確認するまで完全隔離
- 窓・ベランダに脱走防止ネットと網戸ロック
- 犬や子どもとは柵越しに時間をかけて対面
飼養上の注意(事故防止)
異物誤飲
拾い食いの習慣があるので食べ物・ゴミ・ひも・輪ゴムを出しっぱなしにしない。吐く・食べないなら無理に吐かせず受診
踏みつけ
慣れるまで物陰や布の下に隠れるので、座る前・歩く前に確認。踏んだ後に足を引きずる・怒るなら当日受診
挟まれ
驚いてドアの隙間に飛び込みやすい。ドアストッパーを使い、ゆっくり開閉。尾が垂れたまま・排尿できないなら即受診
落下・転落
パニック時に窓や高所から飛び降りる。網戸ロックと転落防止ネット。落ちた後は元気でも内臓損傷の可能性があり当日受診
逸走・脱走
元野良は脱走率が高い。玄関に二重扉、迎えて最初の1か月は特に注意。逃げたら家の周囲50m以内を夜間に探し、捕獲器を保護団体に相談
噛みついた時の安全な引き離し方
やってはいけないこと
- 手を引き抜く(傷が深く裂ける)
- 叱る・叩く・追いかける(信頼関係が壊れる)
安全な引き離しの手順
- 動きを止め、噛まれた手を猫の方へ軽く押し込む
- もう一方の手でタオルや毛布を猫の頭にかぶせる
- 猫が力を緩めた瞬間に手を離す
- その場を離れ、猫が隠れ家に戻るまで放置
引き離した後の処置
傷を流水で5分以上洗い消毒。元野良の咬傷は感染しやすく、腫れたら当日医療機関へ
救命救急マニュアル
今すぐ夜間救急へ(命に関わる)
- 歯ぐきが白い・ぐったりして冷たい
- 口を開けて呼吸・鼻が詰まり呼吸困難
- 尿が出ない・排尿時に鳴く
- けいれん・意識がない・高所から転落
当日中に受診
- 下痢・血便が続く(子猫は半日で)
- 24時間以上食べない・水を飲まない
- 円形脱毛・傷の腫れや膿
受診時に伝えること・持ち物
保護元・保護日・推定年齢、検査やワクチンの記録、便の持参、いつから何が起きたか、先住猫の有無
意識・呼吸・心拍の確認
- 名前を呼び体をつつく。反応なしは意識なし
- 胸の動きを見る。正常呼吸は1分に20〜30回
- 後肢の内股で脈を触れる。正常は1分120〜180回
蘇生の手順
- 硬い台に右側を下に寝かせ、首を伸ばす
- 肘の後ろの胸を片手で挟み1秒に2回圧迫
- 30回圧迫後、口を閉じて鼻から2回息を吹き込む
- 2分ごとに脈を確認し受診まで続ける
止血
- 清潔なガーゼで5分以上強く押さえる
- 暴れる猫はタオルで包んでから圧迫する
- 爪の出血は片栗粉や止血剤を押し当てる
搬送方法
- キャリーにタオルを敷き、暗くして保温
- 洗濯ネットに入れると暴れず安全に運べる
ケースメソッドで学ぶ
