ロリス
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霊長類

ロリス

スローロリス・ピグミースローロリス(霊長類で唯一毒を持つ)

最重要:新規入手は事実上不可。肘の毒腺と咬傷に注意

基本情報

寿命
15〜20年(飼育下で20年超も)
体重
スロー1〜2kg・ピグミー300〜500g
性格
夜行性で臆病。動きは遅いが噛む力は強い
飼育難易度
極高(法規制・毒・夜行性・専門医が少ない)
法規制
CITES附属書I・感染症法で輸入禁止・特定動物ではない
最重要ポイント
新規入手は事実上不可。肘の毒腺と咬傷に注意

生態と特徴

体の特徴
体長20〜35cm・尾は極めて短い。大きな目で夜間視力が高い。上腕の腺分泌物と唾液を混ぜて毒にする
原産地・分布
東南アジア(インド北東部〜インドシナ・ボルネオ島など)
野生での生息環境
熱帯雨林や竹林の樹上。地上にはほとんど降りない
活動時間・睡眠
完全な夜行性。昼は枝の上や樹洞で丸まって眠る
社会性・人との関係
基本は単独で縄張りを持つ。飼育下も1頭飼いが基本

特徴的な行動・習性

かかりやすい病気と予兆の見方・予防

歯周病・歯の感染

予兆口臭・よだれ・顔の腫れ・硬い餌を避ける・体重減少

予防違法取引で犬歯を抜かれた個体は特に注意。果物偏重を避け、年1回口腔検査

代謝性骨疾患

予兆足を引きずる・つかまる力が弱い・骨折しやすい・背中が曲がる

予防果物中心の食事をやめ、樹液・昆虫・専用ペレットでCa補給。UVB灯を検討

糖尿病・肥満

予兆多飲多尿・体重増加のあと減少・毛づやの低下・白内障

予防甘い果物・蜂蜜を減らし、アカシアガム・虫・野菜主体に。体重を毎週記録

腎疾患

予兆多飲多尿・食欲低下・嘔吐・痩せる・毛が粗くなる

予防タンパク質過多を避ける。新鮮な水を常時。年1回の血液検査

寄生虫症

予兆下痢・軟便・血便・痩せる・肛門をこする・便に虫

予防導入時と年1〜2回の糞便検査。床材を毎日交換し清潔に

ストレス性自傷

予兆同じ場所を舐め続ける・脱毛・皮膚炎・ぐるぐる回る常同行動

予防日中の照明・騒音を避ける。隠れ家と登り木を増やし、夜間に採食行動を作る

病気の予兆チェックリスト

毎日1回チェック。1つでも当てはまれば早めに動物病院へ相談。

病気の応急処置

食欲がない

24時間食べなければ受診。糖尿病や歯の病気が隠れている。体重を量り、食べた物と量をメモして持参

下痢が続く

便を密閉袋に入れ写真も撮る。水は飲めるようにして保温。2日続く・血便・ぐったりなら当日受診

けいれん・ふらつき

低血糖の可能性。意識があれば少量の砂糖水を口の端に。暗く静かな箱で保温し即受診

顔が腫れている

歯根の膿瘍が多い。触らず、柔らかい餌に切り替え当日中に受診。無理に口を開けない

起こりやすい怪我と予防・応急処置

落下による骨折

予防ケージ内の枝は太さを変え、しっかり固定。床に厚い床材。高所は網で囲う

応急処置触らず暗い箱に入れ保温。患部を伸ばしたり添え木は不要。当日中に受診

同居個体の咬傷

予防基本は単独飼育。ペアでも相性を確認し、隠れ家を複数用意する

応急処置毒による壊死が起きやすい。傷を流水で洗い、腫れが出れば当日受診

熱傷(ヒーター)

予防保温球はカバー付きにし、直接触れられない位置へ。サーモスタットで管理

応急処置患部を冷たい濡れタオルで冷やす。薬は塗らず当日受診

爪・指の絡まり

予防布製ハンモックやほつれた布を避ける。ネット・ロープの目の細かさを確認

応急処置布ごと切って外す。引っ張らない。指が腫れる・動かせなければ受診

動物由来感染症(人にうつる病気)

Bウイルス感染症

感染経路サル類の咬傷・引っかき・唾液(主にマカク)

予防咬まれたら15分以上流水洗浄し直ちに受診。素手で扱わない

結核

感染経路咳・飛沫・濃厚接触

予防咳・痩せは即受診。飼育者の健康診断を年1回受ける

サルモネラ症

感染経路便・汚れた手・ケージ器具

予防世話の後は必ず石けんで手洗い。台所で器具を洗わない

ロリス咬傷毒

感染経路咬傷(肘の腺分泌物と唾液の混合)

予防アナフィラキシーの報告あり。咬まれたら即受診し腫れを観察

飼養条件:餌・水・おもちゃ・巣・床材

  • 主食はアカシアガム(樹液)・昆虫・専用ペレット
  • 夕方と深夜の2回、暗くなってから与える
  • 果物は週数回・少量に。糖分の摂りすぎに注意

  • 給水ボトルと皿の両方を設置し毎日交換
  • 飲水量の変化は病気のサイン。目視で確認

与えてはいけないもの

  • バナナ・ぶどうなど甘い果物の大量給餌
  • 蜂蜜・人の菓子・乳製品
  • 生の肉・生卵(サルモネラのリスク)

おもちゃ・遊び

  • 穴あき枝にガムや虫を詰めた採食パズル
  • 太さの異なる枝・ロープを縦横に配置
  • 夜間のみ与える隠し餌のフォレイジング

巣・寝床・隠れ家

  • 暗い木箱の巣箱を高い位置に固定
  • 日中は完全に暗くできる布カバー

床材・トイレ

  • 床は厚めのペットシーツか広葉樹チップ
  • トイレは決まった隅に置き毎日清掃
  • 針葉樹チップ・砂・猫砂は使わない

飼養環境:ケージ・運動・温湿度

ケージ・ハウスの素材

金網の縦長ケージ(目の細かい金属製)

大きさ・広さ

高さ150cm以上・幅90cm以上。縦の動線重視

配置・レイアウト

  • 上部に巣箱、中段に枝を網目状に固定
  • 餌場と水場は枝の上に。床では食べない
  • 床は落下に備え厚い床材と柔らかい素材

設置場所の注意

  • 日中は暗く静かな部屋。テレビや窓際を避ける
  • 赤色灯で夜間観察。白色灯は消す

運動・部屋んぽ・散歩

  • 散歩不要。ケージ内の枝で夜間に運動
  • 部屋に出す場合は夜・照明を落とし脱走防止
  • 運動不足は肥満に直結。枝の配置を変える

温湿度管理

適温24〜28℃。20℃以下は危険

適湿度50〜70%

夏・冬の対策

  • 夏はエアコンで28℃以下。直射日光を避ける
  • 冬はパネルヒーターで24℃以上を24時間維持

グルーミングと外敵からの保護

爪切り

枝で自然に削れる。伸びすぎて絡まる時は獣医師に依頼。第2指の毛づくろい爪は切らない

ブラッシング・皮膚被毛ケア

不要。自分で毛づくろいする。毛の乱れ・脱毛は皮膚病か毒腺の異常のサイン

その他のケア

歯の健康を最重視。硬い虫やガムで自然に磨かせ、年1回口腔検査を受ける

外敵からの保護

  • 犬・猫・フェレットとは同じ部屋にしない
  • 夜間の部屋んぽ中は窓・網戸を閉め蚊対策
  • カラス・猛禽が来る屋外には出さない

飼養上の注意(事故防止)

異物誤飲

床材・布の糸・小さな玩具の破片を飲み込む。ケージ内に糸くずを残さない。嘔吐・食欲不振なら受診

踏みつけ

夜の部屋んぽ中は床を歩き回る。暗い部屋で足元を確認し、来客時はケージに戻す

挟まれ

ドアの隙間に指を挟みやすい。部屋んぽ中はドアを固定。ケージ扉の開閉時は位置を確認

落下・転落

動きは遅いが高所から落ちる。1m以上の枝の下には厚いクッション。落ちた後動かなければ即受診

逸走・脱走

夜間に静かに脱走する。ケージは南京錠付き。逃げたら暗い高所を探し、部屋を暗くして餌で誘う

噛みついた時の安全な引き離し方

やってはいけないこと

  • 引き離そうと手を引く(傷が深くなる)
  • 叩く・叫ぶ(毒腺を舐めた後の咬傷が増える)

安全な引き離しの手順

  1. 動かず落ち着く。もう片方の手で厚手のタオルを用意
  2. タオルで顔を覆い暗くすると口を離しやすい
  3. 離したら個体をケージに戻し安全を確保
  4. 傷を15分以上流水で洗い、腫れを観察

引き離した後の処置

毒によるアナフィラキシーの報告あり。息苦しさ・全身の発疹・強い腫れは救急要請

救命救急マニュアル

今すぐ夜間救急へ(命に関わる)

  • けいれん・意識がない
  • 口を開けて呼吸・呼吸が速い
  • 落下後に動けない・手足が変な向き
  • 同居個体に噛まれ出血・腫れが広がる

当日中に受診

  • 24時間食べていない
  • 血便・水のような下痢
  • 顔や口の腫れ・よだれ

受診時に伝えること・持ち物

CITESの登録票・体重推移・食事内容・便の写真・咬まれた経緯。事前に霊長類を診る病院を確認

意識・呼吸・心拍の確認

  • 名前を呼び反応を見る。正常体温は36〜38℃
  • 胸の動きで呼吸数を数える。1分約20〜40回
  • 胸に手を当て心拍を確認。安静時100〜200回

蘇生の手順

  1. 呼吸がなければ口と鼻を確認し異物を除く
  2. 胸の左側を親指と人差し指で挟み毎分100回圧迫
  3. 5回圧迫ごとに鼻から小さく息を吹き込む
  4. 続けながら病院へ電話し指示に従う

止血

  • 清潔なガーゼで5分以上圧迫。途中で外さない
  • 尾・四肢は心臓側を軽く押さえる
  • 血が止まらない・出血が多い時は即受診

搬送方法

  • 暗くした小箱にタオルを敷き、カイロは布で包む
  • 揺らさず静かに。車内は24℃以上に保つ

ケースメソッドで学ぶ

ケースメソッド(状況予測シナリオ 50問)

ロリスに起こりうる病気・怪我・事故を想定した4択問題。解答・解説・課題と改善案付き。

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