基本情報
- 寿命
- ヌマエビ1〜3年、サワガニ5〜10年、オカヤドカリ10年以上
- 体重
- ヌマエビ2〜5cm、サワガニ甲幅3cm、オカヤドカリ〜数cm
- 性格
- 臆病で隠れがち。カニは縄張り性が強く共食いも
- 飼育難易度
- 中(薬剤・銅・農薬に極めて弱い)
- 法規制
- オカヤドカリは天然記念物、許可業者からの購入個体のみ飼育可
- 最重要ポイント
- 魚病薬・銅・農薬は微量でも致死。水槽に入れない
生態と特徴
- 体の特徴
- 外骨格で成長には脱皮が必要。ヤマトヌマエビは幼生が海で育つ。オカヤドカリは陸で鰓呼吸
- 原産地・分布
- ヌマエビ類・サワガニは日本の河川。オカヤドカリは沖縄など南西諸島
- 野生での生息環境
- エビは水草の多い清流。サワガニは渓流、オカヤドカリは海岸の林
- 活動時間・睡眠
- 夜行性が強く日中は物陰に隠れる。夜に活発に採食する
- 社会性・人との関係
- エビは群れで飼える。カニ・ヤドカリは単独性でケンカしやすい
特徴的な行動・習性
- 脱皮直後は体が柔らかく無防備。隠れ家が必要
- エビは藻類や食べ残しを掃除する。水質悪化に弱い
- オカヤドカリは成長に合わせ貝殻を替える。予備の貝殻を置く
かかりやすい病気と予兆の見方・予防
脱皮不全
予兆脱皮の途中で動けない、殻が半分残る、脱皮後に横倒しで動かない
予防カルシウムとミネラルを含む餌。急な換水・水質変化を避け隠れ家を確保
銅中毒
予兆急に暴れて泳ぎ回る、その後に体が白濁して死亡、複数が一斉に死ぬ
予防魚病薬・銅を含む肥料や薬品を入れない。銅配管の水は避ける
農薬中毒
予兆新しい水草を入れた直後に苦しむ、ひっくり返る、大量死
予防水草は無農薬品か、数日別容器で水にさらしてから入れる
白濁病(筋肉壊死)
予兆腹部の筋肉が白く濁る、動きが鈍る、数日で死亡
予防高水温と水質悪化が原因。夏は25℃以下に保ち過密を避ける
アンモニア・亜硝酸中毒
予兆水面近くに集まる、動きが止まる、脚をばたつかせる
予防エビは魚より水質に敏感。立ち上げ後1か月は入れず、週1回検査
オカヤドカリの乾燥・脱皮死
予兆殻から出て動かない、砂に潜ったまま出ない、体が乾く
予防湿度70〜80%と潜れる深さ10cm以上の湿った砂。脱皮中は絶対に掘らない
病気の予兆チェックリスト
毎日1回チェック。1つでも当てはまれば早めに動物病院へ相談。
病気の応急処置
水草導入後に苦しむ
農薬中毒の疑い。すぐ水草を出し、同温のカルキ抜き水で半分換水を2回。活性炭を入れエアレーション
薬品混入・一斉死
生存個体を別の清浄な水へ緊急避難。水槽は全換水しろ材・底床を洗う。原因の薬品は二度と使わない
脱皮不全で動けない
手で殻を剥がさない。隠れ家に置き暗く静かに。ミネラル添加剤を規定量入れ、翌日まで見守る
水温28℃超・動かない
冷却ファン・凍らせたペットボトルを浮かべ1時間に1℃ずつ下げる。エアレーション追加、餌を止める
起こりやすい怪我と予防・応急処置
共食い・捕食傷
予防脱皮直後は無防備。隠れ家を個体数以上に、カニは単独か大型容器で
応急処置隠れ家に避難させる。脚・ハサミは次の脱皮で再生する。出血(青白い体液)は自然に止まる
ハサミ・脚の欠損
予防網で無理に捕まえない。自切するので脚をつかまない。狭い隙間を作らない
応急処置触らず安静に。餌を近くに置く。数回の脱皮で再生するので水質を清浄に保つ
ヤドカリの落下
予防登れる高さは30cm以内。転落しても砂の上に落ちる配置。フタの隙間を塞ぐ
応急処置殻が割れたら予備の貝殻を数個そばに置く。動かなければ湿った砂の上で暗く静かに
ろ過器への吸い込み
予防吸い込み口にスポンジフィルターを付ける。稚エビは特に吸われやすい
応急処置ろ過器を止め分解して救出。生きていれば清浄な水へ。傷は脱皮で治る
動物由来感染症(人にうつる病気)
肺吸虫症
感染経路サワガニを生で食べる・素手で触った手を口へ
予防サワガニは絶対に生食しない。触った後は手洗い
サルモネラ症
感染経路飼育水・砂・ヤドカリの糞から手経由で
予防作業後の手洗い徹底。飼育水を台所で流さない
非結核性抗酸菌症
感染経路水槽水に手の傷が触れる
予防傷がある時はゴム手袋。腫れたら受診
腸炎ビブリオ
感染経路海水系(オカヤドカリの海水)に触れた手
予防海水交換後は手洗い。傷口を海水につけない
飼養条件:餌・水・おもちゃ・巣・床材
餌
- エビはコケ・エビ用飼料を2日に1回、食べ残さない量
- サワガニは魚用飼料・煮干し・野菜を2〜3日に1回
- オカヤドカリは果物・野菜・専用フード、カルシウム源を毎日交換
水
- カルキ抜き水を同温で。エビは1回1/4以下の少量換水
- オカヤドカリは淡水と人工海水の2つの水皿を浅く置く
与えてはいけないもの
- 銅・魚病薬・農薬付き水草(微量で死亡)
- 塩分の強い人の食べ物・加工食品
- オカヤドカリに塩素入り水道水・乾いた砂
おもちゃ・遊び
- ウィローモス・流木でコケの生える足場を作る
- オカヤドカリには登れる流木と複数の予備貝殻
- サワガニには陸地と浅い水場を両方用意
巣・寝床・隠れ家
- 脱皮時に隠れる土管・モス・落ち葉を多めに
- ヤドカリは潜って脱皮できる深さ10cm以上の湿った砂
床材・トイレ
- エビはソイルか細かい砂。急なpH変化を避ける
- サワガニは砂利と陸地の石。水は毎日交換
- ヤドカリはサンゴ砂を湿らせ、月1回部分交換
飼養環境:ケージ・運動・温湿度
ケージ・ハウスの素材
ガラス・プラ水槽。エビはスポンジフィルター、ヤドカリは保温・保湿できるフタ
大きさ・広さ
エビ10匹に20L以上。サワガニは30cm水槽に1〜2匹。ヤドカリは45cm以上
配置・レイアウト
- エビはモスと流木で隠れ家を多層に
- サワガニは水深3cm以下と乾いた陸地を半々に
- ヤドカリは深い砂・登り木・2つの水皿・貝殻置き場
設置場所の注意
- 脱走防止のフタ必須(カニ・ヤドカリは壁を登る)
- 殺虫剤・蚊取り線香・芳香剤を使う部屋に置かない
運動・部屋んぽ・散歩
- 散歩不要。容器外に出すと乾燥・落下・脱走のリスク
- 掃除や観察は最小限に、脱皮中は絶対に触らない
- ヤドカリは夜行性、夜に動きを観察する
温湿度管理
適温エビ・サワガニ18〜25℃、オカヤドカリ25〜28℃
適湿度エビ・カニは水中。オカヤドカリは70〜80%を必ず維持
夏・冬の対策
- 夏:冷却ファンで25℃以下。サワガニは冷たい水を毎日交換
- 冬:ヤドカリはパネルヒーターで20℃以上。エビはヒーターで15℃以上
グルーミングと外敵からの保護
爪切り
爪切り不要。代替は脱皮環境の整備:ミネラル添加とカルシウム源、隠れ家の確保
ブラッシング・皮膚被毛ケア
被毛ケア不要。脱皮殻はカルシウム源として数日残し、その後取り除く
その他のケア
給餌皿・水皿は毎日洗う。ヤドカリの貝殻は煮沸消毒して数個を常備し交換用に置く
外敵からの保護
- 魚との混泳は稚エビ・脱皮直後の個体が食べられる
- 猫・鳥が容器に入らないよう重いフタ
- 屋外容器はヤゴ・アメンボ・サギに注意
飼養上の注意(事故防止)
異物誤飲
人の子どもが小さな貝殻・エビを口に入れないよう管理。ヤドカリが誤って塗料や接着剤を食べないよう装飾品は無塗装に
踏みつけ
サワガニ・ヤドカリが脱走して床にいる時に踏む事故。足元を見て歩き、掃除の時は個体を別容器に移す
挟まれ
フタや水槽の縁でハサミ・脚を挟む。指をハサミで挟まれたら水に戻すと放す。無理に引き離さない
落下・転落
ヤドカリは高所から落ちて殻が割れる。登り木は低く、下は柔らかい砂に。カニも水槽の壁を登り転落する
逸走・脱走
ヌマエビは水流で飛び出し、カニ・ヤドカリは配線を伝って脱走。隙間ゼロのフタ。見つけたら濡れた布でくるみ湿らせて戻す
噛みついた時の安全な引き離し方
やってはいけないこと
- ハサミを引っ張って外さない(脚が取れ人も裂ける)
- 叩く・振り落とす・熱湯をかけない
安全な引き離しの手順
- 挟まれた手ごと水(ヤドカリは温めた淡水)に入れる
- 動かさず待つと自分から放す
- 放さない時は体の後ろを軽く支え動きを促す
- 外れたらそっと容器に戻す
引き離した後の処置
傷は流水で洗い消毒。サワガニの傷は肺吸虫の心配はないが腫れたら受診
救命救急マニュアル
今すぐ夜間救急へ(命に関わる)
- 薬品・農薬混入で複数が一斉に苦しむ
- ヤドカリの殻が割れ体が露出して動かない
- 脱皮の途中で1日以上動けない
- 水温30℃超・10℃以下で動かない
当日中に受診
- 体が白く濁ってきた
- 脚が複数欠け動けず食べない
- ヤドカリが殻を離れ砂の上で乾いている
受診時に伝えること・持ち物
無脊椎動物を診る病院は少ないため事前確認。水温・水質値・導入した物・使った薬剤を伝える
意識・呼吸・心拍の確認
- 脚・触角がわずかでも動くか
- エビは腹脚(腹の下)がリズミカルに動くか
- ヤドカリは殻に触れて引っ込む反応があるか
蘇生の手順
- 心臓マッサージ不可。まず清浄な同温の水へ移す
- エアレーションを強め酸素を最大限に
- ヤドカリは湿った砂の上に置き湿度を上げ保温
- 暗く静かにし、触らずに数時間見守る
止血
- 青白い体液の出血は清浄な水中で自然に止まる
- 欠損部は次の脱皮で再生、感染防止に水を清潔に
- ヤドカリは殻割れなら予備の貝殻を置く
搬送方法
- 飼育水と隠れ家(モス)を入れた容器で暗く
- ヤドカリは湿らせた砂かキッチンペーパーで保湿し保温
ケースメソッドで学ぶ
